ヨシムラ・サイエンス・ラボ

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『鉛』 その1  長年の風雨に曝されても大丈夫!

2015年11月15日 | 金属 よもやま話
伝統工芸と身近なものを材料科学でサイエンスするヨシムラ・サイエンス・ラボです。

前々回のブログにて案内しましたが、最近、様々な法令による規制で、『鉛』は嫌われ者になっています。
その嫌われ者になってしまった鉛について、その重要性も含めて身近な物を例にしながら数回にわたって解説したいと思います。
第1回目の今回は、屋根材に使われている鉛についてです。

鉛の特徴の一つに、自然環境下での耐食性の良さがあります。
つまり、雨などの水や風に曝されても、錆びてボロボロにならない特徴があります。
更には、柔らかいので、複雑な形状に加工し易いのも特徴です。

そのため、イギリスを始めとするヨーロッパでは屋根材に使われているようです。
日本では鉛でできた屋根材はあまりメジャーではありませんが、その数少ない鉛の屋根材が富山にあります。

それは、・・・・ 高岡市にある「瑞龍寺」です。
瑞龍寺は、加賀二代目藩主の前田利家公の菩提を弔うために三代藩主の利常公によって建立されたそうです。
その「瑞龍寺」の法堂の屋根材に鉛が使われています。
その所以については、①美観的、②戦の時に鉄砲の材料に使用できる、などが言われていますが、詳細は分かっていない様です。


長年の風雨に曝されて古く趣のある質感になった「瑞龍寺」の鉛の屋根。
一見の価値ありです。


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