(続)アイラブ桐生・「レイコの青春」(20)
レイコの覚書(6)通信制の養成学校
保母さんの資格を取得するためには、幾つかの方法があります。
(男女雇用均等法が実現した今日では、名称は『保育士』と呼ばれています)
児童福祉法施行令によると、
1、「厚生労働大臣の指定する保育士を養成する学校その他の施設を卒業した者」
2、「保育士試験に合格した者」となっています。
レイコは仕事を持っていましたので、
養成学校へ通うのは、時間的にも場所的にも困難があります。
そこでまず最初に考えたのが、独学で保育士の国家試験に合格することでした。
しかし、その道はそれほど簡単ではありません。
まず全て自分で参考書を揃え、学習の計画を立てなければなりません。
それでも保母の国家試験のハードルは非常に高いものがあり、
毎年一度で合格している人の合格率は、わずか10%前後です。
レイコは、保育士資格を確実に取得できる道として、
大学か短大が運営する通信教育が最適と考えました。
こうして保育士資格が取得できる大学の通信教育部へ入学することを決めました。
通信教育も、大きく2つにわかれています。
「国家試験を受けなければならない通信講座」と、
「卒業と同時に資格取得できる厚生労働大臣指定の養成学校」の2つです。
通信講座で資格を取るためには、国家試験を受けなければなりませんが、
養成学校は、すべての単位を取得することで、卒業時には保母の資格がもらえます。
ちなみに保育士の国家試験での合格率は、約10%台と低いのですが、
一度合格した科目に関しては、3年間が有効期間となります。
3年以内に、保育士試験の全ての科目で合格すれば資格が取得できるという仕組みです。
これが、「通信講座」と「短大・大学の通信教育部による通信教育」
による大きな違いです。
ただし、通学制の短大の場合なら、
ほぼ2年間で取得が可能な保育士資格と幼稚園教諭2種免許ですが、
通信教育部では、最短でも3年間がかかってしまいます。
しかし、それでも心配は無用です。
通信制の卒業期限は「6年」と定められています。
学校から郵送されてきたテキストを学習し、
レポートを作成して合格をすると、次は科目終末試験と呼ばれるテストを受験します。
大学や短大での通信教育の場合は、
テストは自分で申し込んで受験するという方式をとっています。
したがって、レポートが合格しても試験の申込みをうっかり忘れてしまうと
テストが受けられず、科目を履修することができなくなってしまいます。
そうなると、単位を取得するのが長引いてしまい、
予定していた時期に、卒業することが出来なくなります。
科目終末試験は、
全国の指定された地区の試験会場で行われます。
試験会場となるのは受講している学校や、福祉センターや
市民センターなどにある、大きな会議室などが使われています。
試験の時間は一科目が、50分程度です。
大学によっては、一度に合計4科目受験することも可能です。
試験官は、ほとんどが学校の先生ですが、
卒業生OBがボランティアをしている会場などもあります。
OBの中には、保育関係の仕事を持っている者や、
知り合いに園長先生や保育士、幼稚園教諭などがいる場合などもあります。
年配のOBでは、娘が保育士や幼稚園の先生をしているという者もいます。
このような出あいがきっかけで、保育の実習先が決まったり、
保育園を見学したり、就職先を見つけるなどの意外な展開が
待っている可能性などもあるようです。
しかし、予想通りに、最大の難関が
通信教育を始めたばかりのレイコの前に立ちふさがりました。
「ピアノ」です。
保育士資格を始め、幼稚園教諭免許、小学校教諭免許などの取得には
ピアノを弾けることが求められています。
保育士資格を取得できる大学や短大でも、ピアノの単位取得は必須です。
学校からは、ピアノ学習のための教科書、例えば「音楽Ⅰ」とか
「音楽Ⅱ」といったようなものが郵送されて届きます。
音楽の理論については、テキストや参考図書を見るなどして、
与えられた設題でレポートを記述して、合格することで履修することができますが、
ピアノの実技となると、そう簡単ではありません。
通信教育なので、基本的には家でピアノの練習をします。
通信制の学校が通える範囲にある場合は、その学校のピアノを借りて
練習に行くこともできます。
しかし、肝心のピアノをレッスンしてくれる先生は、
自分で探さなければなりません。
既に子どもの時からピアノを習っていたり、趣味で弾いている場合はよいのですが、
大人になって全く最初からピアノを習う場合は、信頼できる先生が必要ですし、
それなりの時間も必要になってきます。
ピアノ実技を履修するためには
与えられた課題曲を弾けるようになることを求める学校が多いようです。
テストはスクーリングの中で行われますので、
先生の前でテストの課題曲を弾いて合格ならば単位の履修となります。
「そろそろ、お見えになる頃だと思いました。
今日から特訓を始めますので、
とりあえずは、園のオルガンで弾いてみてください。
それ以降は、幸子のピアノが空いていますので、いつでもどうぞ。
今日からは私が、あなた専属の『鬼コーチ』です。」
にっこりと園長先生が、笑っています。
・本館の「新田さらだ館」は、こちらです http://saradakann.xsrv.jp/
