蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

こちらあみ子(映画・小説)

2024年11月22日 | 映画の感想
こちらあみ子 映画・小説(今村夏子・ちくま文庫)

小学生のあみ子は、落ち着きがなく、学校にも行ったり行かなかったり。父はやさしいが、自宅で習字教室を開く母はどこか他人行儀。その母が妊娠して弟か妹ができることになるが・・・という話。

映画を見てから原作を読んだ。もし先に原作を読んでいてこの小説を映画化すると聞いたら「無謀だ・・・」と感じたと思うが、映画は驚くほど原作に忠実でその持っている奇妙でやや不気味なんだけどカラッとしているムードをとてもうまく再現できていたと思う。

今村さんの作品を読むのは4冊目だが、世間からするとちょっと異常なところがある人を、世間並の人の視線から描いて、そのうちどちらが正常なのかがわからなくなるような内容が多いかな、と思えた。
本作も、小説にしても映画にしても、あまり人気が出るような内容ではないと思えるのに、いずれも評価が高く、今村さんの(読書界?における)人気が非常に高いのは、皆、何が正しくて、何が間違っているのかわからなくなっていることに不安を感じているせいではないかと思った。

映画では父親役の井浦新さんと、あみ子の臨席の男の子が、特によかった。

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