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来週4月26日、民主党元代表の小沢一郎氏の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる政治資金規正法違反裁判の1審判決が予定されているが、この裁判を単なる政治資金規正法違反の事件として受け止めることは適当ではないだろう。
19日の最終弁論で被告側弁護士が「根拠のない妄想」と断じた事件は、3年前の2009年3月、小沢被告の第1公設秘書、大久保隆規被告(1審有罪、控訴)が東京地検特捜部によって突如逮捕されたことに端を発する。時は、民主党政権の誕生がかなりの現実味を帯び、小沢代表の首相就任がほぼ確実視され、半年以内に総選挙が迫っていた。この事件は、政権交代を控えた野党第一党の党首を辞任に追い込み、政権の座に就いた民主党内部にも激しい対立の火種を残したことを忘れてはならない。
捜査当局は、強制捜査権や公訴権などの強大な権力を持つが故に、その権力の濫用については、市民社会はこれを厳しく監視する必要がある。特捜検察の強大な権力が政治、とりわけ民主主義の根幹をなす総選挙の結果に影響を与えるような事態は、それがどうしてもやむを得ない場合を除き、厳に慎むべきだ。
この事件では、収支報告書の数ヶ月の「期ずれ」という、通常であれば形式犯扱いされる行為で逮捕・起訴に踏み切っている。結局、東京地検特捜部は、政治に莫大な影響を与える強制捜査まで踏み切りながら、小沢氏自身の起訴は嫌疑不十分で見送らざるを得なかった。しかし、2004年の法改正(2009年施行)によってその議決に法的拘束力を得た検察審査会が検察の不起訴判断を2度にわたって覆し、小沢被告は強制起訴されることになった。この検察審査会の評議についても、不透明な部分が多く、その公正さに疑問が呈されている。
さらに、公判が進むにつれて、検察の強引な捜査手法が明らかになってきた。特筆すべきは、小沢被告の共謀罪立証の柱とされた元私設秘書、石川知裕議員(1審有罪、控訴)の調書の捏造が石川被告の隠し録音から判明し、調書が証拠不採用となったことだろう。この捏造調書は検察審査会の議決にも大きな影響を及ぼしたと被告側は主張する。日本の司法制度の構造的問題が事件を通して見えてきたといえる。
検察審査会が起訴妥当と判断した事件が、検察による違法な捜査によって事件の立証に必要な証拠が採用されず、それが裁判の結果に影響を与えるとしたら、これはこれで大きな問題が残る。
この裁判については、反原発・原発推進派の二項対立に似て、小沢氏を支持する層と小沢氏の政治手法に反発する層の間で、大きな意見の対立が生じている。また、政治が機能不全に陥る中で、小沢氏の政治力に期待が集まることも十分に理解できる。その一方で、小沢氏の政治手法に対しては依然として批判的な意見も多い。
しかし、この裁判では、単に小沢一郎という一人の政治家の処遇をはるかに超えた、日本の司法制度や、ひいては民主主義のあり方そのものが問われていると言っていいだろう。
政治的にも、日本の司法制度や民主主義の現状を点検する意味においても重要な意味を持つこの事件の判決を前に、裁判の争点とその意味するところをジャーナリストの青木理と社会学者の宮台真司が議論した。
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