ヨシムラ・サイエンス・ラボ

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北陸の大雪 × 体積膨張

2021年01月10日 | 金属 よもやま話
伝統工芸と身近な物を材料科学するヨシムラ・サイエンス・ラボです。

前回は金属を溶かす「溶解(ようかい)」でしたので、本日は金属を固める「凝固(ぎょうこ)」についてです。
金属分野においては、溶けた金属を型に注いで冷却して凝固させるプロセスを鋳造(ちゅうぞう)、使用する型を鋳型(いがた)、出来上がった金属製品を鋳物(いもの)とそれぞれ呼びます。

先週末から富山県も含めた北陸地方は大雪で、現時点での富山市の積雪量は120cmを超えています。
北陸育ちの私にとっても久しぶりの経験です。。。


そのため、ここ最近は気温が低く、凍結によって水道管が破裂しないように、「水抜きして水道管内の水をなくす」や「水をちょろちょろ出して、固まらないように流し続けておく」などの対策が言われています。
これは、水道管内の液体の水が固体の氷に凝固する際に膨張して、体積膨張によって水道管に亀裂が入るためです。
凍結による水道管破裂を金属分野で例えると、氷は鋳物、水道管破裂は鋳型破損ですな。

このような凝固に伴う体積が膨張する物質は、水以外に、金属ではビスマス、アンチモン、ゲルマニウムなどがありますが、
工業的に使用されている鉄鋼材料や非鉄金属の銅やアルミニウムなどほとんどの金属は、液体から固体に凝固する際は収縮します。
そのため、凝固時の収縮を考慮した型設計を行わないと、鋳物の冷却不足や鋳造欠陥の原因にもなってしまいます。

水であれ、金属であれ、凝固に伴う体積変化は、やっかいですな。

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