時々雑録

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似た顔夫婦

2014年01月01日 | 
教材を探していて、Good Mythical MorningというYouTubeの番組に行き当たりました。ホストのRhett & Linkという2人組は、インターネットを中心に、いろんなメディアで人気者になっているらしい。二人のとぼけた表情や動きを見ると、私にはセサミストリートのアーニーとバートが浮かびます。見つけたのは"Why Couples Look Alike"という回。ともかく面白い(と思う)ので、見ていただければいいんですが、番組が典拠とした論文も見つかりました。ちょっと古いので、その後、異なる主張もされているかと少し調べましたが、有力そうなものは見つけられず。

R.B. Zajonc, et al. (1987). Convergence in physical appearance of spouses. Motivation and Emotion 11(4): 335-346.


いわゆる「ネタバレ」になりますが、問題とされてるのは、「どうして夫婦は似ているのか」ではなく「似てくるのか」。当然ながら私は嫁さんの顔が好きで、夫婦が似てくるらしいことも経験的に気づいていたので、「(あまり好きではない自分の顔には)似ないで欲しい」と思っていましたが、Zajoncたちの結論によると「仲がいいほど似てくる」ということになるので、兄弟のような老夫婦を目指すことにしました。この逆で、弟と私は、両者の嫁さん(!)に「どうしてそんなに違うの」と言われるのですが、これも"Kin resemblance,......, may not be simply a matter of common genes but also a matter of prolonged social contact"というZajoncたちの主張(の裏返し)に当てはまりそう。

このメカニズムについて、2人組の一人Linkは emotional mirroring と表現。相棒のRhettもほめているように、なかなかうまい言い方だと思うのですが、一方、ミラーニューロン発見以前のZajoncたちが empathy という概念を持ち出しているのも、私が知ってる狭い範囲でも、Franz de Wahl が empathy をミラーニューロンの働きと結び付けていることなんかを考えると( The Bonobo and the Atheist)、既にいい所を突いていたように見えます。

ついでに、番組内でRhettが similar を simpler と発音してLinkに指摘される場面があります。この2人組がそういのを特集してる回もあって、ネイティブもけっこう間違って覚えてることが具体的に知れて興味深いのですが、この similar > simpler の場合は、記憶違い等による誤りというより、 Thomson から Thompson が生じるようなタイミング調整のずれに聞こえました。

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