ちょっと古い話になりますが、去年6月ごろ公開された科学誌ScienceのPodcastで興味深かったのが、Havasupaiというアメリカの先住民族が研究者相手に起こした裁判の話。20年も前に提供した自分たちの血液のサンプルが、そのとき承諾した研究内容とは別の目的で使われた、というかどでデータを取得した研究者を訴え、6年越しの裁判に勝ち、血液サンプルを奪還した上で賠償金も得た(総額70万ドル、所属大学が払った)そうです。
彼らの主張では、糖尿病の研究のみに用いられると了解していたが、分裂病の研究等にも用いられた。特に許せないのが、DNAを利用した系統の研究だったようです。「アジアからいつごろ移動したグループから、こう分岐した」等々をDNAデータによって裏付けるのは、彼らが信ずる一族の由来の否定につながると。
研究者側は、さまざまな研究に用いられる可能性をよく説明して承諾書も取ったと主張しているのですが、かなりの譲歩を強いられた様子。このケースは他の先住民族等にも刺激を与えているとか。研究協力拒否が増えると科学研究全般の進展の足かせにもなりかねない。科学研究がもたらす公益を考え、慎重かつ冷静に対応して欲しいものです。
同じくScienceの別の論文では、ポリネシアの人々がさらに東に航海をして西洋人より先に南米に達し、南米の先住民族と交流していたのではないか、という研究が進んできているそうです。今のところ考古学的なデータに基づいて議論されてるけど、DNAによる研究もしたい。ただしこれも、現地の人々の反発を招かぬよう、急がず慎重な交渉を行っているということでした。
最近、岩波書店の『日本通史』という講座に収録されている論文を一つ読みました。世襲王権は507年即位の26代・継体あたりから、っていうのが一般的な学説らしいのですが、このような人文科学系の研究に比べ、自然科学系の研究にはより強い抵抗が示されるように感じます。自然科学的方法による成果はより否定・無視しがたく思われるのでしょうか。古代の王の陵墓とされている遺跡での調査が進めば、今のDNA研究の進展をもってすれば、王権の系譜も含め、日本列島の古代の政権の推移についていろんなことが分かりそうでぜひ実現して欲しいのですが、上の件と同様に抵抗を感じる人もいるのでしょうね。
彼らの主張では、糖尿病の研究のみに用いられると了解していたが、分裂病の研究等にも用いられた。特に許せないのが、DNAを利用した系統の研究だったようです。「アジアからいつごろ移動したグループから、こう分岐した」等々をDNAデータによって裏付けるのは、彼らが信ずる一族の由来の否定につながると。
研究者側は、さまざまな研究に用いられる可能性をよく説明して承諾書も取ったと主張しているのですが、かなりの譲歩を強いられた様子。このケースは他の先住民族等にも刺激を与えているとか。研究協力拒否が増えると科学研究全般の進展の足かせにもなりかねない。科学研究がもたらす公益を考え、慎重かつ冷静に対応して欲しいものです。
同じくScienceの別の論文では、ポリネシアの人々がさらに東に航海をして西洋人より先に南米に達し、南米の先住民族と交流していたのではないか、という研究が進んできているそうです。今のところ考古学的なデータに基づいて議論されてるけど、DNAによる研究もしたい。ただしこれも、現地の人々の反発を招かぬよう、急がず慎重な交渉を行っているということでした。
最近、岩波書店の『日本通史』という講座に収録されている論文を一つ読みました。世襲王権は507年即位の26代・継体あたりから、っていうのが一般的な学説らしいのですが、このような人文科学系の研究に比べ、自然科学系の研究にはより強い抵抗が示されるように感じます。自然科学的方法による成果はより否定・無視しがたく思われるのでしょうか。古代の王の陵墓とされている遺跡での調査が進めば、今のDNA研究の進展をもってすれば、王権の系譜も含め、日本列島の古代の政権の推移についていろんなことが分かりそうでぜひ実現して欲しいのですが、上の件と同様に抵抗を感じる人もいるのでしょうね。
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