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三浦しをん『政と源』2017・集英社文庫-73歳の幼なじみじじいコンビの友情を描く

2023年12月27日 | 小説を読む

 2017年のブログです

 「じじい」という言葉に思わず反応してしまいました(?)

     * 

 三浦しをんさんの『政と源』(2017・集英社文庫)を読みました。

 おもしろかったです。

 73歳の幼なじみじじいコンビの有田国政と堀源二郎のお話。

 元銀行員の国政は、真面目さだけが取り柄で、定年になったとたんに奥さんに別居されるという情けない老人。

 一方、幼なじみの源二郎は、頑固なかんざし職人。愛妻を早くに亡くし、今は弟子の徹平と仕事をしています。

 この二人のじじいコンビと徹平、それに徹平の彼女、さらには、政と別居中の奥さんなどを中心に物語は進みます。

 じじいコンビは昔から正反対の性格なのになぜか友達で、今もやることは全く正反対ながら、どこかひかれあう存在。

 お互いに孤独な身寄りですが、それだけに相手を思いやって、しかし、それを表には出さないという江戸っ子じじいコンビです。

 お互いの家族の歴史も十二分に知った上での男同士のつきあいは、かなりめちゃくちゃですが、しかし、読んでいてとてもうらやましいです。 

 じーじも73歳になった時に、この二人のようなじじいになれたらいいな、と今、63歳のじーじは深く思いました。  (2017. 8 記)

     *

 2023年2月の追記です

 このブログを改めて読んでいたら、先日、ユング心理学のことを考えたせいか、影(シャドー)ということを連想しました。

 影(シャドー)というのは、その人の人生で生きてこなかった影の部分。

 この小説では、二人の老人がお互いの影の部分に刺激されあっているような印象を受けます。

 影(シャドー)を無視せずに、ある程度大切にしながら、しかし、現実的に生きることで、人は全体的な存在になる、というのが、ユング心理学で述べられているように思います。  (2023.2 記)

 

 


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