詩人PIKKIのひとこと日記&詩

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ストロベリーショートケイクス(R15+)

2021年04月12日 | 映画

ストロベリーショートケイクス(R15+) | 映画 | 無料動画GYAO! (yahoo.co.jp)

恋に恋する少女、一途な想いを抱えたデリヘル嬢、自尊心の高いイラストレーター、愛に飢えたOL、4人の女性の恋愛を通して繊細な女心を描く。 ※本作はR15+指定作品となります。15歳以上のお客さまはご覧いただけます。

キャスト
池脇千鶴,中越典子,中村優子,岩瀬塔子,加瀬亮,安藤政信
スタッフ
監督:矢崎仁司
ストロベリーショートケイクス(R15+)
魚喃キリコの人気漫画を矢崎仁司が実写映画化、4人の女性の恋と日常を赤裸々なタッチで描く。
恋に恋する少女、一途な想いを抱えたデリヘル嬢、自尊心の高いイラストレーター、愛に飢えたOL、4人の女性の恋愛を通して繊細な女心を描く。 #恋愛映画おすすめ

マルティナは海(編集版)(R15+)

2021年04月12日 | 映画

海とオレンジ畑に囲まれた港町のカフェの娘マルティナは、新任の高校教師ウリセスと恋に落ちて結婚。だが些細なスレ違いを機に妻と新生児の息子を残して家を出たウリセスは、嵐の海で消息を絶ってしまう。数年後、富豪と再婚したマルティナの元に思わぬ人物から電話があり……。『おっぱいとお月さま』の名匠ビガス・ルナが、男女の抑えきれない激情の愛を壮絶に描いた恋愛映画で、ワトリングが体当たり演技で魅せた官能作。※本作はR15+指定作品となります。15歳以上のお客さまはご覧いただけます。

キャスト
レオノール・ワトリング ジョルディ・モリャ エドゥアルド・フェルナンデス セルジオ・キャバレロ
スタッフ
監督:ビガス・ルナ
マルティナは海(編集版)(R15+)
スペインの名匠ビガス・ルナ監督の官能ラブストーリー。地中海の小さな港町を舞台に男女3人の愛憎劇を描く。新星レオノール・ワトリングが大胆なラブシーンを熱演。
海とオレンジ畑に囲まれた港町のカフェの娘マルティナは、新任の高校教師ウリセスと恋に落ちて結婚。だが些細なスレ違いを機に妻と新生児の息子を残して家を出たウリセスは、嵐の海で消息を絶ってしまう。数年後、富豪と再婚したマルティナの元に思わぬ人物から電話があり……。『おっぱいとお月さま』の名匠ビガス・ルナが、男女の抑えきれない激情の愛を壮絶に描いた恋愛映画で、ワトリングが体当たり演技で魅せた官能作。

世に倦む日日/アジアの人々に愛された不朽の名作『おしん』 – 偉大な知識人・橋田壽賀子

2021年04月12日 | 日本低国

『おしん』はアジアの国々の人々に熱愛された。われわれはそのことをよく知っていて、例えばエジプトなど中東の国で、親が産まれた娘の名前におしんと付けた例が多くあるという事実を知っている。『おしん』を語るときの中東イスラムの人々は生き生きしていて、作品への感動と日本への親愛の情に溢れている。中東の人々にとって『おしん』は日本そのもので、愛すべき日本のシンボルだ。それは東南アジアの国々でも同様である。2003年の日・ASEAN首脳会合に来日したメガワティが、晩餐会か何かの公式会合の席で、熱っぽく『おしん』について語る場面があった。橋田壽賀子の訃報を伝えるテレビ報道で、胡錦濤が『おしん』を語る映像が流れ、「主人公が自ら励み、苦労の末に創業した精神は、とても深い印象を残してくれた」とコメントを発していたが、(すでに要職にあって激務のはずだった)胡錦濤が本当にあの連続ドラマを全部見ていたのかはよく分からない。『おしん』を見て感動した中国人を代表しての言葉であり、あるいは中日友好外交のリップサービスであったかもしれない。

アジアの人々に愛された不朽の名作『おしん』 – 偉大な知識人・橋田壽賀子_c0315619_13422060.pngが、メガワティの感動の言葉はまさに本人の心からのもので、40代前半、政治活動をしながらずっと『おしん』に見入っていたことが明らかだ。『おしん』について話したくてたまらないという感じだった。『おしん』の感動を語ることは、日本を褒めることであり、日本について深く知っていることを伝えることであり、アジアの女性の生き方について普遍的な何かを共有する地平に立つことである。そういう作品を成してくれた橋田壽賀子に心から感謝したい。日本で放送されたのが83年4月から84年3月。いい時代だった。すぐにアジアの国々で放送され、タイの女性たちの紅涙を搾り取っているという情報に接した。バンコクにはタイ東北部の貧しい農村から働きに来ている若い女性が多くいて、薄給の中から家族に仕送りする生活を送り、おしんを我が身に重ね合わせてテレビに釘付けになっていた。それはインドネシアの女性たちも同じだっただろう。80年代のタイやインドネシアの農村がどのようなものか、日本の戦前の地主小作制と類似の社会関係があったのかどうか、正確な知識がないが、貧農の家の女の子はそうして一家の支えにならなければならなかったのだろう。

アジアの人々に愛された不朽の名作『おしん』 – 偉大な知識人・橋田壽賀子_c0315619_13451569.pngブログで何度か論じてきたが、橋田壽賀子の描く作品にはまさしく講座派の社会科学の研究と蓄積がある。社会科学そのものだ。戦前の寄生地主制がどのようなものか、そこでの小作農の家族と生活がどのような現実だったのか、農村での家父長制がどのような実態だったのか、そこに置かれた女性の視点からリアルに描かれている。そして、日本の100年間の近現代史が生々しく分かりやすく描かれている。嘘がなく、真実がある。見落としがなく、大事なことがきちんと描かれている。いい時代だったからNHKが傑作を制作できた。『おしん』は日本の戦前社会を知る上での最高かつ完璧な社会科学の教材で、講座派の聖書たる山田盛太郎の『日本資本主義分析』を映像のドラマにしたものだ。そこでの諸範疇がモーション・ピクチャーで再現され説明されている。社会科学を学ぶ大学生は、『分析』を読みつつ『おしん』のDVDを見て欲しい。橋田壽賀子自身が講座派の学問をよく理解して概念を整理しているから、あのようにドラマを立体的に構成できるのであり、そしてそれが真実を描いているから、平均視聴率52.6%を取れたのだ。橋田壽賀子は知識人であり、日本の誇る偉大な知性である。

