(続)アイラブ桐生・「レイコの青春」(18)
レイコの覚書(4)乳児の突然死・SIDSについて

1970年代の後半に入ると、保育園での保育時における死亡事故や、
重大な怪我などのいわゆる「保育事故」が多発をはじめます。
こうしたことから(残念ながら)多くの幼い命が失なわれました。
ベビーホテルなどの劣悪な環境下とは一線を画して、
専門職としての保母さんたちが運営をする保育の現場でも、
こうした重大な事故の頻発は、解消されることなくその後も続きました。
それらの背景のひとつに
長時間にわたる居残り保育や、休日保育などで、
疲弊しきっている保母さんたちの過酷な労働環境がありました。
同時にまた、報酬の低さを原因とする慢性的な人手不足もあげられます。
当時の女性たちの人気職業として、医療に従事する看護婦さんと、
保育園の保母さんは、常に上位を争っていました。
多くの女性たちが夢とおおいなる希望を持って、こうした分野へすすみましたが、
きわめて過酷な勤務環境の現実と、予想外ともいえる低収入が、
早期の離職を生み出しました。
(これはまた、今日の福祉の世界で奉仕的に仕事をしている、
おおくの低収入の人たちにも共通をしている、厳しい現実問題です)
経済が低成長時代に陥った時代になると
政治による歪みが、教育や、福祉環境の斬り捨てを生み出しました。
それらのしわ寄せが、保育施設や設備の老朽化をまねいたうえに、
さらに人件費の凍結や削減などを進行させてしまいます。
働く女性たちの社会進出でも、その多様化が進行しはじめます。
現代的な貧困化の進行を原因に、第二の共働き現象ともいえる、
パートやアルバイトの領域へ、多くの主婦たちが進出をするようになりました。
残業や休日出勤による保育の長時間化も、熱望されるようになります。
こうした流れは、保育園児や幼稚園児たちにとどまらず、
小学生を対象にした「学童保育」という、あたらしい施設も生み出しました。
保育事故にかんする文献を読んでいたレイコが、
乳幼児の死亡事故の中から、特筆すべきあたらしい「定義」を見つけました。
それは「SIDS」と呼ばれ、欧米を中心に研究がされている
乳幼児に特有する病気の研究でした。
それまで元気でミルクの飲みもよく、すくすく育っていた赤ちゃんが、
ある日突然死亡してしまう病気のことで、欧米では、
乳幼児突然死症候群(Sudden Infant Death Syndrome-SIDS)
と呼んでいる病気です。
かつて、多くの赤ちゃんの命を奪った疾病の、感染や脱水症などは
医学の進歩や社会環境の改善によって、現在では大幅に減少をしています。
それに代わり、以前は関心を持たれなかったSIDSが死亡原因の上位を占めるようになり、
その解明への重要性がクローズアップされてきました。
日本では、年間150人くらいの赤ちゃんが
SIDSで亡くなっており、乳児の死亡原因の第2位になっています。
欧米などでは死亡原因の第1位です。
1歳未満の、特にかわいい盛りの4~6ケ月の赤ちゃんが、
この病気の最大の犠牲者です。(1歳を越えた子には稀です)
男女や、家庭の社会的・経済的水準などの違いは、関係がありません。
伝染する病気でもありません。
近年になってから特に注目されるようになりましたが、
現代病というわけではなく、旧約聖書などにも記述されるほど
古くから知られている病気のひとつです。
SIDSの原因をつきとめ、予防方法を確立するために、
多くの研究者が努力していますが、はっきりした原因はいまだつかめていません。
今のところ、防御反射の異常などがその原因と考えられています。
乳幼児は、通常睡眠時に極短時間の無呼吸や呼吸リズムの不整があります。
通常ならば容易にこの状態から抜け出せますが、
中枢性防御反射の未成熟などを起因として、この状態から抜け出せななくなることが、
突然死に至らしめるという学説です。
厚労省では、
「それまでの健康状態および、既往歴からその死亡が予測できず、
しかも死亡状況調査および解剖検査によっても、その原因が同定されない、
原則として1歳未満の児に突然の死をもたらした症候群。」
と定めています。
日本では解剖を行うことが少ないため、本当は原因がわからず
SIDSだったケースが、窒息や急性心不全などと診断を下された場合もあるようです。
明確に言えることは、SIDSは事故ではなく、病気である、ということです。
虐待や育児上の不手際とは、はっきり区別しなければなりません。

