ロシアによるウクライナ侵攻後、安倍元首相がやたら元気だ。
あちこちに顔を出して「核共有」や敵の中枢攻撃能力の保持を主張。「防衛予算の増額を!」と訴えている。
21日も日本戦略研究フォーラム主催のシンポジウムで講演し、防衛予算をGDP比2%まで増額すべきと持論を展開した。今年度の防衛費は当初予算の5兆4000億円に補正予算を合わせた6兆1700億円だが、来年度は当初予算から6兆1700億円以上にする必要があると強調。「日本が(防衛)予算を増やさないとなったら笑いものになる」とまで言っていた。
- ネット上では<誰から笑われるの?><あなた自身が世界の笑いもの><アベノマスクの方が笑いもの>と呆れる声が続出だ。
ウクライナ危機でドイツやスウェーデンも防衛費の増額を決めたが、同時に増税などによる財源も示している。アベノミクスの愚策のせいで円安を止められず、庶民生活は逼迫しているのに、防衛予算のための増税を国民に強いるのか。それで米国製の武器を爆買いしたところで、国力が落ちてしまえば意味がない。
そもそも、プーチン大統領と27回も会談して信頼関係をアピールし、「ウラジーミルと同じ未来」を見ていた安倍元首相が反省のそぶりもなく、手のひら返しでプーチン大統領を批判して、侵攻に備えた軍備を訴えるのは違和感がある。
「国民の多くは、北方領土が返ってくる見込みもないまま先に3000億円の経済協力を決めた安倍氏のロシア外交は失敗だったと感じている。その批判の矛先をそらすために、積極的に発言して目先を変えようとしているのでしょうが、逆効果です。安倍氏がロシアや軍事について語るたびにプーチン大統領との蜜月関係は何だったのかと思い出してしまうし、どんどん発言のつじつまが合わなくなっている。黙っていた方がまだマシで、焦りが裏目に出ているように見えます」(政治ジャーナリスト・角谷浩一氏)
元外務次官の竹内行夫氏も、今月刊行した著書「外交証言録 高度成長期からポスト冷戦期の外交・安全保障 国際秩序の担い手への道」で安倍外交を批判。とりわけロシアとの北方領土交渉で「2島先行返還」にかじを切ったことについて、安倍元首相は「国家主権を自ら放棄した歴史上初めての宰相」になり得ると、厳しい表現で断罪している。
どうしても防衛予算の上積みが必要というなら、ロシアに献上した3000億円も防衛費に回せばよかったのではないか。かやの外からほえるだけの安倍元首相はあまりに無責任だ。
岸田政権がウクライナ支援の一環として、自衛隊が保有するドローンの供与を決めたことが波紋を広げている。
提供したドローンが攻撃に転用されれば「戦争加担」と受け止められ、プーチン大統領を刺激しかねない。松野官房長官は「ウクライナ政府の適正な管理の下、防衛のために適切に使用される」と説明しているが、“戦地”での認識は全く違うらしい。ウクライナ軍にとってドローンは最重要兵器だからだ。
「ウクライナ軍はドローンを攻撃に使う可能性が高いと思います」と言うのは、首都キーウで取材し続けるジャーナリストの田中龍作氏だ。
ウクライナ兵は「戦闘で一番役立った」と証言
「今月上旬、キーウ近郊の町でウクライナ兵に話を聞く機会がありました。『どの兵器が有効だった?』と聞くと、彼はイの一番に『ドローン』を挙げ、続いて『対戦車ミサイルのジャベリン』『自走砲』と続けました。ジャベリンや自走砲は強力な兵器ですが、単体では機能を存分に生かすことはできません。ドローンで敵軍の位置を正確に把握することで、初めて効果を発揮する。この間のウクライナ軍の『善戦』は、ドローンこそが決め手と言っていい。もし、ウクライナ軍がドローンを保有していなければ、キーウは既に陥落していたかもしれません」
岸田政権は、提供するドローンは監視用で市販の民生品と説明し、攻撃転用を想定していないとの認識を示しているが、こんな重宝な兵器をウクライナ軍が攻撃に使わないわけはない。「小型でも民生品でも、ドローンは索敵に絶大な効果を発揮します。『送ってはいけない』とは言いませんが、どう使われるのかキチンと認識した上で供与すべき。政府の考えは甘すぎるのではないか」(田中氏)
プーチン大統領の怒りに火を付けなければいいが。