アジアの人々に愛された不朽の名作『おしん』 – 偉大な知識人・橋田壽賀子_c0315619_13512519.png『おしん』はなぜアジアの人々に愛されたのか。右傾化・属米化の極みに達した現在の日本で語られない真相がある。それは、ドラマにおける社会主義・共産主義の要素とシンパシーだ。ドラマにはその部類に属する様々なキャラクターが登場し、おしんの人生に影響を与え、おしんの人生と寄り添っていく。中村雅俊が演じた反戦の猟師・俊作がそうである。逃亡兵として官憲に追われて非業の最期を遂げる。その次に渡瀬恒彦が演じる共産党活動家の浩太が物語を盛り上げる。地主の坊ちゃんでインテリ。戦前、戦中とおしんと助け、政治から離れた戦後もおしんを経済的に助け、心を通い合わせた事実上の伴侶として描かれる。特高の拷問を受けて足が不自由になる。いい役だ。そして並木史郎が演じた夫の竜三。佐賀の地主の次男で、昭和恐慌以降からファナティックな右翼の軍国主義者に変身するが、結婚前、東京生活している青年時代はハイカラなボンボンで、左翼思想に理解のある準インテリとして登場した。こうした人間関係の進行から、田中裕子演ずるおしんがどういう思想の持ち主かが一目瞭然で、それはおそらく橋田壽賀子と重なっていて、また、テレビの前の当時の高齢者の戦後民主主義と重なっている。

アジアの人々に愛された不朽の名作『おしん』 – 偉大な知識人・橋田壽賀子_c0315619_13491345.png描かれる戦前日本の左翼は、こうして知的水準の高い存在で、最先端のインテリとして一般の尊敬の対象となっている存在だということが分かる。支配層はそれを悪魔視して否定・排除するけれど、大衆からは一目置かれた義士的な表象を持っていて、善良で優秀な青年たちが左翼活動に接触し没頭したのは、知的・倫理的な純粋な動機からであり、自負と使命感からだった。戦前がそういう時代だったことは間違いなく、今とは違って、左翼側の一般的な知的倫理的優越の前提がある。左翼が王道だったのであり、レーニン的な革命の理想が正義であり、それを弾圧する支配者側(天皇制ファシズム)の権力を見下して軽蔑する(江戸っ子の幕府批判のような)心性が成立していた。ここで指摘したいのは、アジアの国々の戦後も似たような過程と様相があったことだ。バンコクやジャカルタのテレビの前で紅涙を流していた女性たちにも、農村の実家に泉ピン子の母ふじや伊東四朗の父作造がいたのと同じく、人生の周辺に、都市や農村で活動する社会主義・共産主義のインテリ青年がいて、何がしかの関わりがあり、多少のシンパサイズと思想的影響(啓蒙)が及んでいたに違いない。それは少なからず悲痛で苦い記憶だっただろう。

アジアの人々に愛された不朽の名作『おしん』 – 偉大な知識人・橋田壽賀子_c0315619_14022996.pngタイでは、1976年にタンマサート大学虐殺事件が起きている。血の水曜日事件とも呼ばれている。この軍事クーデターと残虐な赤狩り事件がどのようなものであったか、具体的な資料はネットになく記憶も薄れているが、左派の学生と市民の犠牲者は100人を超えるという情報が載っている。当時のタイ国軍は暴虐性において今のミャンマーと変わるところがなかった。76年はサイゴンが陥落した翌年で、CIAも必死だっただろう。インドネシアについては1965年にスカルノ失脚の軍事クーデターがあり、史上最大規模の赤狩り虐殺事件が起きている。犠牲者数は数百万とも言われていて、まだ十分な検証はなされてないようだ。過去の歴史として落ち着いていない。事件はインドネシア国内でずっとタブーで、誰もにとって恐怖を呼び起こす身近で凄絶な記憶であり、メガワティが『おしん』を見たときもその環境の中にあった。親類のインテリ青年が犠牲になったという体験を持つ者が多かっただろう。スカルノの娘で中道左派のメガワティや、(中国のリベラル左派に見える)胡錦濤が、『おしん』に特にコミットするのは、理由のないことではないと思われる。人間のあるべき生き方が同じで世界観が同じなのだ。

アジアの人々に愛された不朽の名作『おしん』 – 偉大な知識人・橋田壽賀子_c0315619_14143464.png『おしん』の放送で世界最高の視聴率90%を記録したイラン。ここでも凄絶な赤狩りがあった。イラン革命の後、1981年頃だったか、ツデー党(イラン共産党)が権力を握ったパーレビ派(革命評議会)に追い落とされて、弾圧されて大量の処刑が行われた事実がある。『フォーカス』か『フライデー』か忘れたが、当時の写真週刊誌で、クレーン車で何人もが絞首刑された公開処刑の写真が掲載され、息をのんだ記憶がある。イランで家族で『おしん』を見守った人々は、左翼に関わる物語の部分をどのような心境で見つめ、親は子どもたちに説明していただろう。クレーン車で共産党員が大量に吊されていたのは、放送の5年前の出来事だ。戦後のイランも、インドネシアも、タイも、戦前の日本も、農村に遅れた部分を抱え、32年テーゼ的な、レーニン的な後進国革命の構想と運動に衝き動かされた社会であり、そこに存在した思想と人間類型は類似していて、一人一人はその関係性の中に生きていた。そこには、知性と倫理に純粋で、社会を変えて貧者を救おうとするインテリ青年がいて、前衛たる高揚感にひたりつつ、大概は(と言うよりほぼ例外なく)政治に翻弄されて傷つき破滅するのである。

その傍らにおしんのような女性がいて、距離感を測りつつ見守っていた。橋田壽賀子はそれを見事に総括していて、彼女たちの心をグリップしたと言える。アジアの女性たちは、みな橋田壽賀子の同志であり、橋田壽賀子の教室の生徒たちだ。橋田壽賀子こそノーベル文学賞に相応しい。アジア諸国の政府や大学には、『おしん』に感動した者たちが要職に付いて指導している。そこに希望が持てる。日本が滅びても作品『おしん』は不滅だろう。最後に、訃報のニュース映像で紹介されていた橋田壽賀子の言葉、「昔の人はこんなに一首懸命生きていたのに、次の世代の人たちはそれを忘れている」を噛みしめ、呆然となりながら、1995年頃に聞いた司馬遼太郎と大橋巨泉の日本人への遺言的な予言を思い出す。思い出して悲しい。


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by yoniumuhibi | 2021-04-07 23:30 | Comments(2)
 Commented by nyckingyo2 at 2021-04-07 21:33
ときあたかも、現代のミャンマーとも酷似していますね。
中村雅俊が演じた反戦の猟師・俊作は、逃亡兵として官憲に追われて悲劇的な最期を遂げる。私たちはミャンマーに、アウンサン・スーチーからはじまる数万のおしんの影を把握できます。
 
 
 Commented by コスモス at 2021-04-08 08:08 x
子供だったので、おしんは見たことがありません。Yオハンの女性がモデルと噂で聞いたことがありましたが(橋田先生が熱海在住だったからか?)、事実は違って、静岡県中部の女性から聞いた話をもとに先生が再構成されたのですね。
橋田先生がいいともに出ていた頃、番組のディレクターが、番組に出たことがありました。ディレクターが一橋卒と聞いて先生は「一橋出てこんな仕事してたらだめよ」と言ってのけ、番組は一瞬静まり返ったものの、生放送でしたのでそのまま放送されてしまったのです。
ブログ主さんのご投稿を読んで、先生は「一橋を出たような人間はもっと使命感を持って、やるべき仕事があるでしょう」と言いたかったのだろうなとわかりました。
私が印象に残っているのは、「おんなは度胸」という朝ドラです。桜井幸子演じる若い主人公が、通訳ガイド?の国家試験受けようとして失敗、旅行社では電話番のような仕事しかさせてもらえない、旅館を経営している実家ならおかみになれるという状況で苦闘していましたが、女性の社会進出が叫ばれていた時代に、女性の置かれる難しさをしっかりと描いておられました。先生は決して嫁姑ドラマの人ではなかったこと、ブログ主さんのご投稿で認識を改めました。
 

