◎ゾディアックの秘密
(2010-03-26)
占星術師は、十二宮(ゾディアック)を人体の各部に当てるが、その人体とは肉体のことではないだろう。輪廻転生で子宮を選ぶ立ち位置は、おそらくはゾディアック以前の遥かに微細なボディのことである。
以下のギリシア哲学者の説明では、七つの惑星がゾディアックの各宮の15度に配当されているので、「神の七つの属性」がボディに配当されていることを見る。よってゾディアックのある位置はメンタル体のことなのだろうと推理される。
注目すべきは、上昇宮であって、それがかに座に配当されているので、上昇宮とは肉体または肉体に近い部分であって、それは他の数ある要素の一つにすぎない。つまりもともとの占星術の世界観ではこの世的な幸福、この世的な願望の実現は、人間の人生の数多くあるファクターの極く一部でしかないということを意味しているように思う。
『ピュタゴラス派はいわゆる魂の輪廻転生説を広めたという点で不当に批判されている。この観念は秘伝を受けていない者に伝わった場合には、神聖な真実を覆い隠す目的でしかない。ギリシアの神秘家は、人間の霊性は「銀河」--魂の苗床--から巨大な黄道帯の十二の門を通って物質的世界に下降してくると信じていた。
従って霊性はゾディアックの十二星座を表すためにペルシアの星の観察者が創造した象徴的動物の形で表れると言われている。
もし霊が白羊宮で受肉した場合羊の形で生まれるとされた。金牛宮の場合には天上の牡牛の形である。
こうしてあらゆる人類は天上の十二の神秘的な生物によって象徴され、その性質を通してこの物質的世界に生まれ変わることができるのである。
転生説は、人類の可視的な物質的肉体に適応するものではない。むしろ不可視の非物質的な霊にこそあてはまるのである。この霊は星の軌道に沿って遍歴し、それゆえ進化の過程を通して神聖なゾディアックの動物の形をとっているのである。
ユリウス・フィルミクス・マテルヌス著『マテーシス』の第三巻には低次世界が創造されたときの天体の位置について次のような要約をのせている。「アレクレピオスやアヌピウスは神メルクリウスが特に占星学の秘密を伝えた人物であるが、彼らによれば天地創造は次の通りであった。
太陽は獅子宮の十五度。月は巨蟹宮の十五度。土星は磨羯宮の十五度。木星は人馬宮の十五度。火星は天蠍宮の十五度。金星は天秤度宮の十五度。上昇宮は巨蟹宮の十五度にある。
この天地創造にあわせ、従って星辰のこのような状態とこのように天地創造の時期を確定した根拠にあわせて、かれらは人間の運命をも上述の配列に従って展開されるという見解を抱いていた。このことはアレクレピオスのミュリオゲネシス(つまり無数の『出生』)と呼ばれる書物から学べることである。人間の出生は上述の世界の出世と調和したときのみ可能である」
人間の七つの年代は次の順で惑星の支配下にある。幼児期は月、子供時代は木星、青春期は金星、成熟期は太陽、中年期は火星で、壮年期は木星、老年期と死期は土星である。』
(古代の密儀/マンリー・P・ホール/人文書院P263-264から引用)
秘伝を受けている者とは、悟った人のことである。人間の出生とは、あらたなミクロコスモスの天地創造なのだから、さる調和がなければ、人は出生してこないということはわかる。だから自分が生まれる子宮を選んでいる「意志」は、自分が思っているような「意志」ではないことがままあるのだろう。