ライオネル・ホワイト『気狂いピエロ』
失業中の男は、仕事の面接に行ったもののうまくいかず、帰りにバーで飲んでしまう。
妻に電話で伝える気分になれずにいたのだ。
仕事が見つかる気はしないし、支払うべき請求書の山が頭に浮かんで心配でならない。
妻は愛想を尽かしつつあり、子どもたちは彼を嫌っている。
そんな八方塞がりの男の前に17歳の女性が現れる。
彼のことを理解したかのような言動に、38歳の男はつい関係を持ってしまう。
人生の歯車が狂い始める。
それは破滅なのか、それとも新たな人生の始まりなのか。
男は我慢強く、タフで、頭もいい。
女性は嘘つきで倫理観が欠如しているが、とても美しく、男は彼女にのめりこんでしまう。
先日亡くなったゴダール監督の同名映画の原作。
原作があったのかと、驚いて書店で手に取ったものだった。
徐々に緊迫していく展開に飲み込まれる。
ライオネル・ホワイトの本をもっと読めないだろうか。
装画はQ-TA氏、装丁は新潮社装幀室。(2022)