姑息な幼稚園連合会告訴<本澤二郎の「日本の風景」(4050)

2021年04月12日 | 気狂い国家

<安倍・清和会事件擁護に菅・官邸の杉田と警察庁・中村格の策略=森喜朗ら政治屋安泰>

 コロナ・コロナに並行して、政府与党の事件、事件で国民は、目が回るほど頭の中は忙しい。断じて無視できないのが、全日本私立幼稚園連合会と同PTA連合会の使途不明金問題である。新たな安倍・清和会事件と信じられている。昔から清和会は、史実を捻じ曲げようとしてきたため、教育・文教族が多い。森喜朗を筆頭に、過去に清和会だった河村建夫、現在の下村博文、いま文科相の萩生田も清和会である。

 全国の8000幼稚園を束ねるカネと票も、清和会・文教族の狙いだ。その中に、許されざる、憲法に違反する教育勅語を教えていた森友学園が存在した。タダ同然の国有地払い下げ事件が、必然的に起きるべくして起きた。安倍夫妻の事件そのものである。公文書改ざんの犯罪行為に耐えきれずに、善良な財務省の赤木さんが自害するという、悲惨な事態を引き起こした。

 それでも安倍夫妻と麻生太郎は、現在ものうのうと生きている。後者は国民が負担する借金の山を、これでもかこれでもかと構築している。「安倍と麻生を火あぶりにしろ」との怨嗟の声が、大地から湧き起こっている。

 これら重大な犯罪者を見逃す民主主義国家が、存在していいのだろうか。法務検察の責任である。法相の上川陽子と検事総長・林真琴は、韓国の検察のように、全体の奉仕者として責任を果たす義務を負っている。果たさなければ、罷免する権利を主権者が、行使しなければならない。

 日本国憲法を尊重し、擁護する義務を果たさないことに対して、国民は暴力ではなく、ガンジーの非暴力抵抗運動を開始しなければならない。林を罷免するための検察官適格審査会は、市民の要求に真摯に応えているのであろうか。監視を強める義務が、国民にあるのである。

 

<東京地検特捜部案件を警視庁に格下げ=政治案件にしてうやむや?>

本来、4億円もの使途不明金を出した全日本私立幼稚園連合会は、刑事告訴を政治屋がらみの重大事件のため、東京地検特捜部にしなければならなかった。

 しかし、菅・官邸がまたしても、策略をめぐらせたのだ。例のTBS強姦魔事件でも悪徳ぶりを発揮した、官房副長官の杉田と警察庁の中村格が、動いたと事情通は、鋭く指摘している。ありそうなことである。杉田は日本学術会議の委員選任の場面でも、選別をした官邸の鬼として、その悪役ぶりを見せつけ、国権の最高機関による国会招致にも、いまも逃げ回っている。野党がまともであれば、こんな無様な醜態は起こりえないはずなのだが、公明党創価学会のお陰による3分の2議席に押し切られてしまっている。

 ともあれ、この重大な不正事件は、警視庁による政治案件として、いい加減に処理されるだろう。ご存知、犯人の前会長の香川敬という坊主は、安倍の地元の人物で、しかも山口県公安委員という要職についていた。山口県警が、悪人の公安委員に操られていたことに反吐が出る。

 もうこれだけで、日本の警察力の正体を、見事に浮き上がらせている。衝撃的である。悪徳坊主の公安委員と安倍の深い関係を、国民はもっと知ろうとしている。民主主義は、全然機能していないことが分かるではないか。法治は形だけなのだ。安倍の狼藉三昧ぶりも極まっている。

 長周新聞はガス抜き新聞かもしれない。坊主の首一つ落とせないとは、これも嘆かわしい。

 

<日本国民をなめ過ぎていないか=菅内閣も警察官僚の大暴走!>

 要するに、安倍晋三は中世に出現したような暴君だった。神道の神社本庁と統一教会と創価学会の悪馬に乗った、専制君主そのものであったのだ。バイデンが真の民主主義者ならば、理解?出来たかもしれない。無理かな?

 無理かもしれない。なぜなら政治的安定度のない菅を「歓待」して、自身のポケットとして活用しようとしているのだから。北朝鮮の主の方が賢いのか?それともCIA報告に信頼をおいてしまったのか。あるいは衰退した日本の新聞テレビの宣伝で、選挙に勝利して数か月後でおしまいにならない、と判断したものか?

 電通五輪強行に悪乗りして、自在に手綱を引き寄せて、さらなる日本属国化を狙おうというのか。目障りな二階を放逐すれば、すっきりすると思い込んでいるのだろうか。ここはバイデンのお手並み拝見といくしかないが、日本人にとって深刻なことは、コロナよりも新聞テレビの悪しき暴走によって、善良な国民の頭脳を狂わされることであろう。

 

<森筆頭に清和会文教族利権に比例して皇国史観台頭が不安>

 いま大いに反省することの一つは、自民党内に巣食う神道政治連盟なる怪しげな宗教・教団組織について、素通りしてきたことである。国家神道の後裔組織である。そこから天皇主義の、生長の家教団主体の宗教政治研究会、そして現在の「日本会議」へと冠を替えてきた、改憲軍拡のカルト教団の台頭である。安倍や森ら清和会のどす黒い流れである。

 森喜朗の「神の国」を、冷笑してきただけの国民でいいのだろうか。これに公明党創価学会が服従して、戦争三法が実現した。軍国主義と宗教の一体化が、戦争への流れを生み出してゆく恐怖に、人びとは無関心でいいのだろうか。

宗教利用なくして、軍国主義も戦争も成立しない?違うだろうか。

 そこに教育が関係する。幼児教育がきわめて重要であることが理解できる。考察するまでもなく、戦前の日本人は幼児期に、訳も分からず神道の神棚(かみだな)に拝礼させられ、長じて教育勅語を叩き込まれた。赤紙一枚で、天皇のために死ぬことを教え込まれた。

 戦争三法を強行した面々の野望は、幼児教育にありだ。森友学園は知っている。そのことに安倍夫妻は感動した!

 そうしてみると、幼稚園教育にテコ入れする清和会の野望は、改憲軍拡と比例していることになろう。戦争への道と違うだろうか。火事だ、火事だ、火の用心!

