そっと寄り添ったり、
ひとりは上へ ひとりは下へと
だんだん分かれていったり…
そして
ときには ひとつになる 美しい流れ。
自分(自分たち)だけが
酔って きもちよくなってしまってはいけないと
わかってはいるけれど、
ふたり一緒にレッスンを受けるたび
楽しいねぇ

幸せだねえ

と 感じていた。
レッスンそのものは、
自分(たち)が かなり背伸びをして
そこにあるものを つかみとろうとがんばらなくては届かない
キビシイ ものではあったけれど。
私などは、
「そっちから ぜんぜん子音がきこえてこないよ。
ぬっくさんに たよってる??」
「はあ…
(そんなつもりはないけど、きっと無意識のうちにそうなってる!?)
スミマセン そうかも」
そして、
合唱だと 何人かがシッカリ子音を発音してくれれば
まあ 格好がつくんだけどな
二重唱は それじゃあ アカンのねぇ~
なんて フラチなことを思ったり。 アハハ やっぱりたよってるな


は~ むずかしー!

くるし~

できなぁい~!!

と 何度も感じたけれど。
それでも 歌えることが幸せだった。
ひとつのフレーズが終わるところでの、
言葉の切りかた、切る位置、
ブレスのタイミングも
ひとりで歌うのとはちがって
ココはかならず 合わせてね
とか
ココは、上のパートは 音量はおなじか少しおとしていく感じでも
下のパートは 音が下がっていくから
むしろ 高まっていく感じでネ
とか
ふたりで歌うからこそ、ならではの
こころがけるべきことが
たくさんあった。
でも、
いちばんたいせつなこと(?だと思った)が
足りていなかったことに
発表会前の 最後のレッスンで
気づかされる。
「ねえ…
おふたりは、この歌が
何いろだと感じて歌っていますか??」
「……」
情景をイメージすること。
おぼろげながら 自分のなかには描いていても、
この色だ!
と 1色を明確には感じていなかったし、
それを ふたりで話し合ったこともなかった。
「優しき 君のすがた」
を 思い浮かべながら 歌おうね~
と 話していたことがあり、
イメージは それぞれのイメージで
それでじゅうぶんなのかと思っていて。。。
あとの練習のなかでは
ハモること、息をあわせること、
そんな歌うための技術的なこと ばかりに必死で。
でも、考えてみたら そうか!
ピアニストの先生からも
「それじゃあ、アカンわ!
おふたりの色を、きちんと決めて下さい」
と ダメ出しが。
歌うふたりと、
ピアニストが 同じ色(同じにとけあえる色)
を感じて
おなじ方向を みつめていること。
ひとつの音楽を奏でるには
それが何より たいせつなのにちがいない。
発表会当日。
失敗の確率も倍… とは 胸に留めていたけれど、
ソロで歌うより うんとココロ丈夫に、
のびのびと。。。きもちよく歌えたと思う。
(きもちよく歌って…よかったのかなあ??)
何人かのひとに、
「二重唱 よかったよ♪」
と 言ってもらえたのが、とてもうれしかった。
また ぜひ歌いたいなあと思う。
さらなるハーモニーの美しさ は永遠につづく課題だし、
今度は たがいの旋律をもっと生かしあえるように、
出たり ひっこんだりのかげんも
もっと考えながら 歌えたらいいな。
おなじ旋律を歌うところは
もっとひとつになれたらいいな。
歌の情景 についてももっと
深くイメージしたり 話し合ったり
できたらいいな。
寄り添っては、
また すっとふたてに分かれる。
離れたかと思うと、
また 近づいてくる。
おなじ旋律を歌うときの、
のびやかにとけあう きもちよさ。
ちがう旋律が たがいを生かしあって
ひとつの音楽になる 高揚感。
寄りかかるのではなくて、
そっと寄り添う。
すっと背中をおされて前に出たり、
ちょっとひっこんで
相手を前に 出す。
じぶんの役割を果たしながら、
相手を信頼してゆだねる。
だれかと一緒に歌うことって、
だれかとパートナーになって 生きることと
よく 似ているような気がする。
そのために なにが必要でたいせつかということも。
リハーサルを終えたとき、
先生が下さった ひとことアドバイスのメモには
こう書かれていた。
ふたりで どこかおなじ方をみていてね
(心の中もね)
