その(2)
「時間を盗むなかれ」
『社用族とは、社用の金品を社用に使う以上に私用にも使う人のことであります。ところが私達にも会社の金品ではない社用品を私用に使っている場合が多いものです。
すなわち時間を盗むことなのです。私達の会社は毎週実働40時間、年間52週間有給休暇が10日あるとして会社との労働契約時間はおよそ2,000時間となります。この時間をいま仮に本給3万円ボーナス年間18万円として合計54万円で会社に売ったとしましょう。これを1分当たりに換算すると約4.5円となり、会社はサラリーマンからその人の時間を1分当たり4.5円で買い取ったということになるわけです。
売ったからには、物であれ、時間であれ、買った人のもの、サラリーマンの売った時間は会社の所有、会社は買った時間に会社が必要とする仕事をさせ、その仕事から成果が生まれて会社経営が維持され、発展して行くということになります。つまり会社の中での8時間はサラリーマンの時間は会社のものであるからすべて社用に供されてしかるべき、もしもその時間の中で私用をすれば契約違反だというぐらいの強い時間観念があって当然です。
会社によっては「小便するにも許可を得よ」というぐらいうるさいところもある。国鉄の調べでは小便の時間は男子32秒、女子1分33秒だそうだが便所への行き帰り3分は要するだろうから、日2~3回トイレに立てば会社に70円借金したようなもんだ。私用の電話、出勤直後の競馬の話、マージャンのメンバー集め、ゴルフだ野球だ、女の子がどうしたのと雑談に花を咲かせ、会議の待ち時間の雑談からデートのための化粧、おれは偉いんだとばかりに時間中に新聞を見ている人から女の子を私用に使う人、よく計算してみてください今日の自分を、厳密に行けば一日8時間の内10%や15%は私用に使っているもので年間にすれば5万円も7万円もの契約違反をしていることになりかねません。
鉛筆や封筒を使用に使うと文句を言う人があるが、デパートではデラックスなビニール袋をくれる昨今、社名入りの大型封筒くらいジャンジャン女の子に持たせて通勤させるが良い、PRにもなるしそれよりむしろ、時間中のムダ話の注意や時間節約の努力への賞罰をしっかりしてしかるべきでしょ。こまかいことに文句の出る人に限って会社で新聞読んだり、社内の友人同士で人事の噂話を仕込んで自分の時間のみならず、相手の社用時間までも私用に使う「時間の社用族」が多いようです。
四月には時間単価の契約更新があったが、自分の能力を啓発しいかに自分の時間を高く売り、会社に売った時間は私用に使わず会社は安く買いすぎたと思うぐらいの成果を上げる能力を持って時間概念を自覚して精進しているサラリーマンこそ「プロ・サラリーマン根性」といえるでしょう。
しかしもっと罪悪な社用族として、高い値で買った有能なサラリーマンを会社の必要な目的に向かって最高効率に使えない、すなわち人材のムダ使い程、戒めなければならないでしょう。会社経営の立場からは、飲み食いの社用族など問題にならないくらいに、小型の目に付かない時間の、人材のムダ使いの新社用族の弊害のほうが大きく、会社の盛衰を左右するでしょう。サラリーマンよ時間を盗むなかれ、当然のことから自覚しようではありませんか。』(そのママ)
《古いです 時間にうるさい 嫌ですね》