ネットでの定義の問題 使

ネットでの経略使の定義
「中国、唐・宋代の官名。辺境に置かれた武官。唐では節度使が兼ね、宋初は常置されなかった。のち軍政のみならず民政もつかさどった。」
◎.唐では安南・桂管・邕管・容管・黔中・福建・嶺南など、主に嶺南地方に置かれたが節度使兼任の例は極めて少ない、節度使へ移行することはよくあるのだが。

ネットでの観察使の定義
「唐玄宗代にそれまで10あった道を15に増やしてそれぞれに採訪処置使を置いた。採訪処置使は後に名を変えて監察処置使（略して観察使）になる。観察使は名目上は監察のための役職であったが、実質的に道内の行政権を握った。同時期に設置された節度使は多くが観察使を兼ね、行政・軍の双方を兼ね、強大な力を持った。」
◎.下線部は事実であるが、節度使以外も多くは観察使を兼ねていて、唐中期以降は全国に配置されていた。都団練観察使・都防禦観察使などと称する。

ネットでの営田使の定義
「一般人民を直接耕作者とする官田（屯田）の一形態。 名称は南北朝時代から使用され、唐代には辺防の軍将や節度使の属官の営田使が経営するのが普遍化した。 」
◎安史の乱後まもなくは節度使等は営田使を兼任するのが普通であったが、元和年間頃からみられなくなり、唐末ではみることができない。

ウイキペディアの藩鎭定義
唐は黄巣の乱によって致命傷を受け、実質上は滅亡した。朝廷の権威が衰え、天下は再び朱全忠・李克用らの藩鎮勢力が合い争う時代となる。907年、朱全忠により禅譲劇が行われ唐は名実共に滅亡、五代十国時代へと入る。 後梁・後唐を除いて五代の皇帝は全て唐の節度使職にあった者である。
◎.これはひどい、まったく逆で「後梁・後唐のみが唐の節度使職出身」である。しかも後梁の太祖は宣武軍節度使であるが、後唐の荘宗は父克用が河東節度使であっただけで本人は唐より任命されていない、後梁・後唐とも次代以降の皇帝は唐の節度使職ではない。

女の権限

唐と奈良-平安の違いで大きなものは「女の権限だ」
奈良時代は天皇-官僚間の連絡は内侍司が独占していたらしい。
唐では宦官の役所である内侍司は、日本では女の役所である。
嵯峨天皇が平城上皇に対抗するために蔵人所を設けるまでは、
内侍を通じなければ政治は進まなかったようである。
降って江戸時代になっても「女房奉書」などの形でその伝統が
継続されていた。
男の権限が強くなったと言われている鎌倉時代でも、女性の所
領継承が認められていたようであり、日本の女権は伝統的に中国
より強いのではないだろうか。

外位について

日本と唐の差異では、日本には「外位」というものがある。
外正五位上～外少初位下まである。
これは新羅の制度の導入と聞く。
地方の豪族や家格の低い氏族には外位を与えて差別化したらしい。
唐ではやはり藩鎭の幕僚や軍人に正規の官職でないものをばらまいている。
（軍人に対してはあまりにインフレ発給、開元～天寶年間は大将軍・将軍・郎将、
安史の乱以降は九卿や太子賓客などを乱発している）
そして員外官として遇する、員外同正とかいうわけのわからないものもある。
当然名目だけで給与等が払われているとは思えない。
また入朝した時にその官職の格式で遇されることはないようだ。
しかしわざわざ「外位」をもうける意味はなんだろうか、
唐のように外位を乱発して地方豪族の機嫌をとったのだろうか。

家司について

近頃、日本の古代官制についての聴講をしている。そこで気がついたことだが
唐においては太子・親王・公主などについては属官が結構充実している。
もちろん大半はたんなる名誉職ではある。
ところが驚いたことに日本では従三位以上の貴族の家まで四等官（家令.扶・・・）
が法令に規定されている。しかもある程度機能しているようだ。
唐に限らず中国ではそのような例はあるのだろうか。
封建制が実在した漢代ではある意味存在したと思えるが。
やはり日本は律令制は導入したが、豪族等の勢力との妥協において各種の修正が
されているのだろう。