神戸の垂水に住んでいる卒業生から、いかなごの釘煮を送ってくれた。彼女は私のクラスの生徒だった。少し体力的には弱いところがあったが、なかなか明るい性格の子で家にも遊びに来たし、私の妻を好いてもくれた。結婚してからは元気で2人の娘をもうけ、その娘達も結婚した。中年になってから癌にもかかったが無事に乗り切ったようだ。毎年この時期になると手作りのいかなごを送ってくれる。
送られて来た釘煮。彼女の次女がパソコンで作ったラベルが春らしい雰囲気を出している。
彼女が住んでいる神戸の西部から明石にかけては春の魚であるいかなごがよく獲れる地方で、漁が解禁(今年は2月28日)になると商売人はもちろん、各家庭でも一斉に釘煮を作るので、住宅街の中を歩いていてもあたりに香りが漂っているそうだ。何キロも作る家もあるらしい。そうして親戚や知人に贈るのも季節の楽しみなのだろう。私の家の近くの100均ショップでも釘煮用のケースを売っている。
釘煮は佃煮である。出来上がりが曲がった釘のような形なのでそのように呼ばれている。獲れてから数時間以内に煮上げないと、ぴんとした釘のようには仕上がらず、錆びた釘のような脆い食感のものになってしまう。それぞれの家庭ではお得意の味付けがあるようだ。10年位前から輸送能力が改良されたのか、私が住んでいる市でも手に入るようになった。妻も一度作ってみたが、ぴんとした釘状に出来上がり、味もまずまずだったので喜んでいた。砂糖を加えた醤油を煮立たせて、そこにいかなごをさっと入れて煮詰めるのだが、要するにいかなごが新鮮であれば、それほど難しいものではないらしい。香り付けには生姜や柚子を使う。昔ながらの庶民の味だが、デパートなどでは結構いい値段で売られている。
いかなごはイカナゴ科の硬骨魚で、「玉筋魚」と書くようだが、釘煮にする体長2~3センチくらいの幼魚が半透明の体をしているからこのように言うのだろうか。獲れてから時間がたって釘煮にできないものは釜揚げにする。体色は白くなり軟らかく、三杯酢をかけて食べると美味しい。少し成長した稚魚の釜揚げは「新子」と呼ばれて売られていて、同じようにして食べる。20センチほどの成魚となったものは「かますご」とも言われ、少し火であぶったり、そのままで食べたりするが、稚魚と違って少し背骨の感触が口に残る。少し生臭さもあり、人によって好き好きだろう。時々生のものをてんぷらにしたらどんなものだろうかと思ったりするが、釜揚げされたものしか見たことがない。毎年の稚魚の漁獲量は膨大なものだろうが、よく減らないものだと思う。
送られて来た釘煮。彼女の次女がパソコンで作ったラベルが春らしい雰囲気を出している。
彼女が住んでいる神戸の西部から明石にかけては春の魚であるいかなごがよく獲れる地方で、漁が解禁(今年は2月28日)になると商売人はもちろん、各家庭でも一斉に釘煮を作るので、住宅街の中を歩いていてもあたりに香りが漂っているそうだ。何キロも作る家もあるらしい。そうして親戚や知人に贈るのも季節の楽しみなのだろう。私の家の近くの100均ショップでも釘煮用のケースを売っている。
釘煮は佃煮である。出来上がりが曲がった釘のような形なのでそのように呼ばれている。獲れてから数時間以内に煮上げないと、ぴんとした釘のようには仕上がらず、錆びた釘のような脆い食感のものになってしまう。それぞれの家庭ではお得意の味付けがあるようだ。10年位前から輸送能力が改良されたのか、私が住んでいる市でも手に入るようになった。妻も一度作ってみたが、ぴんとした釘状に出来上がり、味もまずまずだったので喜んでいた。砂糖を加えた醤油を煮立たせて、そこにいかなごをさっと入れて煮詰めるのだが、要するにいかなごが新鮮であれば、それほど難しいものではないらしい。香り付けには生姜や柚子を使う。昔ながらの庶民の味だが、デパートなどでは結構いい値段で売られている。
いかなごはイカナゴ科の硬骨魚で、「玉筋魚」と書くようだが、釘煮にする体長2~3センチくらいの幼魚が半透明の体をしているからこのように言うのだろうか。獲れてから時間がたって釘煮にできないものは釜揚げにする。体色は白くなり軟らかく、三杯酢をかけて食べると美味しい。少し成長した稚魚の釜揚げは「新子」と呼ばれて売られていて、同じようにして食べる。20センチほどの成魚となったものは「かますご」とも言われ、少し火であぶったり、そのままで食べたりするが、稚魚と違って少し背骨の感触が口に残る。少し生臭さもあり、人によって好き好きだろう。時々生のものをてんぷらにしたらどんなものだろうかと思ったりするが、釜揚げされたものしか見たことがない。毎年の稚魚の漁獲量は膨大なものだろうが、よく減らないものだと思う。