つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

70‘s 邂逅と懐古 at 本津幡駅

2017年07月02日 13時03分24秒 | これは昭和と言えるだろう。
正体が確認されていない飛翔体…未確認飛行物体。
英語表記では「Unidentified Flying Object」。
3つの単語の頭文字を取った「U.F.O.」は、
1970年代後半(昭和50年代前半)に大ブームを巻き起こした。

代表的な1つが、「ピンク・レディー」のヒットナンバー。
昭和52年(1977年)2月リリース「UFO」だ。
オリコンチャート、10週連続ナンバー1。
150万枚を超えるキャリア最大のミリオンセールスを記録。
翌年の「第20回 日本レコード大賞」を受賞した。

その曲をモチーフにしたCMソングと「ピンク・レディー」をCMキャラクターに起用し、
大ヒットしたのが、インスタント麺「日清焼きそばUFO」である。
同商品のコンセプト「うまい(U)、太い(F)、大きい(O)」のローマ字表記を引用し、
薄い丼型の容器を、空飛ぶ円盤に見立てたロングセラーが、
発売から40年以上を経た今も、店頭に並んでいるのはご存知のとおりだ。

…とまぁ、突然、UFOブームに触れてみたのは、訳がある。
JR七尾線「本津幡駅」で、UFOラッピング列車とすれ違ったからだ。

わが津幡町から北へおよそ30キロ。
能登半島の入り口に位置する「羽咋(はくい)市」は「UFOのまち」である。
事の由来は、同地に伝わる『そうはちぼん伝説』。
シンバルのような形をした仏具「そうはちぼん」が、不気味な光を発しながら空を飛び、
そいつが現れる地域では神隠しが起こったというのだ。
真偽のほどは定かではないが、羽咋には昔からUFOが飛来していたとして、
町興しのツールになっている。

石川県民、SFファンの間では有名な施設「コスモアイル羽咋」がオープンしたのは、
平成8年(1996年)。
冷戦時代に米ソが宇宙開発競争を繰り広げていた頃の機材や宇宙船を展示。
アメリカ初の宇宙飛行を成功させた「マーキュリー宇宙船」。
月面移動に使用する実験機「ルナ/マーズローバー」。
ソ連製の人工衛星「モルニア・サテライト」。
アポロ計画の「アポロ司令船」「アポロ月着陸船」などが並んでいる。
マニアならずとも、多少の興味があれば楽しめる。
静かで怪しい雰囲気の中に身を置き、宇宙へ…あるいは、UFOブームの70年代へ、
思いを馳せる事ができる。
UFOラッピング列車に揺られて、羽咋市を訪れてみてはいかがだろうか。

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神話の国への旅路。 ~ 古代と20世紀のアテナ。

2017年07月01日 13時29分23秒 | 手すさびにて候。
ほんの手すさび、手慰み。
不定期イラスト連載、第四十八弾は「アテナ神」。

エーゲ海、イオニア海、地中海。
三方を海に囲まれた一帯に都市国家文明が栄えた紀元前8~5世紀頃。
後に「古代ギリシャ」と呼ばれる当時、
諸民族に伝わる神話や伝説を元に編纂したのが「ギリシャ神話」だ。
登場する神々の正確な数は判然としない、いわゆる八百万(やおよろず)。
時間や空間などの「概念」、荒天や災害などの「自然現象」、
恋愛や喜怒哀楽などの「感情」まで、神々が切り盛りする対象は多岐に亘る。
神と人とのハーフ「半神」、「怪物・怪獣」もキャスティングされた群像劇の中で、
中核を成すのが「オリュンポス12神」。
その1柱が「アテナ」である。

父は、全知全能の神「ゼウス」。
母は、英知の神「メティス」。
兄妹は、太陽神・アポロン、狩猟神・アルテミス、英雄・ペルセウス、ヘラクレスなど。
自身は、知恵、芸術・技術、武勇を司る女神。
しかも、美しく猛々しい。
まさに、天界のサラブレッドにして、セレブなのだ。
そんな彼女の下界での住み家は、
ギリシャの首都・アテネの中心部、アクロポリスの丘に建つパルテノン神殿。
僕は、一度だけ、彼の地を訪れた。

ロシア共和国が、まだ「ソ連」だった1987年2月、
「アエロフロート」に乗って、成田からモスクワへ。 
1泊した翌日、モスクワからアテネへ。
初めて降り立った夕暮れのギリシャは、思いのほか寒かった。
空港で両替(ユーロではなくドラクマ)を済ませて向かったのは「シンタグマ広場」。
そこを中心に広がる細く入り組んだ路地の両側に、古い家並みが建ち並ぶ。
テラス席を配したカフェ、革製品・焼き物・絵葉書などを並べた土産物屋、
ギリシャ文字の横に魚介類を描いたタベルナ(ギリシャ式大衆食堂)の看板…。
「プラカ地区」と呼ばれる旧市街を歩きながら探し当てた安宿で草鞋を脱いだ。

翌朝、ホテル最上階の食堂のテーブルでいただいた朝食は、
ジャム&バターを添えたクロワッサンにコーヒー。
メニューは質素だったが、景色は豪華だった。
目の前に、アクロポリスの丘が広がっている。
真ん中に陽光を浴びて白く輝く、パルテノン神殿!
そそくさと食事を済ませ、外に出た。
地図はないが、視線を上げればおよその見当は付く。
息を切らしながら早朝の路地を抜け辿り着いたそこには、
降り積もった歴史の美と、時に圧し潰された廃墟の美があった。

数千年の星霜を耐えた大理石の傍に腰掛け、アテネを眺める。
石灰岩で出来た白亜の街に見惚れ、しばし呆然としていた。
エーゲ海を渡って来た寒風に首をすくめた時、
人の気配に気付いた。

大きな柱の間から現れた女性の映像は、記憶の中で、あまり鮮明ではない。
しかし、彼女が美しかった事と、
赤いレザージャケットを着ていた事、
そして、驚いた事はよく覚えている。
一瞬、古代の女神が蘇ったのかと思った。
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