日経の記事に、中国は現在1億8千万台ある防犯カメラの顔認証で習体制への忠誠を支えようとしているという?!
「いらっしゃいませ。顔を撮影します」。広東省広州市のホテルにチェックインするとフロントで身分証やパスポートの提示と同時に顔の写真撮影を求められた。ホテルが公安当局から義務付けられているからだ。

監視カメラで交通違反者を特定して顔の拡大画像をスクリーンに表示して取り締まりに使う(江蘇省南京市)
撮影した顔写真はすぐに公安当局のデータベースに送られ、14億人の中国国民の身分証、電話番号などと一緒に最新のものにアップデート。当局が開発した「天網工程」と呼ばれる監視システムの根幹をなす。
中国で稼働する監視カメラは約1億7600万台以上で、少なくとも2千万台は天網とつながり、国民を監視する。江蘇省南京市など複数の都市では交通違反の取り締まりに使われ、信号無視をした歩行者の顔を拡大した画像が交差点近くの画面に表示される。8月に山東省青島市で開かれたビール祭りでは顔認証システムが導入され、訪問者から犯罪の容疑者25人を割り出し、身柄拘束に結びつけた。
最新のシステムは、習近平(シー・ジンピン、64)政権の求心力維持が狙いだ。習自身が監視カメラシステムで世界シェアの3割を握る杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)を視察し全面支援する姿勢を示した。
監視カメラは2020年には6億2600万台まで増える見通し。多くが天網と接続するのは確実で、スマートフォンの位置情報や決済情報とも連動し、政権に逆らう人物の動きを時々刻々と把握することができる。国家を牛耳る「ビッグ・ブラザー」を描いたジョージ・オーウェルの小説「1984年」の世界が現実のものになる。
習は求心力維持に向け、技術だけでなく、人も組織の末端まで駆使する。10月の共産党大会では「基層」と呼ばれる末端組織から選ばれた代表者が初めて全体の3分の1を超えた。特に重慶は同市トップだった孫政才(54)の失脚に伴い幹部が軒並み資格を剥奪され、6割近くの25人が基層出身だった。
「習総書記の報告を聞き出稼ぎ労働者は力づけられた」。重慶市中心から西約80キロの西河鎮から市内の建設現場に出稼ぎにきた楊徳兵(46)も基層出身の代表の一人。党大会後、地方の政府や企業からの講演依頼が絶えず、習を褒め上げる内容に「すばらしい」と聴衆は称賛した。
多くの基層出身の代表者が地元に戻り、習への礼賛を繰り返して忠誠の浸透を図る。楊に対する呼び方も、建設現場のリーダーを示す「楊組長」から「楊代表」に変わった。