つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

冷たい戦争は女の顔をしている。 ~ 甘い罠。

2020年02月29日 07時55分29秒 | 手すさびにて候。
僕がまだ子供だった頃、「スパイ・セット」というオモチャがあった。
“象が踏んでも壊れないアーム筆入”の「サンスター文具」が販売元。
スパイ心得や、モールス符号、水に溶ける紙。
字が見えないスパイペン、指紋検出用の粉。
変装メガネや付け髭、付け黒子。
スパイ資格を証明するライセンスも込み。
・・・意味もなくコーフンしましたね。
スパイとなって、無闇矢鱈に近所を走り回っていた。

そんな無知な少年も、時を経て少しだけ知識が付いてくる。
どうやらスパイは「ヤバい」仕事らしい。
男だけじゃなく、女もいたらしい。
女スパイは、ミダラな技を駆使して情報を得ていたらしい。
・・・言い知れぬコーフンを覚えましたね。(馬鹿)

閑話休題。

ほんの手すさび手慰み。
不定期イラスト連載、第百三十二弾は「KGBの女工作員」。

今は無き大国「ソビエト社会主義共和国連邦」。
広い国土の隅々、人々の心の中にまで網を張り巡らせた世界最強の治安機関。
それが「国家保安委員会/KGB」である。

モットーは“熱き心、冷えた頭脳、清き手”。
国境警備、要人警護、入出国審査、凶悪犯の検挙、思想統制など、
多様な任務の中には、勿論、秘密工作や諜報活動も含まれていた。

目的達成の為の手管は、
盗撮・盗聴、拉致・誘拐、毒殺・射殺・刺殺、爆破など、硬軟様々。
総じて秘密裡のため「ジェームズ・ボンド」や「イーサン・ホーク」ばりの
派手な立ち回りは少ない。
KGBが「情報収集」にあたる際、
常套手段としていたのが「ハニートラップ」だと言われている。

女性工作員が素性を隠してターゲットに接触。
肉体関係・恋愛関係に持ち込み、
身も心も心服させ、がんじがらめにして協力させる。
その為の特殊な「獲得訓練」を行っていたとか、いなかったとか。
工作員が男のケース・・・「ロミオ・スパイ」もいたらしい。

お堅い役人や政治家には、うら若く清楚なタイプ。
倒錯趣味の持ち主には、自由奔放な美女。
男色を嗜む事務官には、ナルシスのような美少年。
高いポストに就く女性官僚の火遊びは、ちょい悪イケメン。
対象の好みに合わせてチョイスし、派遣した。

お楽しみの後、謎の人物が訪ねてくる。
差し出された封筒の中には、あられもない証拠写真。
甘い罠に捕らわれた事を知り、愕然とする顔を前に、
訪問者はこう切り出す。

『あなたのデスクに回ってくる書類をコピーして渡して欲しい』

ハニートラップはKGBの専売特許に非ず。
古今東西、秘密を聞き出す手段として用いられてきた。
直接戦火を交える代わりに、色と欲、忠誠、損得が絡み合う
「冷たい戦争」は、実に人間臭いのである。
コメント (4)
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