妻に供える花を買う花店の家が近所にある。その家に植えてある「さんしゅゆ」が今花盛りだ。これも早春の花で、陽光を浴びて輝く小さな黄色い花が美しい。
朝鮮や中国原産のミズキ科の落葉小高木で3メートルくらいになる。近所のさんしゅゆの木もちょうどそのくらいの高さで、ほっそりした樹形である。今では花木として植えられているが、江戸時代の中ごろに中国から渡来し、果実が漢方の生薬として使われるようになった。滋養、強壮の効能があり、盗汗(ねあせ)、頻尿、にも効くと言う。生薬の名称は中国語の「山茱萸」で、これを音読みすると「さんしゅゆ」となる。