蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

スターリンの葬送狂騒曲

2019年11月24日 | 映画の感想
スターリンの葬送狂騒曲

スターリンが急死した後、その葬式までの間のソ連政府内の権力闘争をコミカルに描く。
スターリン亡き後の序列NO.1のマレンコフが仮のトップとなるものの、フルシチョフ-モロトフラインと秘密警察を指揮するベリヤが激しく実権把握を争う。スターリンの娘(スヴェトラーナ)と息子(ワシーリー)もからめて権力闘争が面白おかしく語られている。

この映画を見る限り、本当の決定権を持っていたのは赤軍を掌握するジューコフ(よく見る実物の写真のように、勲章をこれでもか!というくらいぶら下げた衣装がおかしかった)のようで、自ら表に出る気はない彼をとりこんだフルシチョフが、ベリヤを追い詰めて勝利を得たようです(現実では、フルシチョフが政権につくとジューコフは追放(後に復権)されてしまったはずですが)。

ベリヤは、フルシチョフとジューコフにより、即席裁判を形式的に行われ、葬儀の裏で銃殺されてしまいます。秘密警察のヘッドだった彼は、FBIのフーバーのように高官たちの秘密を握っていたはずで、それを漏らす前に抹殺してしまったのでしょう。このあたり、映画の中ではとぼけた爺さん位にしか見えず、冷戦時代にあっては(相対的に)穏当であったフルシチョフも相当に冷酷な権力主義者だったようです。

今となってはなじみが薄れてきた人たちの複雑な人間関係をうまく消化して、知識がない私がみても十分に権力闘争の滑稽さが理解できるような良い作品でした。

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