・本館の「新田さらだ館」は、こちらです http://saradakann.xsrv.jp/
レイコの覚書(4)乳児の突然死・SIDSについて

1970年代の後半に入ると、保育園での保育時における死亡事故や、
重大な怪我などのいわゆる「保育事故」が多発をはじめます。
こうしたことから(残念ながら)多くの幼い命が失なわれました。
ベビーホテルなどの劣悪な環境下とは一線を画して、
専門職としての保母さんたちが運営をする保育の現場でも、
こうした重大な事故の頻発は、解消されることなくその後も続きました。
それらの背景のひとつに
長時間にわたる居残り保育や、休日保育などで、
疲弊しきっている保母さんたちの過酷な労働環境がありました。
同時にまた、報酬の低さを原因とする慢性的な人手不足もあげられます。
当時の女性たちの人気職業として、医療に従事する看護婦さんと、
保育園の保母さんは、常に上位を争っていました。
多くの女性たちが夢とおおいなる希望を持って、こうした分野へすすみましたが、
きわめて過酷な勤務環境の現実と、予想外ともいえる低収入が、
早期の離職を生み出しました。
(これはまた、今日の福祉の世界で奉仕的に仕事をしている、
おおくの低収入の人たちにも共通をしている、厳しい現実問題です)
経済が低成長時代に陥った時代になると
政治による歪みが、教育や、福祉環境の斬り捨てを生み出しました。
それらのしわ寄せが、保育施設や設備の老朽化をまねいたうえに、
さらに人件費の凍結や削減などを進行させてしまいます。
働く女性たちの社会進出でも、その多様化が進行しはじめます。
現代的な貧困化の進行を原因に、第二の共働き現象ともいえる、
パートやアルバイトの領域へ、多くの主婦たちが進出をするようになりました。
残業や休日出勤による保育の長時間化も、熱望されるようになります。
こうした流れは、保育園児や幼稚園児たちにとどまらず、
小学生を対象にした「学童保育」という、あたらしい施設も生み出しました。
保育事故にかんする文献を読んでいたレイコが、
乳幼児の死亡事故の中から、特筆すべきあたらしい「定義」を見つけました。
それは「SIDS」と呼ばれ、欧米を中心に研究がされている
乳幼児に特有する病気の研究でした。
それまで元気でミルクの飲みもよく、すくすく育っていた赤ちゃんが、
ある日突然死亡してしまう病気のことで、欧米では、
乳幼児突然死症候群(Sudden Infant Death Syndrome-SIDS)
と呼んでいる病気です。
かつて、多くの赤ちゃんの命を奪った疾病の、感染や脱水症などは
医学の進歩や社会環境の改善によって、現在では大幅に減少をしています。
それに代わり、以前は関心を持たれなかったSIDSが死亡原因の上位を占めるようになり、
その解明への重要性がクローズアップされてきました。
日本では、年間150人くらいの赤ちゃんが
SIDSで亡くなっており、乳児の死亡原因の第2位になっています。
欧米などでは死亡原因の第1位です。
1歳未満の、特にかわいい盛りの4~6ケ月の赤ちゃんが、
この病気の最大の犠牲者です。(1歳を越えた子には稀です)
男女や、家庭の社会的・経済的水準などの違いは、関係がありません。
伝染する病気でもありません。
近年になってから特に注目されるようになりましたが、
現代病というわけではなく、旧約聖書などにも記述されるほど
古くから知られている病気のひとつです。
SIDSの原因をつきとめ、予防方法を確立するために、
多くの研究者が努力していますが、はっきりした原因はいまだつかめていません。
今のところ、防御反射の異常などがその原因と考えられています。
乳幼児は、通常睡眠時に極短時間の無呼吸や呼吸リズムの不整があります。
通常ならば容易にこの状態から抜け出せますが、
中枢性防御反射の未成熟などを起因として、この状態から抜け出せななくなることが、
突然死に至らしめるという学説です。
厚労省では、
「それまでの健康状態および、既往歴からその死亡が予測できず、
しかも死亡状況調査および解剖検査によっても、その原因が同定されない、
原則として1歳未満の児に突然の死をもたらした症候群。」
と定めています。
日本では解剖を行うことが少ないため、本当は原因がわからず
SIDSだったケースが、窒息や急性心不全などと診断を下された場合もあるようです。
明確に言えることは、SIDSは事故ではなく、病気である、ということです。
虐待や育児上の不手際とは、はっきり区別しなければなりません。

・本館の「新田さらだ館」は、こちらです http://saradakann.xsrv.jp/