蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

永遠の〇(ゼロ)

2013年08月11日 | 本の感想
永遠の〇(ゼロ)(百田尚樹 講談社文庫)

あらゆる手段を尽くして生き残りたい、という希望を持った零戦の凄腕パイロットの真珠湾から特攻で敵艦に突入するまでを描いた作品。
今をときめく百田さんのデビュー作だそうで、文庫にはいってから何百万部も売れているそうですが、最初はメジャーとは言えない出版社から出ていたというのは意外でした。

太平洋戦争のクライマックス場面ばかりを描くので、戦史について、多少なりとも知識がある人にとっては、ちょっと退屈な展開かもしれませんが、リーダビリティが極めて高く、読み進めやすいので、戦争にあまり興味がなかった人が読むと、感動を誘うんだろうな、と思いました。

主人公はなぜそこまでして生き残りたかったのか、それにもかかわらず、逃れようと思えばそうできた特攻に臨むことになったのはなぜなのか、というのが本書のテーマだと思うのですが、(特に前者は)説明や描写が十分でなく、やや説得力に欠けるような気がしました。

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