レイコの覚書(6)通信制の養成学校
保母さんの資格を取得するためには、幾つかの方法があります。
(男女雇用均等法が実現した今日では、名称は『保育士』と呼ばれています)
児童福祉法施行令によると、
1、「厚生労働大臣の指定する保育士を養成する学校その他の施設を卒業した者」
2、「保育士試験に合格した者」となっています。
レイコは仕事を持っていましたので、
養成学校へ通うのは、時間的にも場所的にも困難があります。
そこでまず最初に考えたのが、独学で保育士の国家試験に合格することでした。
しかし、その道はそれほど簡単ではありません。
まず全て自分で参考書を揃え、学習の計画を立てなければなりません。
それでも保母の国家試験のハードルは非常に高いものがあり、
毎年一度で合格している人の合格率は、わずか10%前後です。
レイコは、保育士資格を確実に取得できる道として、
大学か短大が運営する通信教育が最適と考えました。
こうして保育士資格が取得できる大学の通信教育部へ入学することを決めました。
通信教育も、大きく2つにわかれています。
「国家試験を受けなければならない通信講座」と、
「卒業と同時に資格取得できる厚生労働大臣指定の養成学校」の2つです。
通信講座で資格を取るためには、国家試験を受けなければなりませんが、
養成学校は、すべての単位を取得することで、卒業時には保母の資格がもらえます。
ちなみに保育士の国家試験での合格率は、約10%台と低いのですが、
一度合格した科目に関しては、3年間が有効期間となります。
3年以内に、保育士試験の全ての科目で合格すれば資格が取得できるという仕組みです。
これが、「通信講座」と「短大・大学の通信教育部による通信教育」
による大きな違いです。
ただし、通学制の短大の場合なら、
ほぼ2年間で取得が可能な保育士資格と幼稚園教諭2種免許ですが、
通信教育部では、最短でも3年間がかかってしまいます。
しかし、それでも心配は無用です。
通信制の卒業期限は「6年」と定められています。
学校から郵送されてきたテキストを学習し、
レポートを作成して合格をすると、次は科目終末試験と呼ばれるテストを受験します。
大学や短大での通信教育の場合は、
テストは自分で申し込んで受験するという方式をとっています。
したがって、レポートが合格しても試験の申込みをうっかり忘れてしまうと
テストが受けられず、科目を履修することができなくなってしまいます。
そうなると、単位を取得するのが長引いてしまい、
予定していた時期に、卒業することが出来なくなります。
科目終末試験は、
全国の指定された地区の試験会場で行われます。
試験会場となるのは受講している学校や、福祉センターや
市民センターなどにある、大きな会議室などが使われています。
試験の時間は一科目が、50分程度です。
大学によっては、一度に合計4科目受験することも可能です。
試験官は、ほとんどが学校の先生ですが、
卒業生OBがボランティアをしている会場などもあります。
OBの中には、保育関係の仕事を持っている者や、
知り合いに園長先生や保育士、幼稚園教諭などがいる場合などもあります。
年配のOBでは、娘が保育士や幼稚園の先生をしているという者もいます。
このような出あいがきっかけで、保育の実習先が決まったり、
保育園を見学したり、就職先を見つけるなどの意外な展開が
待っている可能性などもあるようです。
しかし、予想通りに、最大の難関が
通信教育を始めたばかりのレイコの前に立ちふさがりました。
「ピアノ」です。
保育士資格を始め、幼稚園教諭免許、小学校教諭免許などの取得には
ピアノを弾けることが求められています。
保育士資格を取得できる大学や短大でも、ピアノの単位取得は必須です。
学校からは、ピアノ学習のための教科書、例えば「音楽Ⅰ」とか
「音楽Ⅱ」といったようなものが郵送されて届きます。
音楽の理論については、テキストや参考図書を見るなどして、
与えられた設題でレポートを記述して、合格することで履修することができますが、
ピアノの実技となると、そう簡単ではありません。
通信教育なので、基本的には家でピアノの練習をします。
通信制の学校が通える範囲にある場合は、その学校のピアノを借りて
練習に行くこともできます。
しかし、肝心のピアノをレッスンしてくれる先生は、
自分で探さなければなりません。
既に子どもの時からピアノを習っていたり、趣味で弾いている場合はよいのですが、
大人になって全く最初からピアノを習う場合は、信頼できる先生が必要ですし、
それなりの時間も必要になってきます。
ピアノ実技を履修するためには
与えられた課題曲を弾けるようになることを求める学校が多いようです。
テストはスクーリングの中で行われますので、
先生の前でテストの課題曲を弾いて合格ならば単位の履修となります。
「そろそろ、お見えになる頃だと思いました。
今日から特訓を始めますので、
とりあえずは、園のオルガンで弾いてみてください。
それ以降は、幸子のピアノが空いていますので、いつでもどうぞ。
今日からは私が、あなた専属の『鬼コーチ』です。」
にっこりと園長先生が、笑っています。
・本館の「新田さらだ館」は、こちらです http://saradakann.xsrv.jp/