教室・自然いろいろブログ

グループ彩雲の創作活動と身近な自然の観察記録

Aさんの新作日本画3点(060-062)

2020年10月14日 | 教室風景

Aさんの新作三点を続けてご紹介いたします。


「静かな時」日本画 P10

あえて鈍色で描き込んだ睡蓮池は静かな白黒映画の一場面のよう。
花の紅と浮かんでは消える水紋に温かみと生命を感じハッとします。
耳をすませば水音がきこえてくるような情趣あふれる作品です。

近づいてみました。

艶やかな葉は一つとして同じ表情はなく細やかに描き込まれており
生き生きとしています。岩絵の具を重ね、洗い、また重ねることを
繰り返した水も実感があり力強くそれぞれがひかり輝いています。

2点目です。


「蒼富士」 日本画 F10

朝の霊峰。頂にぐっと迫り、凍り付く山肌や流れゆく雲をほぼ白で
描こうと試みた意欲作です。あの質量、人を寄せ付けない厳しさを
岩絵の具をじっくり重ね密度をつくり描き込むことで表現されました。

近づいてみました。

胡粉、天然岩絵の具、新岩絵の具。半透明~不透明まで、それぞれ
異なる質の白色絵の具を使い分けました。険しい岩壁を立ち上げるのに
時間がかかりましたが多くの発見があり意義深い作品となりました。

3点目です。


「スダジイ」 日本画 F10

鬱蒼とした森奥に立つ大きなスダジイ。広く張った根、深く皺の刻まれた
木肌に遥かな年月を感じます。木を取り囲む雰囲気も深い味わいがあり
生き物の気配に満ちています。思わず根元の洞を覗き込みたくなります。

近づいてみました。

今なお新しい枝葉を伸ばしている老木の生命力とそれを支える森に
感じ入り、その秘密を探るように描き込まれたひとつひとつの表情は
生気に溢れています。すべてが今にも動き出しそうで目が離せません。

幅広いモチーフを描き様々な技法を試し世界を深めてきたAさんの
過去の作品はHP「上郷森の家絵画教室及川みほクラス」内の
作品集の中のAさんのページに制作順に掲載されています。
ぜひこちらもご覧ください。


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