つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

サヨナラ、狩撫麻礼。(敬称略)

2018年01月21日 11時39分39秒 | 追悼。
年齢を重ねるうちに、人付き合いは変化するものだ。
かつて濃密な時間を過ごし、喜怒哀楽を共有した人であっても、
互いの心情、身体(健康)、環境、仕事などの変遷によって、
交流が少なくなる、または、途絶えてしまう事は珍しくない。

“仲たがいをした訳ではないが、いつの間にか疎遠になった友人”。
最近の僕にとって「狩撫麻礼(かりぶ・まれい)」とは、そんな存在だった。

…先日、久しぶりに風の便りを耳にした。
訃報だった。
漫画原作者・狩撫麻礼さん死去 『リバースエッジ 大川端探偵社』など
40年近く漫画原作の一線で活躍してきたが、平成30年(2018年)1月7日没。 
享年70だった。
存命中、多くの漫画家とタッグを組み名作・佳作・小品や大作を輩出。
いくつか列挙してみよう。

『EAST OF THE SUN, WEST OF THE MOON』(画:大友克洋)。
『迷走王 ボーダー』 『リバースエッジ 大川端探偵社』(画:たなか亜希夫)。
『ナックル・ウォーズ』 『LIVE!オデッセイ』 『青の戦士』(画:谷口ジロー)
『ライブ・マシーン』 『湯けむりスナイパー』(画:松森正)。
『天使派リョウ』 『唇にブルース・ハープ』(画:中村真理子)。
『B(ビィ)』(画:平野仁)。
『ハード&ルーズ』(画:かわぐちかいじ)。
『ルーズ戦記 オールド・ボーイ』(画:嶺岸信明)。

誰もが知るミリオンヒットではないが、熱心な愛読者は少なくない。
僕もその一人だ。
その物語、世界観、台詞回し、鋭い言葉選びに感銘を受け、
20代~30代にかけて、繰り返しページをめくった。
何度かの転居の際も、捨てずに持ち運んできた。

しかし、40の声を聞いた頃から、手に取る機会が徐々に減り、
50を越える頃には、本棚の片隅に置いたままになっていた。
嫌いになったわけではない。
読み飽きたわけでもない。
明確な理由は思い浮かばないが、
やはり、己自身と己を取り巻く変化の積み重なりから、疎遠になっていたのだ。

逝去の報を知り、何冊か読み返してみた。
やはり面白い。
そして、確信した。
間違いなく影響を受けている。

「ボブ・マーレィ」とレゲエミュージック。
ジャズやブルーズなどの黒人音楽。
「ザ・ブルーハーツ」や「ニール・ダイヤモンド」。
もしも「狩撫麻礼」の筆に接しなかったとしたら、これらに耳を傾ける事はなく、
そこから派生する諸々の楽しみは知らないままだったかもしれない。

ギャンブル狂の「土岐正造」、驚異の博才を発揮した「蜂須賀」。
彼らが鉄火場に身を投じるシーンを読まなかったとしたら、
競艇ファンになっていたかどうか怪しい。
また、『B』の主人公の名前が「毒島」じゃなかったとしたら、
レーサー「毒島 誠」に注目しなかったかもしれない。

本名非公開。
近影も数枚が残るだけ。
幾つかのエピソードを除いて、私生活は不明。
黒子に徹し、生きた証は作品の中に。
カッコいいなと思う。
末尾に拙作ながら「故人の想像画」を捧げ、結びとする。

「一番美しい日本語を知ってるか…?」
「…サヨナラ」
コメント
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