朝プールへ行く途中、用事があったので、小学校のほうへ回り道をしていった。
小学校はもうはじまっていて、体育の授業をやっているのが見えた。
運動会の徒競走のスタートの練習をやっているのだ。
よーい、ドン で走る。次から次とスタートして走っている。
すると、お母さんと校門の近くにいた5年生くらいの女の子が、一人突然走り出した。
なにやら言いながら追いかけるお母さん。
女の子は、後ろをふりかえっては、走る走る。(逃げろ逃げろ。)
お母さん、追いかける。
だが、30メートルも行かないうちに遁走劇は終わった。
と言うより、女の子がそれ以上走るのをやめたからだ。横道におれる道の角の、間延びしたゼラニウムのところで。
追い詰められたように。捕まるのを待っている。
その子は知っている。どこまで行っても逃げおおせることなど出来ないことを。
だから、覚悟してつかまっている。萎縮している。
「明日明日って、毎日言っているじゃないの。今日行けないものが、どうやって、明日行けるのよ!」
お母さんは怒鳴り、女の子はおびえて身を縮める。
どうにもやりきれない哀しい気持ちになる。
私はと言えば、ずーっと欠席続きのプールに、今日やっと時間がとれて行くのだ。
ずーしんと重い気持ちを抱えたままプールに向かった。
だが、水の中に入り、万年初心者の自分の泳ぎと格闘しているうちに、そんな気持ちはすっかり溶け出して、こころは軽くなっていたのだが・・・。
その後、女の子とお母さんは、どうなっただろうか。
どうか、二人と二人のめぐりに、何とか良い時間を見つけられますように。心から祈っている。
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