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【琉球新報社説】辺野古の水域拡大 移設強行への強権発動だ
地元がいくら反対しようとも、何としても移設作業は進める。非民主的で野蛮なこの政権の体質が、いっそうあらわになってきた。日米両政府は米軍普天間飛行場の代替基地建設に向け、名護市辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸で立ち入りを常時禁止する水域を大幅に拡大することで合意した。移設反対の民意を否定する強権発動であり、拡大は納得できない。同海域には、日米地位協定を根拠に在沖米軍基地の使用条件などを定めた日米合意文書「5・15メモ」に基づく米軍提供水域が設定されている。水域のうち、漁船やあらゆる船舶の立ち入りを常時禁止する「第1水域」は、沿岸から50メートルの範囲だったが、これを最大で沖合約2キロまでに拡大する。水域の用途には「代替施設建設にかかる区域の保安」などの目的を追加した。
7月予定のボーリング調査を前に、住民らの海上抗議活動を排除する狙いがあることは明白だ。水域に進入する船舶は刑特法で取り締まる方針というが、世論調査では県民の約8割が辺野古移設に反対している。反対活動を力でねじ伏せるような対応は許されない。
拡大後の第1水域は約561ヘクタールで今の普天間飛行場よりも広い。「臨時制限区域」として設定するが、早くて約10年とされる移設工事の完了後に解除するというから、恒常的規制にほかならない。
米軍水域拡大と併せ、政府は漁船操業制限法に基づく常時操業禁止区域も同様に拡大する方向で、漁業者に補償金も支払った。だが、本来は米軍が水面を使用する場合の操業禁止を定めるのが法の趣旨だ。移設工事のための操業禁止に拡大適用するのは逸脱そのものだ。
地域の生活や文化を育んできた辺野古の海は「みんなの海」である。両政府は水域拡大について自治体などにもきちんと説明することもなく決定した。地元の頭越しに米軍提供区域を拡充する前近代的な手法は、言語道断だ。提供水域拡大について県は、仲井真弘多知事名で「安全に十分配慮し、漁業者への損失補償に万全を期してほしい」などとコメントしたが、事実上その手続きを黙認している。
知事が埋め立てを承認したから反対しない、という姿勢だとすれば大問題だ。県民の活動や権利の規制に敏感に反応し、乱用には歯止めをかけるため声を上げるべき立場にあることを自覚すべきだ。
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