時々雑録

ペース落ちてます。ぼちぼちと更新するので、気が向いたらどうぞ。
いちおう、音声学のことが中心のはず。

図書館では静かに!

2005年11月03日 | Indiana大学
今日も図書館で明日の授業の準備。Ken先生とのプロジェクトは、学会のためのポスター作りに入っています。今日も図書館のInformation Commons(PCのあるスペース)は、10時過ぎだというのにほぼ満席。学期末に近づいて、プロジェクトやら、レポートやらがいっぱい出ているようです。グループ学習をしている学生もいるので、本当にうるさい。

 そもそも、静かにしようという気持ちがほとんどないんだと思います。携帯電話は鳴らすし、電話に出てでかい声で話すし、最近はストレスが溜まらないよう「うるっせえなあ!」と声に出して言ってます(日本語で)。さらには図書館のスタッフからして、技術的な相談を持ちかけた人と雑談に入り、アクション入りで一番大きい声で話しているのです。これでは、学生が静かにするはずがない。「図書館では静かに」というルールは、ここにはないのでしょうか、一度聞いてみたいです(聞いてみます、こんど)。

 ちなみにさっき一人の学生(アングロサクソン)が電話をかけながら通り過ぎましたが、「ヨボセヨ、ヨボセヨ」(ご存知の方も多いと思いますが、韓国語の「もしもし」)と言っていて、まあ韓国人留学生が一番多いのだから、ありうることですが、なんだか不思議でした。

 このように意外とうるさいのですが、作業に没頭すればどうということはないので、自分のノートPCも持ち込んで、作業をしています。SPSSの最新版などのソフトが使えるし、そもそもプリンタを買っていないので、学校が便利。学費の中に、図書館でのプリンタ使用料が組み込まれていて、一学期1,000枚まで印刷できます。

 この点について、これはいいな、と思うことがあります。最近、多くの学術雑誌が電子化されていますが、その電子化論文(PDF)について、学校図書館が代表してお金を払って契約しているので、図書館のPCからは無料でダウンロードできることです。印刷してもいいし、画面上で読んでもいい。授業で読む論文なども、Web上にPDFで配布される。コピーの手間がなくなるのは、かなり時間の節約になります。やたら何でも印刷しないよう慎重に使った結果、どうやらこの1,000枚だけで乗り切れそうです。プリンタに関する出費や設置の手間がなくなることも重要ですが、いずれ捨てることになるものを買うのを避けられるし、むやみな印刷を避ける思考が働いて紙の無駄遣いが避けられるので、できる限りこのままプリンタは買わずにいこうと思っています。

 だから、明日提出の宿題二つは、もう今日印刷して帰るのでした。ぎりぎりが大得意(しばしば間に合ってない)のワタクシを知っている人たちには、これまた信じられないことだと思います。

念願のVARBRUL

2005年11月02日 | Indiana大学
L611 Models of Linguistic Structureの授業が後半に入り、ここまでの一般的な統計から、言語学の統計モデルと分析に入ってきました。ついに話に聞き、論文で使われているのを見、でも使ったことがなかった、使い方も分からなかったVarbrulを習うことになりました。

 実際に使うのは、後継ソフトのGoldvarb2001(Windows版)です。コメントをくださる方などは社会言語学関連の方も多いようなので、ここをご覧になる方でもとっくにご存知、あるいは利用なさっている方がいるかもしれませんね。フリーソフトなのでダウンロードして使用可。google(.comのほう)でgoldvarbと入力して検索すると、いちばん最初にヒットします。オンラインマニュアルありです。念のためアドレスを。
http://www.york.ac.uk/depts/lang/webstuff/goldvarb/

 で、今日の授業で走らせることに成功。うれしかったので画像にして載せました。これはPaolillo先生が教材用に提供してくれた、LabovのNYデパート調査(Fourth floor)のデータを処理した結果です。基本のWindowの他、「データ」「分析条件」「結果」「Varbrul(いわゆるWeight Probabilityが出ます)」「散布図」などたくさんのWindowが開いています。データさえ準備できていれば、ここまではあっというま。

 一つ一つのWindowを最小化できないのが不便。最小化すると、全部いっぺんに隠れます。もとがLISPという言語を使って開発されたため、独特のデータ処理操作を(ちょっとだけ)覚えなくてはいけませんが、データの分類や分析手法に改良を加えつつ何度も処理を走らせることが、とても容易に出来るようになっています。いわゆるロジスティック回帰分析をやるなら、SPSSなどの統計ソフトよりも使いやすく、解釈もしやすくて、確かに非常に強力な研究ツールのようです。さすがは、「総本山」Pennsylvania大学で永年改良されてきただけのことはある。敢えてSPSSだけで通さず、Goldvarbをカリキュラムに入れた意義が分かります。でも、社会言語学のデータに限らずどの分野のデータにも使えるようです。

 詳しい使い方とモデルは先生の本を。
Paolillo, John. C. 2002. Analyzing Linguistic Variation: Statistical Models and Methods. Stanford: CSLI Publications.
この本、誤植がめちゃくちゃ多いです。英語も分かりにくい。授業と通ずるものが。今日の授業で「ロジットモデルについて、前の章で少しだけでも説明しておけばよかったと後悔してるんです」と言ってたけど、その前にまず次の版では誤植しっかり直そう、先生。。。 でもこれまた授業同様、彼の経験と洞察がつまっている本で、私は好きです。今日も、分散分析と回帰分析がどうして同じ一般線形モデルなのかとか、「切片」の意味を考えていくと「自由度」の意味が分かるとか、多次元の図を描きながら説明してくれました。Paolillo先生こういうところの切れ味がバツグンで、一生懸命聞いていると、数学<超>苦手なワタクシでも、かなり明解なイメージが見えてくる気がします。

 話しがズレましたが、そういうわけで、言語研究をやってらっしゃる方はぜひ一度お試しください。ちなみに、Macバージョンはさらに便利だそうです。上記の本もそちらを使っています(基本操作はまったく同じらしい)。