◎体感気温40度になる生活環境とは恐ろしいもの
最近は、毎日最高気温が37度越えであり、外出すると道路の輻射熱や直射日光で、体感は45度にもなっている。人体はこれを汗と呼気の放熱で対抗して体温を下げるが、5分経過頃から顔などから汗が出たり、動きが鈍くなったりして、体温の上昇を感じるものだ。
ところが、人間の肉体は体温40度が上限の設計になっているという。
気温37度では、体温より外気温が高いので外気で肉体を冷やせないから、直に体温40度に到達する。体温40度になると生体内のいろいろなセンサーの機能により身体が動かなくなる。
さて最大心拍数=220 − 年齢であって、60歳なら160。
また大雑把にいえば、気温が1℃上がると1分間の心拍数が1上がると言われる。気温20度から40度に上がれば心拍数は20上がる。
よって仮に、成人(20歳から65歳)の気温20度での1分間の平静時の心拍数を70、活動時は心拍数140になるとすれば(個人差あり)、気温40度での60歳なら心拍数160は、上限に達するということになる。
老人の気温40度での活動は、この点でも危険と言える。
またサウナは40度越えだが、長時間は危険であることが知られている。今年の関東圏の暑さが毎日危険と連呼されているのは、実際に皆が体感されている以上に本当に危険であると思う。その意味でも東京は人の住むところではなくなったとは、今まさに現実なのだと思う。
昔大学の授業で、慢性の梅毒患者を故意にマラリアに感染させて40度の高熱を発生させ梅毒のスピロヘータを死滅させ完治させるという話を聞いたが、40度の高熱というのは、悪玉スピロヘータを退治するだけでなく善玉細菌もやっつけるのだと聞いたことがある。体温40度というのは限界的な体温なのだ。
かつてオウム真理教で温熱療法というのがあり、47度~50度のお湯に15分から20分入るというもので、結構な死者を出したと言われるが、当然のこと。
さらに「命がけの科学者列伝/レスリー・デンディ/紀伊国屋書店」には、18世紀に92度の乾燥した高温室に10分も入った記録はあるが、中で活動していたわけではない。当時でも湿度が低い方が高温に耐えられることは知られていた。
体感気温40度になる生活環境とは恐ろしいものだが、われらは今まさにそこにいるのである。万人に平等な災害では、弱い者から先に取り去られる。また大洪水で生き残ったのは無学な、山に住む牛飼いや羊飼いだけだった。