兵庫県加古川市で女性が夫に包丁で刺され、病院に運ばれましたが死亡しました。このニュースはインタネットで見たのですが、その見出しが「『公園に誘ったのに断られた』と妻を刺殺」とあったので、時折ありがちな夫婦喧嘩の末のことで、青壮年くらいの年代の比較的若い夫婦の間の事件かと思ったのに、読んでみると刺殺された妻は69歳、夫は77歳と言うので驚きました。
「公園に行こう」と誘うくらいですから、普段はまあまあ仲の良い夫婦だったのではないかと想像するのですが、妻がなぜ断ったのか、どんな断り方をしたのか、それくらいのことで、どうして夫は妻を刺したりしたのか、夫は「公園に誘ったのに断られたのでカッとなった」と供述しているそうですが、記事はそれ以上の詳しいことは書いてありませんから分かりません。それだけに、もし妻が断らなかったら二人で公園で静かに時を過ごしただろうに、また断っても「ああ、そうか」と済ませていたら平穏な生活は続いただろうになどとあれこれと想像してやりきれない気持ちになります。
77歳と言うと私より2歳若く、いわゆる喜寿の年齢ですが、おそらく結婚生活も長く家族にも恵まれた安定した年頃でしょう。この事件の通報者はこの夫婦の娘さんだったようですが、娘さんはもちろん、当事者の夫は今どんな気持ちになっているのだろうかと思います。一瞬の激高の結果が取り返しのつかないことになり、これからのあまり長くはない、残された人生の日々を家族とも世間からも隔離されて過ごさなければならない。自業自得だと言えばそれまでですが、何とも無惨な思いがします。
前にも書いたのですが、夫婦生活と言うものは酒を醸すようなもので、異なった材料が年月を経て次第に混じり合って芳醇なものに変わっていくそんなものではないか(残念ながら私の結婚生活はそこまでに達しませんでしたが)と思います。これもまた前に書いたことですが、「老(おい)ふたり たがいに空気となり合いて 有るには忘れ無きを思わず」という歌があります。私はこの歌が大好きで、卒業生の結婚式に招かれた時のスピーチに織り込んだりしましたし、自分たちもそういうようになりたかったと今思います。夫婦に関しては「偕老同穴」ということばもあります。「生きては共に老い、死しては同じ穴に葬られる」と言うことで、夫婦が仲むつまじく連れ添うことです。
今時は結婚してもすぐに互いの気持ちが合わなくなったなどと言って、別れてしまう夫婦が少なくありませんが、せっかく77歳と69歳になるまで一緒に過ごしてきたのに、ちょっとした行き違いで一瞬にして無残な別れが訪れるとは、本当に哀しいことだと思います。
(朝の散歩から)
ツツジの季節も終わりに近くなり、あちこちでバラを見るようになりました、丹精込めたもの、ほったらかしのものなどいろいろですが、バラにはやはりふと魅かれるような気品があります。
この家はかなりバラに凝っているようです。朝早いのでバラの部分が暗く、うまく撮れませんでした。