2021年4月10日記(東芝不買運動の会代表・政治評論家・日本記者クラブ会員)

「森総理に就任祝い1千万円…」 私立幼稚園連合会の「4億円消失」

4/6( 全国の私立幼稚園が加盟する全日本私立幼稚園連合会で、4億円超の使途不明金が見つかった。連合会は不正な資金操作をしたとして前の会長と事務局長を刑事告訴したが、前会長は「私的流用はしていない」と強弁。ならば一体、巨額の金はどこへ消えたのか――。

 異例の迅速さの裏には、香川前会長が山口県で幼稚園を経営しながら、同時に県の公安委員に就いていたことが影響しているそうである。 「NHKが報じた直後に山口県の公安委員らの働きで、39日には警察庁が詳細な情報を把握できていた。その結果、警視庁に刑事告訴させる方針が決定したとみられます。ここで動いたとされるのが警察庁出身の杉田和博官房副長官と警察庁ナンバー2の中村格(いたる)次長のラインです。二人は安倍政権時代から官邸の意向を汲むコンビとして知られ、中村次長は菅さんの官房長官時代の秘書官も務めた。今回も、菅政権の意向を忖度したと言われている」(同)

井上・歴史学が暴いた尖閣<本澤二郎の「日本の風景」(4049) : jlj0011blog (livedoor.blog)

呪われた車屋・東芝<本澤二郎の「日本の風景」(4047) : jlj0011blog (livedoor.blog)

 

断末魔の日銀<本澤二郎の「日本の風景」(4048)

2021年04月12日 | 気狂い国家

<円暴落を食い止める手立てを明らかにせよ!不可能か!>

 「1945年の円ゼロ時代へと突入している。 日本でも大暴動が起きる」と想定する向きも。不安を煽ろうとしているものでは全くない。世界的大恐慌にコロナ不況が加わって、人も物も止まってしまっている。しかし、株は真逆である。

 日本の中央銀行である日本銀行が、止まってしまった日本経済をしり目に、日本人の生きる基盤である円を、日夜刷りまくっているのである。狂気の博打経済に突進している!誰も注意しない。許されざる天文学的な借金予算を、右翼政府が予算化すると、国会はそれをスイスイと自動的に成立させている。それが安倍内閣から菅内閣へと継承され、日銀の法学部出身の黒田が、なりふり構わずに、思い切り円を刷って恥じない。

 その金は行き場がなく、株に流れる。博打経済に日銀が呑み込まれて、日銀が率先して株の買い占めに必至なのだ。日本の円はその都度、羽が生えて軽くなっているのだが、今の日本に金融を知る人物がいない。黒田・日銀は、戦前の関東軍のように、円刷りにひたすら突進して、円暴落へとまっしぐらだ。日本崩壊寸前で暴動が起きても、もはや間に合うわけではない。

 誰か止められるか。不可能なのか。このことが日本人識者のストレスの元凶なのだ。

 

<異様な株高を追求・継続してきた安倍・黒田の恐ろしい罠>

 目下の日本政府は、安倍犯罪をもみ消してきた菅義偉を先頭に「死なばもろとも」と言わぬばかりに、7月の電通五輪強行に突っ走っている。近くワシントンへの、空前絶後の大型の参勤交代で菅は「アメリカ五輪選手の日本行きを実現させてほしい」「見返りに軍拡でも何でも引き受ける」という直訴の行方を専門家は注目している。

 「アメリカ選手の参加で五輪強行」計画に対して、バイデンはOKするだろうか。彼はコロナ禍を、科学的に判断して決めると公言してきた。従って万一大惨事ともなれば、IOCのバッハともども責任を負うことになる。菅の直訴にどう回答するのか?予断出来ないだろう。

 菅訪米はそれとして目下、株高対策のアベノミクスなる博打金融政策を忠実に守ってきた日銀の黒田は、円刷りしか能のない売国奴官僚の第一人者として、改めて注目を集めている。米国債の金利上昇がはっきりしてきたことから、カネがドルの米国債へと流れが変わった。よって円安にぶれてきている。

 

<破局目前の日本に打つ手はないのか>

 円安は、輸入に頼っている日本では、確実に不況下の超物価高を約束する。これが高じていくと、深刻なインフレ経済へと突入して、円の暴落を確実にする。ハイパーインフレになると、円は単なる紙きれ同然になる。1945年の再現である。円ゼロは、仮定の話ではなくなる。既に先進国で、日本は最大の超借金大国である。

 森の清和会政治が始まる前の小渕恵三首相が「日本は借金大国」と公言してから、小泉になって山のように借金を築いた。さらに安倍になると、もう天井知らずに巨大な借金の山を築いた。その安倍の手先となって円刷りに狂奔してきたのが、日銀の黒田である。

 安倍・菅・黒田よ、これからどうするつもりか。伊勢神宮で神風を吹かせるつもりなのか。目下のところ、これが最大の日本人の不安要因なのだ。毎朝電話をくれる福田赳夫側近は「泉下で福田さんは泣いている」と悲痛である。

 福田の長男・康夫が「日本は破局に向かっている」と警鐘を鳴らしていたのは、もう4,5年も前のことである。

 実態経済はぼろぼろ、それでいて株の異常高の日本の狂気に不人気首相の菅は、無関心をかこっている。官僚も与野党の国会議員も、黒田任せという日本は、福田康夫が言うように、日本は破局寸前といって間違いない。

2021年4月8日記(東芝不買運動の会代表・政治評論家・日本記者クラブ会員)

 

<ヤフーニュース)空前の株高が続いている。これは喜ばしいことなのか。モルガン銀行(現・JPモルガン・チェース銀行)元日本代表の藤巻健史さんは「コロナ収束を織り込んでいるのだろう。だが、いまの日銀には景気の過熱を抑える手段がない。米長期金利が上昇を続ければ『日本売り』が始まる。株高を喜んではいられない」という――。

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ワクチン接種「メリット」の正体ー植草一秀の『知られざる真実』

2021年04月12日 | 日本低国

メディアはワクチン接種推進キャンペーンを展開している。 菅内閣はワクチン接種に巨大な予算を計上した。 この措置で最大のメリットを受けるのはワクチンメーカーである。

しかし、日本で国民多数がワクチンを接種する必要性は高くない。 大きな矛盾がある。 「ワクチン利権者のワクチン利権者によるワクチン利権者のためのワクチン接種」であると考えられる。

英国アストラゼネカ製ワクチンで血栓が生じ、死亡する事例が報告されている。 ワクチン接種は死のリスクを伴っている。 アストラ社製ワクチンは日本政府のワクチン調達計画全体の約4割を占める。 しかも、国民はワクチンの種類を選べない。

担当相の河野太郎氏は当初、接種を受ける人がワクチンの種類を選ぶことができると明言していた。 しかし、これを撤回した。 どの種類のワワクチン。日本政府の誰がどのようにその地域別配分を決めるのか。抽選などの方式を取らないと不公平になる。日本の個人の多数において、ワクチン接種のメリットはワクチン接種のリスクを下回る。

しかし、大半のマスメディアはワクチンに対するネガティブ情報を隠蔽してワクチン接種を推進する報道を展開する。テレビメディアはワクチン推進専門家しか画面に登場させない。

 

