ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

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開高健『ロビンソンの末裔』1973・新潮文庫-政府に翻弄された北海道開拓民の苦闘を描く

2024年07月02日 | 北海道を読む

 2019年のブログです

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 開高健さんの『ロビンソンの末裔』(1973・新潮文庫)を再読しました。

 「なつぞら」の天陽くん一家の苦難が、やはり敗戦前後の政府のいいかげんな北海道開拓計画に翻弄されたものであることがわかって、それと同じような苦労をされた人々のお話をきちんと読もうと思いました。

 拓北農兵隊、という名称の開拓団ですが、全くの素人集団による北海道の開拓計画でした。

 主人公たちが開拓に入ったのは、旭川からかなり山のほうに入った大雪山のふもとの「上開地区」。

 拓いた農地は自分のものになる、家も用意してある、農機具も貸与する、などなど、いいことづくめの勧誘でしたが、実際には、嘘もあったりして、その苦労は明治時代の屯田兵より過酷だったといえそうです。

 土地は農作物ができないようなやせた土地で、地元の人たちも手をつけないような不毛の地。そんなところで開拓に従事させられます。

 何年も客土をしても農地になるかどうかわからないような土地、その客土も風雨によって簡単に流されてしまいます。

 話は開拓の途中、仲間がほとんど逃げ出してしまうところで終わります。

 北海道を車で旅行すると、カーナビの案内ですごい山の中を走らされることがありますが、そんな時でも、こんな山の中でも田んぼや畑があるんだ、と感心させられることがあります。

 おそらくは、戦後、開拓の苦労が実って、農地が拓かれたのだろうと思います。

 本当にたいへんだったのだろうな、と思います。

 今後は、できることなら、現場を大切に、住民の目線で、丁寧な政治が行われることを祈りたいと思います。     (2019.9 記)

     *

 2020年12月の追記です

 政府のいうことをどれだけ信用するかということは、なかなか難しいことですね。

 圧倒的に情報量が違う中で、いかに信用できる人を探して、それをも吟味つつ、周囲に流されることなく、主体的に行動できるか。

 ふだんからのものの見方と冷静な行動が試されそうな気がします。     (2020. 12 記)

 


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