◎報道規制、食料不足、民の怨嗟
去年の今頃は、三国志の劉備玄徳の故郷である北京近郊の涿州の水害で、実は被災者百万人とも言われ、中国の水害対策の無慈悲に啞然としたものだ。
今年は三国志の故地たちが次々と水害に見舞われている。最初は洞庭湖の堤防決壊による華容県の水害。ここは、赤壁の戦いの後曹操と若干の残党が落ち延びてきてここで関羽が尾羽打ち枯らした曹操と相まみえる。ところが関羽は、あろうことか武士の情けで曹操の逃亡を見逃したのだった。
そして、関羽が太守を務めていた荊州、そして諸葛孔明の三顧の礼などのゆかりの襄陽、南陽だが、ここも洪水の動画が上がっている。
他にも宜昌、夷陵、さらには蜀の国では、綿陽、剣閣なども水害に見舞われている。三国志とは関係ないが、観光地九寨溝も洪水の動画が上がっている。
また重慶市の水害は、沢山動画が上がっているが、市自体のエリアが広すぎてどこのことかわからない。
また全体に日付も地名もない洪水動画が多いので、注意すべきではある。
今年の水害は、河南、湖北、湖南、重慶市、四川と被災エリアが膨大であるわりに中国当局のまとめ報道もなく、その結果三峡ダムにまつわる不安までいたずらに搔き立てる仕儀となっている。
中学の時に吉川英治三国志をむさぼるように読んだだけに、今般の大水害はひとしお心配なことだ。中国では犠牲者は官憲が極少で報道するとか、重要都市を守るためには周辺は犠牲にするとか言われているのも不安の種。日中戦争の昔、国民党が黄河の堤防を爆破して数百万人が犠牲になった故事もあった。
過去40年繁栄と発展の希望と贅沢な生活を謳歌してきた中国。ところがいまや中国のGDPを上回る不動産関連不良債権に苦しむので、本来国家的耐乏生活が求められるわけだが、そんな気持ちの準備ができるものだろうか。一度いい目を見れば、忘れられないのが人情。
いよいよこの大水害を以って、台湾侵攻や、日本に中国人移民が大量に来襲するかもしれないなどと不安に思う。
苛政は虎よりも怖し。