現実には、ワクチン接種を推奨しない、ワクチン接種忌避を呼びかける専門家も多数存在する。こうした専門家をテレビメディアが排除している。

メディアも巨大なワクチン利権の利益享受者の一角を占めている。ワクチンメーカーの経営最高責任者は自社株価が急騰した局面で保有株式を市場で売却して巨大な利益を獲得している。

本来、ワクチン認可プロセスは極めて厳格だ。とりわけ大きな壁になっているのが第三相治験。

このプロセスを完了しなければ認可が下りない。ところが、コロナワクチンでは第三相治験が省略されている。

莫大なコストを要する第三相治験で優良な結果を得られなければ認可は下りず、メーカーは開発費用を回収することができない。しかし、コロナワクチンでは、特例で第三相治験が省略されている。メーカーは第三相治験なしで認可を獲得している。

それだけではない。ワクチンで事故が発生した場合の損害賠償責任を負わない特約まで付与されている。

 

ワクチンメーカーは濡れ手に粟の巨大利益を供与されている。その利益の一部がワクチン利権関係者にキックバックされる構造が存在すると見られる。コロナワクチン利権の巨大な闇が存在する。

東アジアの現状を踏まえれば、ワクチン接種の正当性が存在しない。重篤化しやすい基礎疾患を持つ者、重篤化しやすい高齢者は、ワクチン接種に一定の合理性がある。ワクチン接種のメリットがリスクを上回るケースがある。

しかし、高齢でない健常者においては、ワクチン接種のメリットがリスクを上回るとは言えない。高齢でない健常者が重篤化する事例が極めて少ないからだ。

その一方で、ワクチン接種で血栓が生成され、死亡する事例が報告されている。テレビメディアが喧伝する「ワクチン接種のメリットがワクチン接種のリスクを上回る」の言い回しは一種のペテン。

国民多数がワクチンを接種することは政治権力者にメリットがあるが、一人一人の国民にとってはリスクがメリットを上回る場合が圧倒的に多い。政治権力者にとっては少数の国民が命を落としても痛くもかゆくもない。

この少数の国民の犠牲によって集団免疫を確保でき、利権も確保できるなら、政治権力者にとって、この方が都合がよい。これが「ワクチン接種のメリットはワクチン接種のリスクを上回る」の正確な意味だ。

高齢でない健常者はワクチン接種を忌避するのが適正だ。

「UIチャンネル」第380回放送、鳩山元首相との対談がアップされております。

https://bit.ly/37cW7Bs

ぜひご高覧賜りたい。

 


世に倦む日日 @yoniumuhibiより

2021年04月12日 | 気狂い国家

米パシフィック大学ジュール・ボイコフ教授「原発事故が発生した福島県をスタート地点に選ぶという行為は、この聖火リレーという儀式の偽善性や害悪さ、バカバカしさを際立たせただけでなく、新型コロナ禍でも五輪へと突き進む日本という国の政治的問題点をも浮き彫りにした」

「石川県は11日、ファイザー社製の新型コロナウイルスのワクチンを2回、優先接種していた病院勤務の医療従事者が、新型コロナウイルスに感染したと発表した。河野太郎担当大臣はワクチンの有効性を連呼するが、現場では変異株に対する有効性に疑問の声も出始めている」とのこと。

「大阪市の松井一郎市長が飲食店への時短営業や4人以下のマスク会食を呼びかけていた4月1日に、大阪港湾局の職員7人が市長の呼びかけを無視し、大阪市内の飲食店で新規採用の職員の歓迎会を行ない、参加者のうち2人が新型コロナウイルスに感染したことが分かった」とのこと。

政府は「トリチウムしか含まれていない処理水」と言っていますが、これは大嘘。実際は猛毒のストロンチウム90が基準値の2万倍も含まれた「高濃度放射能汚染水」。こんなもの海洋放出したら海は死滅します。詳しくは14日配信の『きっこのメルマガ』第114号をお読みください。

2013年9月、安倍晋三は福島第1原発の増え続ける放射能汚染水について「今後は東電に丸投げせず、この私が責任者となり、政府が前面に立って完全に解決すると国民の皆さまにお約束いたちまつ!」と宣言した。その結果が「8年経っても止められずに海洋放出」って、なんだそれ?

【これぞ安倍晋三クオリティ】 「消えた年金問題は最後の1人まで私が解決する!」→最初の1人も解決せずに丸投げ。 「拉致被害者は最後の1人まで私が取り戻す!」→最初の1人も取り戻せずに問題を政治利用。 「汚染水は私が責任者となって完全に解決する!」→「8年経っても止められずに海洋放出」

高知競馬の武豊さんと福永祐一さんのトークショーの様子は、YOU TUBEで検索すれば地元の競馬ファンがアップした映像が見られますので、興味ある人は自力で探してみてください。すごく興味深い話をしてますよ。

森本毅郎さん「ようやく高齢者へのワクチン接種が始まりましたが、これまでと同じペースでやっていたら3600万人全員が終わるまでに3年以上は掛かる計算です。それ以前に医療従事者への接種もまだまだ終わりませんが、日本は一体どうなっているんですかね?」(TBS「スタンバイ!」4月12日)


「悲しいまでに凡庸」だった青年が日本政治の頂点に君臨し、この国の姿を変容させるまで 安倍晋三氏のルーツを探る

2021年04月12日 | 日本低国

「安倍寛(あべかん)」という政治家をご存じだろうか。庶民目線の政治家として、道理を外した権力の専横にあらがい、戦時中に反戦を唱え、没後70年を経たいまも地元の人々に慕われ続けるこの人物こそ、安倍晋三首相の父方の祖父である。その志を継ぎ、リベラル保守の政治家として外相も務めたのが、息子の安倍晋太郎。優れたバランス感覚をもち、「オレのオヤジは大したやつで」が口癖だった晋太郎は、終生、寛の息子であることを誇りにしていた。

 安倍首相は子供のころ、「晋太郎の息子」ではなく、「岸の孫」と自己紹介していたそうだが、母方の祖父・岸信介への敬愛の念をあらわにする一方、岸と同じく国会議員であった安倍寛については、ほとんど触れることがない。

 語られることなき、安倍首相の父方の系譜をたどるルポルタージュ『安倍三代』(青木理著)がこの春、文庫化された。著者が丹念に周辺取材を重ねるなかで浮かびあがってきたものとは――。本書に寄せられた中島岳志(東京工業大学教授)の解説を公開したい。

*  *  *
 安倍晋三という政治家の特徴は、その右派イデオロギーにある。これまで度々、右派論壇に登場し、断罪口調の左翼批判や偏った歴史認識を展開してきた。第2次政権発足から1年後の2013年12月26日には、靖国神社を参拝し、「内閣総理大臣 安倍晋三」の名前で献花した。2015年2月19日の衆議院予算委員会では、民主党議員が質問している最中に、唐突に「日教組どうするの!」などと野次を飛ばし、批判を受けた。

 首相になっても露呈する右派イデオロギー。彼はいつから、このような思想を抱くようになったのか。そのきっかけや原因は何だったのか。

 実は、この問いに対して正確に答えることは難しい。国会議員になる前の発言や思想信条は、ほとんど文章として残っておらず、どのような考えを持っていたのかが判然としないのだ。

