2022年5月のブログです
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アメリカの精神分析家であるオグデンさんの『精神分析の再発見-考えることと夢見ること、学ぶことと忘れること』(藤山直樹監訳・2021・木立の文庫)を読む。
2021年10月の発行時に一回読み、半年後の今回、再読をする。勉強嫌いのじーじにはめずらしいこと。
すごく面白い本だが、なかなか難しく、どれだけ理解できたか。
再読をしても、感想文を書くほど理解できているかどうかもわからないが、とりあえず今の段階でわかっているらしいことを記す。
そういえば、オグデンさんの本はとても面白くて数冊読んでいるが、いずれも感想文は書けずにいる。今後の課題だ(藤山さんの翻訳デビュー作であるオグデンさんの『こころのマトリックス-対象関係論との対話』(1996・岩崎学術出版社)もとてもいい本で、いつかご紹介できればいいなあと思う)。
さて、今回読んで感じたことを一つ、二つ。
まずは、オグデンさんが、ビオンさんの『臨床セミナー』(じーじの拙いブログもあるので、よかったら読んでみてください)を詳しく解説というか、説明しているところがすごい。
ビオンさんがセミナーでケース提供者にスーパーヴィジョンをしている内容だけでもすごいが、それをさらにわかりやすく解説するオグデンさんの多面的な視点がすごいと思う。すごく勉強になる。
ともすると、一見わかりにくいビオンさんの言葉が(ビオンさん、ごめんなさい)、オグデンさんの説明で、すごくよくわかる(ような気がする)。
そして、驚いたのが、オグデンさんもわからないことに耐えることの大切さを述べているところ。
ビオンさんの、事実と理由を苛立って追い求めることなく、不確実さ、謎、疑惑のなかに留まること、というところをひいて、真に考えるためには、知らないということへの耐容性が必要である、と述べている。すごい。
ますます深く考えていく必要が出てきたと思うし、ゆっくりと不確実さを味わっていこうと思う。
二つめは、夢見ること。
オグデンさんは、精神分析では、夢見ることが大切で、精神分析の時に、それが患者さんでは自由連想になり(子どもでは遊びになり)、分析家ではもの想いになる、とウィニコットさんをひいて述べる。
卓見であると思う。夢見ることの大切さをわかりやく述べていると感心する。
そして、さらに、夢の重要さや不思議さなどについても、たくさんの症例が述べられていて、勉強になると思う。
時間をかけて読んだわりには、ご紹介できる内容が拙いが、本当にいい本だと思うので、今後も再読をして、実践を重ねて、理解を深めていきたいと思う。
素敵な本に出会えて幸せである。 (2022.5 記)