つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

学びの記憶を手繰る楽しさ。

2022年12月06日 21時00分00秒 | これは昭和と言えるだろう。
                         
僕は、昔から割合と勉強が好きだった。
但し、理数系はからきしで、文科系限定。
中でも人文科学系(文学・歴史・文化人類学など)には親しみを抱いている。
--- といっても、今では趣味嗜好優先の独学、耳学ばかりでごく浅いのが実情。
時折、学校でカリキュラムを通じ学んでいた頃を思い出すと、
あれはアレで楽しかったなと、懐かしさが込みあげてくるのである。



前回投稿「三国競艇」からの帰り道、
福井県・坂井市・春江町の「教育博物館」に立ち寄った。
ここは、平成29年4月、旧「春江工業高校」の建屋を利用して開館。



幕末から現代までの福井県の教育に関する資料、明治以降の教科書、
昭和30年代の再現教室など様々な展示による、教育に特化した博物館。
素晴らしく充実した施設だった。



取り分け興味をひかれたのは、教科書の歴史を紹介する展示室。
明治5年(1872年)、国民全員が平等に教育を受けられる「学制」が発布された当時、
教科書は、欧米のそれを翻訳・編集したものが多い。
明治19年(1886年)の「小学校令」を機に検定制度が導入され、
文部省の検定を通過した教科書だけが出版されるようになった。
やがて義務教育が6年間になると、教科書の内容も大きく変化。
大正に入ると、世界的な流れを受け、児童の心理と生活を重んじる内容だったという。
昭和16年(1941年)の「国民学校令」で小学校は国民学校に。
全ての教科で 国定教科書が用いられ、軍国主義や国家神道が盛り込まれた。

そして、戦後、新しい学校制度が発足。
文部省は学習指導要領に基づいて、民主主義を基本とした教科書を発行。
僕が「津幡小学校」や「津幡中学校」の机で広げていたテキストである。



「教育博物館」では所蔵している教科書を、使用年代・校種学年・教科で検索ができる。
受付に申し出れば、直接、実物や複製本を手に取って閲覧が可能。
僕は「光村(みつむら)図書出版」の国語教科書を拝見した。
表紙のデザイン、手触りを驚くほどよく覚えている。


<小学 新国語より「トルストイ」作「とびこめ」>


<中等 新国語より「有島武郎」作「生まれ出づる悩み」>

どちらも初めて読んだ時の感慨、あの時の教室の風景が蘇る。
実に懐かしく、思わず頬が綻んだ。

ちなみに日本語の授業「国語」は最初から国語だった訳ではない。
前述した「学制」発布時点では、読物、書取、習字、作文、復読など、
国語の内容を含む科目が分かれていた。
その後「小学校令」で、読書、作文、習字にまとめられ 、
さらに科目が少なくなり、明治33年(1900年)に「国語」が誕生。
今から122年前のことである。
--- そんな成り立ちも、ここの展示説明で知り勉強になった。



勉強になったと言えば「現在の福井県成立」までの道程。
短期間ながら「ほゞ石川県の一部だった時代」があったのだ。

時の明治政府は中央集権体制を確立するため、
廃藩置県後も、全国規模で府県の統廃合を実施。
1876年8月に、現在の福井県嶺北部を石川県に併合させたが、
風土や人身、習慣の違いから、越前分県運動が起こる。
また財政的な安定、民力の充実を図り、
隣接する滋賀県から若狭三郡および敦賀郡を譲り受けて福井県が生まれたのだ。
--- 知らなかった。
ちなみに石川は、福井と同時に富山も併合した時期があり、
当時「東京府」を上回る「日本一の人口」を誇ったという。
これも初めて知った。



「教育博物館」では、来年(2023)1月29日(日)まで、
「学制150年記念企画展 学校150年物語~後期展」を開催中。
その一環で「こどもの遊び」と題した展示を実施していた。
“子供たちは遊びを通して、社会や人とのつながりを学んできたから”というのが趣旨。
以下に、幾つか紹介する。











いやはや、これらとこれらの他にも色々と観察・見聞・体験でき、何と入館無料!
大変楽しませてもらった。
機会を作って再訪したいと思う。
ありがとうございました。

リンクはコチラ→<https://www.fukui-educate.jp/museum/
おススメである。
                   

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2 コメント

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Zhen様へ。 (りくすけ)
2022-12-07 06:23:50
コメントありがとうございます。

僕は元・神童ではありません。
本文中にも書いたとおり、
理数系教科はオール赤点の落ちこぼれ。
国語、社会、生物、美術、音楽はマシな方。
いずれも高得点ではなく「好き」だった。
その傾向は、オッサンになった今も同じです。

未知を知る楽しさを教えてくれた
「計画学習(カリキュラム)」は、
ノスタルジーを込めて懐かしく思っています。

中等新国語、そちらも「光村図書」でしたか。
地域・県によって採用出版社が違いますので、
Zhenさんがご自身の記憶に触れる対象になり、
幸いです。

では、また。
返信する
りくすけさんへ (Zhen)
2022-12-06 23:45:42
こんばんは

りくすけさんって、ひょっとして元・神童だったのでは?
少なくとも僕とは、まったく別世界の人です。
今、何が幸せかと言うと、学校の勉強がしなくて良いこと、これに尽きます。

「中等新国語」の教科書、覚えていますよ、確かに。

では、また。
返信する

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