 本書はこの謎に、父子関係の問題から迫る。

 父・安倍晋太郎は、言わずと知れた自民党重鎮の政治家で、保守でありながらリベラルな姿勢を貫いた。その政治姿勢は地元の在日コリアンにも受け入れられ、幅広い信頼と共感を獲得した。著者の青木曰く、晋太郎には「息子・晋三とは明らかに異なる『異端者=マイノリティー』への配慮の眼差し」があり、「決して極端に偏らない政治的なバランス感覚」や「狭量や独善に陥らない懐の深さ」があった。

 平和憲法についても擁護する姿勢を示していた。晋太郎を慕って中央政界入りした武村正義は、「基本的にリベラルな方」で「正真正銘のハト派だった」と述べている。

 一方、政治活動に忙殺されていた晋太郎は、家を空けることが多く、子供との関わりが少なかった。1954年に次男として生まれた晋三は、「物心ついてから父に遊んでもらったという記憶がほとんどない」と回想している。小学校から大学まで成蹊学園に通った晋三は、家の近所に同世代の友人がほとんどおらず、兄や家庭教師、乳母役の女性と遊ぶことが多かった。

 


世に倦む日日/アジアの人々に愛された不朽の名作『おしん』 – 偉大な知識人・橋田壽賀子

2021年04月12日 | 歴史
『おしん』はアジアの国々の人々に熱愛された。われわれはそのことをよく知っていて、例えばエジプトなど中東の国で、親が産まれた娘の名前におしんと付けた例が多くあるという事実を知っている。『おしん』を語るときの中東イスラムの人々は生き生きしていて、作品への感動と日本への親愛の情に溢れている。中東の人々にとって『おしん』は日本そのもので、愛すべき日本のシンボルだ。それは東南アジアの国々でも同様である。2003年の日・ASEAN首脳会合に来日したメガワティが、晩餐会か何かの公式会合の席で、熱っぽく『おしん』について語る場面があった。橋田壽賀子の訃報を伝えるテレビ報道で、胡錦濤が『おしん』を語る映像が流れ、「主人公が自ら励み、苦労の末に創業した精神は、とても深い印象を残してくれた」とコメントを発していたが、(すでに要職にあって激務のはずだった)胡錦濤が本当にあの連続ドラマを全部見ていたのかはよく分からない。『おしん』を見て感動した中国人を代表しての言葉であり、あるいは中日友好外交のリップサービスであったかもしれない。

アジアの人々に愛された不朽の名作『おしん』 – 偉大な知識人・橋田壽賀子_c0315619_13422060.pngが、メガワティの感動の言葉はまさに本人の心からのもので、40代前半、政治活動をしながらずっと『おしん』に見入っていたことが明らかだ。『おしん』について話したくてたまらないという感じだった。『おしん』の感動を語ることは、日本を褒めることであり、日本について深く知っていることを伝えることであり、アジアの女性の生き方について普遍的な何かを共有する地平に立つことである。そういう作品を成してくれた橋田壽賀子に心から感謝したい。日本で放送されたのが83年4月から84年3月。いい時代だった。すぐにアジアの国々で放送され、タイの女性たちの紅涙を搾り取っているという情報に接した。バンコクにはタイ東北部の貧しい農村から働きに来ている若い女性が多くいて、薄給の中から家族に仕送りする生活を送り、おしんを我が身に重ね合わせてテレビに釘付けになっていた。それはインドネシアの女性たちも同じだっただろう。80年代のタイやインドネシアの農村がどのようなものか、日本の戦前の地主小作制と類似の社会関係があったのかどうか、正確な知識がないが、貧農の家の女の子はそうして一家の支えにならなければならなかったのだろう。

アジアの人々に愛された不朽の名作『おしん』 – 偉大な知識人・橋田壽賀子_c0315619_13451569.pngブログで何度か論じてきたが、橋田壽賀子の描く作品にはまさしく講座派の社会科学の研究と蓄積がある。社会科学そのものだ。戦前の寄生地主制がどのようなものか、そこでの小作農の家族と生活がどのような現実だったのか、農村での家父長制がどのような実態だったのか、そこに置かれた女性の視点からリアルに描かれている。そして、日本の100年間の近現代史が生々しく分かりやすく描かれている。嘘がなく、真実がある。見落としがなく、大事なことがきちんと描かれている。いい時代だったからNHKが傑作を制作できた。『おしん』は日本の戦前社会を知る上での最高かつ完璧な社会科学の教材で、講座派の聖書たる山田盛太郎の『日本資本主義分析』を映像のドラマにしたものだ。そこでの諸範疇がモーション・ピクチャーで再現され説明されている。社会科学を学ぶ大学生は、『分析』を読みつつ『おしん』のDVDを見て欲しい。橋田壽賀子自身が講座派の学問をよく理解して概念を整理しているから、あのようにドラマを立体的に構成できるのであり、そしてそれが真実を描いているから、平均視聴率52.6%を取れたのだ。橋田壽賀子は知識人であり、日本の誇る偉大な知性である。

アジアの人々に愛された不朽の名作『おしん』 – 偉大な知識人・橋田壽賀子_c0315619_13512519.png『おしん』はなぜアジアの人々に愛されたのか。右傾化・属米化の極みに達した現在の日本で語られない真相がある。それは、ドラマにおける社会主義・共産主義の要素とシンパシーだ。ドラマにはその部類に属する様々なキャラクターが登場し、おしんの人生に影響を与え、おしんの人生と寄り添っていく。中村雅俊が演じた反戦の猟師・俊作がそうである。逃亡兵として官憲に追われて非業の最期を遂げる。その次に渡瀬恒彦が演じる共産党活動家の浩太が物語を盛り上げる。地主の坊ちゃんでインテリ。戦前、戦中とおしんと助け、政治から離れた戦後もおしんを経済的に助け、心を通い合わせた事実上の伴侶として描かれる。特高の拷問を受けて足が不自由になる。いい役だ。そして並木史郎が演じた夫の竜三。佐賀の地主の次男で、昭和恐慌以降からファナティックな右翼の軍国主義者に変身するが、結婚前、東京生活している青年時代はハイカラなボンボンで、左翼思想に理解のある準インテリとして登場した。こうした人間関係の進行から、田中裕子演ずるおしんがどういう思想の持ち主かが一目瞭然で、それはおそらく橋田壽賀子と重なっていて、また、テレビの前の当時の高齢者の戦後民主主義と重なっている。

