時々雑録

ペース落ちてます。ぼちぼちと更新するので、気が向いたらどうぞ。
いちおう、音声学のことが中心のはず。

合格しておくように、それが宿題だ

2006年02月18日 | Indiana大学
今日はL541・Introductory Phoneticsの実験セッションの日です。毎回宿題が出てますが、今日のはちょっと変わっていました。それはProtection of Human Research Participants Certification Testというのをオンラインで受験して、合格するというものです。これはIU学内の試験ではありますが、HDDSとFDSとかいう機関が定める、合衆国全体の基準に準拠して各大学で設置する、ということらしい。この試験にパスしたうえで、研究計画を提出して許可を得ないと、人を使った実験はできない(学会発表・論文などにできない)、無許可でやったらきつい罰則がある、ということのようです。

アメリカでは人を使った実験について非常にうるさい、とは聞いていましたし、思えば以前マサチューセッツ大学のSさんの実験に参加したときも、実験内容を理解した上で参加の意思を表明してサインをする手続き、つまりはインフォームド・コンセントがありました。自分自身もそういうことをする必要がでてくるとは、宿題に出されるまで思いつきもしませんでしたが、言語学科ならたいてい研究対象は人間ですから、音声学でなくともいずれ必要です。

オンラインのテストは合格するまで何度でも受験可能で、金曜日までに合格すればいい。Web上に50ページほどのチュートリアル(PDF)が用意されていたので、難しい問題については関連箇所を検索して読み、20問を1時間近くかけて解答しました。なんとか一発合格。70%の合格ラインで80%でした。間違えた4問のうちの1問を以下に。

You are interviewing parents about child rearing practices. Your informed consent document should include

1. an assurance of absolute confidentiality.
2. a statement that you are required to report child abuse to state authorities.
3. a promise to go to jail rather than give up your data pursuant to a court subpoena.
4. only a general statement that confidentiality cannot be guaranteed under all circumstances.

裁判沙汰も関わるし、医学での人体実験などを念頭において作られていることもあり、単語がところどころ難しい。subpoenaとかpursuantとか、初めて見ました。悩んだ末、「4」と解答しましたが、違ったようです。受験結果ページに正答は出ませんが、不正解の理由説明は表示されます。勉強して考えて再受験せよ、ということみたい。たぶん正解は2。子供の虐待の可能性があったら、守秘義務よりその通知を重視せよ、ただしそのことは親にははっきり断っておけ、ということだと思われます。

宿題OK。ほっとしました。ここまでは入学以前に日本で録った音声データを分析するだけでしたが、今後は学内のInstitutional Review Board (IRB)ってところに書類を提出して、許可を得てから実験を開始、ということになります。多少めんどうですが、日本にいても近いうち同じことになるでしょうし、研究者の果たすべき社会に対する当然の責任、と考えなければいかんのでしょう。早く本物の書類審査も経験したいものです。