◎ジェイド・タブレット-外典-11-17
◎世界樹-15
◎この指は只の指ではなくて、世界樹である
『倶胝和尚は、質問を受けると、いつもただ指一本を立てた。
ある時、外来の客が一人の少年僧に対して「ここの和尚はどんな法を説くのだ」と尋ねてきた。
すると少年僧は間髪を入れずに指を一本立てた。
これを聞きつけた倶胝和尚は、くだんの少年僧を呼びつけて、その指を刃で切り落としてしまった。
少年僧は、突然のことで、痛みと驚きで号泣してその部屋から走り去ろうとした。
倶胝和尚は、「ちょっと待て」と少年僧を呼び止めた。
少年僧が和尚に首を向けた瞬間、指を1本にゅっと出してみせた。
少年僧は、忽然として大悟した。』
これは無門関第三則にある話。
この指は只の指ではなくて、世界樹である。その一本の中に生の世界も死の世界も三千世界もあらゆる宇宙も含まれている。この指一本で世界は逆転した。
児童虐待などということではなく、ちょんぎられた指でこうした世界の倒立を見られるならば、夕べに死すとも可なり。
この童子は指一本だが、達磨の弟子の慧可は腕一本で、などと数えることに意味はない。これは手荒な作法だというコメントもあるだろうが、これを手荒というならば、先ごろの津波は人為ではなく神威だけれども、津波も手荒と言わざるをえないだろう。
童子でありながら大悟できる精神の熟成度が実にCoolである。