アジアの人々に愛された不朽の名作『おしん』 – 偉大な知識人・橋田壽賀子_c0315619_13491345.png描かれる戦前日本の左翼は、こうして知的水準の高い存在で、最先端のインテリとして一般の尊敬の対象となっている存在だということが分かる。支配層はそれを悪魔視して否定・排除するけれど、大衆からは一目置かれた義士的な表象を持っていて、善良で優秀な青年たちが左翼活動に接触し没頭したのは、知的・倫理的な純粋な動機からであり、自負と使命感からだった。戦前がそういう時代だったことは間違いなく、今とは違って、左翼側の一般的な知的倫理的優越の前提がある。左翼が王道だったのであり、レーニン的な革命の理想が正義であり、それを弾圧する支配者側(天皇制ファシズム)の権力を見下して軽蔑する(江戸っ子の幕府批判のような)心性が成立していた。ここで指摘したいのは、アジアの国々の戦後も似たような過程と様相があったことだ。バンコクやジャカルタのテレビの前で紅涙を流していた女性たちにも、農村の実家に泉ピン子の母ふじや伊東四朗の父作造がいたのと同じく、人生の周辺に、都市や農村で活動する社会主義・共産主義のインテリ青年がいて、何がしかの関わりがあり、多少のシンパサイズと思想的影響(啓蒙)が及んでいたに違いない。それは少なからず悲痛で苦い記憶だっただろう。

アジアの人々に愛された不朽の名作『おしん』 – 偉大な知識人・橋田壽賀子_c0315619_14022996.pngタイでは、1976年にタンマサート大学虐殺事件が起きている。血の水曜日事件とも呼ばれている。この軍事クーデターと残虐な赤狩り事件がどのようなものであったか、具体的な資料はネットになく記憶も薄れているが、左派の学生と市民の犠牲者は100人を超えるという情報が載っている。当時のタイ国軍は暴虐性において今のミャンマーと変わるところがなかった。76年はサイゴンが陥落した翌年で、CIAも必死だっただろう。インドネシアについては1965年にスカルノ失脚の軍事クーデターがあり、史上最大規模の赤狩り虐殺事件が起きている。犠牲者数は数百万とも言われていて、まだ十分な検証はなされてないようだ。過去の歴史として落ち着いていない。事件はインドネシア国内でずっとタブーで、誰もにとって恐怖を呼び起こす身近で凄絶な記憶であり、メガワティが『おしん』を見たときもその環境の中にあった。親類のインテリ青年が犠牲になったという体験を持つ者が多かっただろう。スカルノの娘で中道左派のメガワティや、(中国のリベラル左派に見える)胡錦濤が、『おしん』に特にコミットするのは、理由のないことではないと思われる。人間のあるべき生き方が同じで世界観が同じなのだ。

アジアの人々に愛された不朽の名作『おしん』 – 偉大な知識人・橋田壽賀子_c0315619_14143464.png『おしん』の放送で世界最高の視聴率90%を記録したイラン。ここでも凄絶な赤狩りがあった。イラン革命の後、1981年頃だったか、ツデー党(イラン共産党)が権力を握ったパーレビ派(革命評議会)に追い落とされて、弾圧されて大量の処刑が行われた事実がある。『フォーカス』か『フライデー』か忘れたが、当時の写真週刊誌で、クレーン車で何人もが絞首刑された公開処刑の写真が掲載され、息をのんだ記憶がある。イランで家族で『おしん』を見守った人々は、左翼に関わる物語の部分をどのような心境で見つめ、親は子どもたちに説明していただろう。クレーン車で共産党員が大量に吊されていたのは、放送の5年前の出来事だ。戦後のイランも、インドネシアも、タイも、戦前の日本も、農村に遅れた部分を抱え、32年テーゼ的な、レーニン的な後進国革命の構想と運動に衝き動かされた社会であり、そこに存在した思想と人間類型は類似していて、一人一人はその関係性の中に生きていた。そこには、知性と倫理に純粋で、社会を変えて貧者を救おうとするインテリ青年がいて、前衛たる高揚感にひたりつつ、大概は(と言うよりほぼ例外なく)政治に翻弄されて傷つき破滅するのである。

その傍らにおしんのような女性がいて、距離感を測りつつ見守っていた。橋田壽賀子はそれを見事に総括していて、彼女たちの心をグリップしたと言える。アジアの女性たちは、みな橋田壽賀子の同志であり、橋田壽賀子の教室の生徒たちだ。橋田壽賀子こそノーベル文学賞に相応しい。アジア諸国の政府や大学には、『おしん』に感動した者たちが要職に付いて指導している。そこに希望が持てる。日本が滅びても作品『おしん』は不滅だろう。最後に、訃報のニュース映像で紹介されていた橋田壽賀子の言葉、「昔の人はこんなに一首懸命生きていたのに、次の世代の人たちはそれを忘れている」を噛みしめ、呆然となりながら、1995年頃に聞いた司馬遼太郎と大橋巨泉の日本人への遺言的な予言を思い出す。思い出して悲しい。



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by yoniumuhibi | 2021-04-07 23:30 | Comments(2)
 Commented by nyckingyo2 at 2021-04-07 21:33
ときあたかも、現代のミャンマーとも酷似していますね。
中村雅俊が演じた反戦の猟師・俊作は、逃亡兵として官憲に追われて悲劇的な最期を遂げる。私たちはミャンマーに、アウンサン・スーチーからはじまる数万のおしんの影を把握できます。
 
 
 Commented by コスモス at 2021-04-08 08:08 x
子供だったので、おしんは見たことがありません。Yオハンの女性がモデルと噂で聞いたことがありましたが(橋田先生が熱海在住だったからか?)、事実は違って、静岡県中部の女性から聞いた話をもとに先生が再構成されたのですね。
橋田先生がいいともに出ていた頃、番組のディレクターが、番組に出たことがありました。ディレクターが一橋卒と聞いて先生は「一橋出てこんな仕事してたらだめよ」と言ってのけ、番組は一瞬静まり返ったものの、生放送でしたのでそのまま放送されてしまったのです。
ブログ主さんのご投稿を読んで、先生は「一橋を出たような人間はもっと使命感を持って、やるべき仕事があるでしょう」と言いたかったのだろうなとわかりました。
私が印象に残っているのは、「おんなは度胸」という朝ドラです。桜井幸子演じる若い主人公が、通訳ガイド?の国家試験受けようとして失敗、旅行社では電話番のような仕事しかさせてもらえない、旅館を経営している実家ならおかみになれるという状況で苦闘していましたが、女性の社会進出が叫ばれていた時代に、女性の置かれる難しさをしっかりと描いておられました。先生は決して嫁姑ドラマの人ではなかったこと、ブログ主さんのご投稿で認識を改めました。
 
 

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世に倦む日日 @yoniumuhibiより一「アジアの人々に愛された不朽の名作『おしん』

2021年04月12日 | 歴史

斉昭の最期のシーン。竹中直人のアドリブですね。脚本にはなかったはずだ。撮影を利用して自分の欲望のままに好き勝手やっている。ドラマを私物化している。監督はNG出して撮り直ししなきゃだめだ。セクハラで訴えられる暴走だ。絵を見るかぎり事前合意はないね。

Twitterで画像を見る
 
『おしん』の放送で高視聴率を叩き出した国々。中東イスラム諸国にせよ、キューバにせよ、東南アジア諸国にせよ、その国民の心がきれいだったからだ。だから感動したのだ。
 
バイデンが選挙に勝って、トランプが点けた戦争の火種を消してくれると期待したのに、逆にどんどん燃料をくべて火の勢いを煽っている。第三次世界大戦のリスクの面ではトランプの方がマシだったかもしれない。少なくとも対ロシアの関係では。ウクライナ情勢がこれほど危機的にはならなかっただろう。
 
