なんで思い出したんだろう。
「Nylon Curtain」。
1982年リリースされた、ビリージョエルのアルバムタイトル。
10年以上前、どっかのラジオ番組で、サザンの原坊が
『Nylon Curtainってきっと病室のことだよね。ビリージョエル、体壊して入院してたから。』
なんて話してたこと、思い出しちゃった。
年取ってくると、
昔の記憶が不意によみがえるね。
Billy Joel "Allentown"
ここんとこ、
紅白での復活宣言、ソロアルバムの発売、2月26日が55歳のバースデーと
いろいろ続いて、桑田さん、露出度高かったからかな。
Nylon Curtain/Billy Joel
テレビを見ていて思ったこと。
桑田さんが、
インタビューの度に質問されてた、ここ数ヶ月に彼に起きたこと、
たとえば、レコーディングのこと、病気のこと、病気に伴った心の変化など、
ひとつひとつの質問に対し、自分のことばで誠実に答えてるなーと
深く心打たれたのは、きっと私だけではないはず。
また、
その質疑応答の中、
このインタビュアーは、果たして、桑田さんのコトバに隠された思いを
半分でもわかっているのかと怪訝に思ったのも私だけはないはず。
まぁたしかに、
他人に他人の心をすべて理解しろという方が無理な話だし、
桑田さん自身期待してないのかもしれないんだけど、
幸か不幸か、おそらくかなりの程度で彼の話にイチイチ共感できてしまう自分としては、
深い志で語られた思いが軽く受け流されている光景を目撃するたび、とても残念なキモチになってしまうわけです。
桑田さんの人生経験と許容量をしても、
「詩でも書いてないといられなかった」
という、病理検査から結果を聞くまでのなんともやるせない時間、
病気の宣告の瞬間と、
「なぜ自分なのか?」、「何がいけなかったのか?」など答えが出ようもない自問自答、
そして、最終的に辿り着いた
「この経験は神に与えられた使命(試練)にちがいない」
という運命説…。
彼の言葉と交差する自分の記憶。
手術室前廊下に並んだ、順番待ちの長いベッドの行列、
銀色に光り輝くアルミの手術室と冷たい手術台、
その冷たさに相反してあたたかいドクターやナースの声、
3つ数えた瞬間麻酔で遠のいた意識、
「終わりましたよ!」という声とともにたたかれた肩の感触、
体に繋がれた管、意識が戻って飲んだお茶のおいしさ、
病室の無機質さと静けさ。術後しばらく続いた喪失感。
桑田佳祐-それいけベイビー!!
2年半経過して今よみがえる、
脳裏に焼きついた、おそらく一生忘れることのない辛い記憶。
自分自身、闇に葬りかけたそんな記憶も
少しずつ静かに思い起こせるようになってるってことか。
「これからの時間はもらった時間」と、桑田さん。
同感です。
さんまちゃんじゃないけど、
生きてるだけで丸もうけ。
これからは、まずは健康を第一に、
お世話になったみんなのため、家族のため、
お返ししていかないとな。
ついつい忘れちゃうんだけどね(笑)。