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◎<東京新聞社説>新出生前診断 「命の選別」生まぬよう

2022年03月22日 10時53分47秒 | ●YAMACHANの雑記帳
 妊婦の血液から胎児の染色体疾患を調べる新出生前診断(NIPT)に関し、日本医学会の運営委員会は検査対象を三十五歳未満にも拡大するなどの新指針を公表した。ただ、診断には「命の選別」につながるとの批判が根強い。差別を生まぬ配慮が必要だ。
 ダウン症など三種の疾患の有無を推定するNIPTは、二〇一三年に原則三十五歳以上の妊婦を対象に始まった。事前に診断の目的や推定の限界、出産後の支援制度などを説明し、受診の意思を確認する「遺伝カウンセリング」を行い、実施機関も大学病院など百八の認定施設に絞られていた。
 ところが近年、事前のカウンセリングの質が曖昧なクリニックなど無認定の民間施設による検査が急増し、問題視されていたため、日本医学会は国も加えた運営委員会を設け、新指針をまとめた。
 新指針はカウンセリングの対象を全年齢に広げ、診断を希望すれば、年齢にかかわらず受けられるとしている。大規模病院を基幹施設と位置付け、連携する産婦人科クリニックでの診断も認める。施設数は数倍に増える見込みだ。
 出生前診断が抑制的になされてきた理由は、障害や疾患を悪いものとみなす価値観が定着しかねないという懸念だ。新指針で妊婦の不安に付け込む無認定施設の増加に歯止めをかける狙いは理解できるが、急激な診断機会の拡大は差別の拡大につながりかねない。
 それを防ぐには、遺伝カウンセリングの充実が不可欠だが、新指針ではカウンセリングの質の確保を各施設に委ねている。遺伝にかかわる相談を受けられる専門家は限られている。担い手の育成に、国も積極的に関与すべきだ。
 診断前に、障害や疾患のある子どもの育児や支援についての具体的な情報を、地域ごとに提供することも重要だ。そのためには当事者の関係団体を基幹施設の認定過程や運営に加える必要がある。
 新指針に無認定施設への対応が示されていないことにも疑問が残る。認定施設による診断機会が増えても、無認定施設が減少するという保証はどこにもない。
 診断を受けようとする心理の背景には、障害や疾患のある子どもを不安なく育てられる環境が十分ではないという現実がある。出生前診断の必要を感じさせない社会をつくることこそが、最優先で取り組むべき課題である。

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