軍事衝突、秒読みという感じですね。前回の紛争時の停戦が期限切れを迎えていて、ゼレンスキーが失地奪還に動き、プーチンがそれに反撃・制圧しようとしているらしい。来週のDCの日米首脳会談、それどころじゃなくなるかも。https://news.yahoo.co.jp/articles/52101c907a01bebd454a7fb478166e20e2769ea8 
 
こういう問題が背景に絡んでいるんですね。アメリカ、欧州でもなりふり構わず必死だ。https://jp.sputniknews.com/world/202103028191817/ 
 
欧州情勢も緊迫している。ウクライナでまた戦火が上がる可能性が高い。今回は一旦丸く収まったとしても、9月のドイツの総選挙の後に事態が悪化する恐れがある。メルケルという平和の重石がなくなるから。6月のG7サミットは中国・ロシア叩きの饗宴になりそうだ。https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210409/k10012964261000.html 
 

ドイツの感染者数が増えている。1日3万人超え。https://covid.gutas.net/country?p=73 

準戦時なんですよねえ。戦時への態勢シフト着々ということだ。80年前と同じ。国家の戦争遂行にとって邪魔なものは消す。https://news.yahoo.co.jp/byline/tateiwayoichiro/20210409-00231537/ 

アメリカと戦争を始めたらPRCが崩壊することくらい、それぐらいの軍事は習近平でも分かるはずだ。先に動いて蔡英文と会談して、不可侵合意とステータスクオの確認をするしかない。間に入って仲介してくれる人物を探すことだ。文在寅か、ドゥテルテか、フランシスコ教皇ぐらいしかいない。
 
それぐらいの奇跡が起きないと、米中戦争が始まるわけですよね。世界のNo.1とNo.2の大国が戦争を始める。第三次世界大戦だ。戦場は東アジアで、間違いなく日本が戦場になる。核戦争の戦場となる。誰か、もう少し想像力をはたらかせる人間が出てきてくれないものか。どうやって戦争を避ける気なのか。
 
そうだ、文在寅に一世一代の働きを期待したい。任期は残り1年。ちまちま南北首脳会談程度で満足するんじゃなく、習近平と蔡英文の間に入って奇跡の両岸和平会談を実現させたらどうだ。バイデンとブリンケンが卒倒悶絶、CIAとハンドラーズが一挙崩壊のウルトラC。それぐらいやってもらいたいな。
 
これはいいことだ。これたぶん、北朝鮮、五輪に選手を出すカネがなくて、誰かカネくれと泣きついているんだと思う。韓国か、中国か、開催国の日本に。韓国が面倒みてやるのが筋ですよね。これで南北首脳会談に繋げられるのなら安いものだ。文在寅はここで巻き返さないと。https://news.yahoo.co.jp/pickup/6390152 
 
コロナで重症というのは、肺炎で呼吸困難になって人工呼吸器が必要な状態ですよね。大阪の変異種の場合、感染した60代以上は20%がこうなってしまう。この規模で感染拡大が続いたら、入院できないまま自宅で死ぬ人間が大量に出るのは確実だ。真面目に、アビガン配るとか手を打たないと。
 
60代以上の重症化率が20%以上で、この規模の空前の感染爆発が続くと、去年のNYやイタリアのような医療崩壊が起きて、高齢者が大量に死ぬことになる。大阪・関西圏ではかなりの死者数が出ますね。これまでとは違う事態になる。本格的なロックダウンに踏み切らざるを得ないだろう。
 
たぶん、今の生ぬるい蔓延防止措置では大阪の変異種コロナの流行を抑えることはできない。1日1000人を超える感染者がずっと続くだろう。ロックダウンして人流を止めるしかない。学校も閉鎖だ。来週あたり、西浦博の登場になるのではないか。https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4241247.html 
 

イギリス型の本場である英国は、ロックダウンして2か月間学校を閉鎖してましたよね。モーニングショーで森内浩幸が、玉川徹に反論して学校や給食を止める必要はないと言っていたが、英国は2か月も閉鎖していた。https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR0801P0Y1A300C2000000/ 

「アジアの人々に愛された不朽の名作『おしん』 – 偉大な知識人・橋田壽賀子」をアップしました。https://critic20.exblog.jp/32077860/ 

非正規労働者の尊厳を取り戻そう!/『メトロレディーブルース』劇場版、まもなく公開

2021年04月12日 | 気狂い国家

非正規労働者の尊厳を取り戻そう!〜『メトロレディーブルース』劇場版、まもなく公開

志真秀弘

 

 いま非正規労働者は2100万人を超える。そのうち70パーセントは女性だ。その現実をえぐり出したドキュメンタリー『メトロレディーブルース』の短編シリーズは、レイバー映画祭などで上映され大きな反響を呼んできた。そして今回、大幅な追加取材を加え再編集した劇場版『メトロレディーブルースー東京メトロ「非正規」物語』(2021年・83分・制作=ビデオプレス、取材構成=松原明・佐々木有美)が、4月11日(日)13日(火)のいずれも午前10時35分からアップリンク渋谷で初公開される。

 2013年3月には、労働組合のことなど何ひとつ知らなかった東京メトロ売店で働く契約社員の女性たちが、やむにやまれず組合を作りストライキに立ち上がる。翌2014年、非正規契約社員と正社員との差別撤廃を求めて提訴し、地裁・高裁をへて2020年の最高裁判決までたたかいは8年におよんだ。映画は、後呂良子、加納一美、瀬沼京子、疋田節子さんたち4人の生活、メトロ売店の職場、さらに法廷闘争を描いていく。時給1000円で月にして手取り12〜13万、手当なし。正社員は福利厚生完備で、賃金差は10年で1000万をこえる。「全く同じ仕事をしていてこんな差別はおかしい」。人間として当たり前の怒りが、たたかいの原動力だった。

 そして彼女たちはどこまでも粘り強い。負けても負けても自分の気持ちにどこまでも正直なことにみていて胸をうたれる。そして時々に組合の交流会で披露する寸劇「白浪五人女」や「女三人吉三(おんなさんにんきちさ)」の口上が無類に楽しい。そのシーンから4人の女性たちの明るい人間性が浮かび上がる。

 それだけではない。カメラはチームワークが思いがけず崩れそうになる瞬間もとらえる。笑って泣いて、泣いて笑って、そして気を取り直して歩き出す。生きることの一コマがブルースのように映る。人間の尊厳を無視する非正規労働の現実に対して、映画は尊厳をどうやって取り戻すかを、非正規労働者自身のたたかいを通して描く。2100万人をこえる労働者内部の構造的差別は、社会全体に影を落としている。コロナ禍のもとでその状況にますます拍車がかかる。それを変える行動のためにいま必見の映画です。

アップリンク予約受付中(4.11、4.13両日、メトロレディーたちのトークあり)

「毎日新聞」記事(東海林智記者)