蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

軍師二人

2021年07月16日 | 本の感想
軍師二人(司馬遼太郎 講談社文庫)

表題作は、後藤又兵衛基次と真田幸村の微妙な人間関係を描く。ごく短い掌篇なのだけど、大長編を圧縮したような面白さが感じられる。司馬さんは、他の作品でも又兵衛びいきが感じられるけど、本作でもそれは露骨なまでに表現されている。

「雑賀の舟鉄砲」は秀吉軍に包囲された三木城と別所長治を、顕如の命で派遣された雑賀党の市兵衛の視点で描く。この舞台設定だけでもひどく斬新な気がする。飢餓地獄の城内にあっても終始とぼけた感じの市兵衛のキャラもいい。

「割って、城を」は古田織部に侍大将として招かれた歴戦の勇士:鎌田刑部左衛門の話。トリッキーな展開が面白い。

「女は遊べ物語」はコミカルな感じで、「めかけ守り」「雨おんな」「一夜官女」「侍大将の胸毛」は司馬さんとしては珍しい女性が主人公の恋物語。

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