らいちゃんの家庭菜園日記

家庭菜園、家庭果樹栽培及び雑学日記

依身より依所

2014-10-08 | 雑学

毎週月曜日に放送されるNHKの番組に「鶴瓶の家族に乾杯」があります。
数週間前に放送された内容の中に、「依身(えしん)より依所(えしょ)」という伝教大師最澄の言葉を紹介したシーンがありました。
これは比叡山 無動寺の阿闍梨様から、番組のゲスト佐藤健さんへの心に残る言葉として紹介していたものでした。
初めて聞く言葉だったので急いでメモをとり、早速調べてみました。

「依身より依所」
「依身(えしん)より依所(えしょ)」とは、「心の拠り所を人との繋がりだけに求めず、心が落ち着く場所や環境を探しなさい。」という意味だそうです。

今から一千二百年前、比叡山を開かれた伝教大師最澄上人は「六根相似(ろっこんそうじ)の位を得ざるよりこの方 出仮(しゅっけ)せじ」という言葉を残して、敢然と比叡山に籠もり修行に明け暮れたそうです。
六根相似とは、見たり聞いたり、考えることなどが、ほとんど仏さまと同様になることで、六根が清浄になることです。
出仮(しゅっけ)とは、山から下りて社会に出て僧侶として働くことです。
比叡山で厳しい修行をした最澄上人は、人里離れた静かなところで、社会的つながりを一時的に断って、集中的に修行することの大切さを説いているのだそうです。

最澄上人は比叡山について次のような歌を詠んでいます。

 「おのずから 住めば持戒の この山は まことなるかな 依身より依所」

この意味は、修行には自分自身が正しくあろうとすることが大切であるが、それよりも修行をする環境がもっと重要だということが、修行を通じてはじめてわかる。
この比叡山とはまことにその修行にふさわしいところで、住んでいるだけでおのずから戒律を守ることができ、六根が清浄になるところだ。
という意味だそうです。

人と人、心と心の繋がりばかりに目が向きがちな世の中ですが、今後、更に何か大きなことを成し遂げようと思った時、何かに集中できる場所、心が落ち着く環境を探しなさい。
心の拠り所を人との繋がりだけに求めず、そういった場所を探し見つけることが大事であるということのようです。

今、環境問題が世界的に問題になっています。
最澄上人の教えでは、環境が荒れていることは、すなわち私たちの六根に異常を来たしていることを意味します。
この教えを真摯に受け止め、私たちを育んでくれる環境について改めて考え直す必要がありそうです。