(続)アイラブ桐生・「レイコの青春」(19)
レイコの覚書(5)SIDSの実際例について
SIDSはほとんどの場合、赤ちゃんが睡眠中に起こります。
特に、うつ伏せで寝かされていた赤ちゃんに
SIDSの発症頻度が高いことが、疫学調査で明らかにされつつあります。
うつぶせ寝と突然死発症のメカニズムの関係が、解明された訳ではありませんが、
欧米では、仰向け寝を推奨するキャンペーンによって
SIDSの発生率が減ったという報告もあり、何らかの関連があることは、
疑う余地がありません。
「娘の死をむだにしたくない。」
千葉県・松戸市の小学校教員、森岡広茂さん(51)夫妻は
そう思って始めた裁判を、もう20年間にわたって闘い続けています。
長女の真理子ちゃんが亡くなったのは、
生後9か月になった、1974年2月のことです。
妻の綾子さんは教員で、当時は仕事を続けるために、
市役所で紹介をされた無認可保育所へ、真理子ちゃんを預けていました。
真理子ちゃんは昼寝の際に、布団にうつぶせに寝かされ
見つかった時は顔を真下に向け、乳児用の布団に顔を押しつけるようにしていました。
布団に敷いたバスタオルが、顔の周りでくしゃくしゃになっていたそうです。
司法解剖では、鼻や口がふさがれた窒息死として、鑑定がなされました。
経営者は、業務上過失致死罪で略式起訴され、罰金刑を受けました。
経営者が、刑事責任を認めたことになります。
この保育所は、昼休みに保母が不在になるなど保育体制がずさんだったとして、
森岡さん夫妻は、1977年,保育所に補助を出していた市や経営者などを相手に
損害賠償を求める訴訟を起こしました。
一審では、死因は窒息と認められ一部勝訴をします。
ところが、二審の東京高裁では「死因はSIDS(乳幼児突然死症候群)」として、
請求を退けたため、一転、逆転敗訴になってしまいました。
一審判決では体を解剖し、窒息と判断した
医師の鑑定がよりどころになったのに対して、二審では
「9か月の子供は、うつぶせでも窒息しないように、危険は回避できる」
などとした、別の専門家の鑑定が重視されました。
審理は今でも、最高裁で続いています。
元気だった赤ちゃんの命を奪う、
SIDS(乳幼児突然死症候群)とは,一体、どんな病気でしょうか。
厚生省研究班の定義では、
「それまでの健康状態や、既往歴からは全く予想できず、死亡時の状況や、
解剖によっても原因が分からない場合を指す。
聖書にも、SIDSと思われれる乳児の突然死の記載があり、
古くからあったことがうかがわれる。」
と、まとめています。
欧米の先進諸国では現在のところ、乳幼児の死亡原因のトップを占めています。
最近の研究では、突然死した1歳児以下の子供288人の死因を調べたところ、
その54%が、SIDSだったという報告がのこっています。
日本では、赤ちゃん2000人に1人の割合で起きると言われています。
生後2か月から5か月までがもっとも多く、1歳以降では稀とされています。
男児の方が、女児より7割ほど多いと言う報告もあります。
母親が、妊娠中に喫煙していた場合も増えるとされているようです。
「うつぶせ寝」と関連があるとするデータが多いようです。
オランダでは、1970年代にうつぶせ寝が奨励されたのと並行して
このSIDSが急増をしてしまいました。
このために、うつぶせ寝をやめるキャンペーンで、
SIDSは約40%減少したと、1990年に報告がなされています。
ニュージーランドでは,うつぶせ寝にしない。
妊娠中や、子供のそばでは喫煙しない。
子供を厚着などで暖めすぎない。
母乳で育てる -- という内容のキャンペーンにより、
SIDSがほぼ5分の1に、イギリスでは、ほぼ半減したという結果もあります。
イギリスの厚生省や、アメリカの小児科学会では、
うつぶせ寝をやめるよう勧告をしています。
日本でも、SIDSで亡くなった子供の約8割は、うつぶせ寝です。
あおむけ寝でも起きるため、
日本の厚生省の研究班は、慎重に検討しているようですが、
「うつぶせ寝は突然死の危険を高める、やめるべきだ」
と考える専門家は多いようです。
・本館の「新田さらだ館」は、こちらです http://saradakann.xsrv.jp/
レイコの覚書(5)SIDSの実際例について
SIDSはほとんどの場合、赤ちゃんが睡眠中に起こります。
特に、うつ伏せで寝かされていた赤ちゃんに
SIDSの発症頻度が高いことが、疫学調査で明らかにされつつあります。
うつぶせ寝と突然死発症のメカニズムの関係が、解明された訳ではありませんが、
欧米では、仰向け寝を推奨するキャンペーンによって
SIDSの発生率が減ったという報告もあり、何らかの関連があることは、
疑う余地がありません。
「娘の死をむだにしたくない。」
千葉県・松戸市の小学校教員、森岡広茂さん(51)夫妻は
そう思って始めた裁判を、もう20年間にわたって闘い続けています。
長女の真理子ちゃんが亡くなったのは、
生後9か月になった、1974年2月のことです。
妻の綾子さんは教員で、当時は仕事を続けるために、
市役所で紹介をされた無認可保育所へ、真理子ちゃんを預けていました。
真理子ちゃんは昼寝の際に、布団にうつぶせに寝かされ
見つかった時は顔を真下に向け、乳児用の布団に顔を押しつけるようにしていました。
布団に敷いたバスタオルが、顔の周りでくしゃくしゃになっていたそうです。
司法解剖では、鼻や口がふさがれた窒息死として、鑑定がなされました。
経営者は、業務上過失致死罪で略式起訴され、罰金刑を受けました。
経営者が、刑事責任を認めたことになります。
この保育所は、昼休みに保母が不在になるなど保育体制がずさんだったとして、
森岡さん夫妻は、1977年,保育所に補助を出していた市や経営者などを相手に
損害賠償を求める訴訟を起こしました。
一審では、死因は窒息と認められ一部勝訴をします。
ところが、二審の東京高裁では「死因はSIDS(乳幼児突然死症候群)」として、
請求を退けたため、一転、逆転敗訴になってしまいました。
一審判決では体を解剖し、窒息と判断した
医師の鑑定がよりどころになったのに対して、二審では
「9か月の子供は、うつぶせでも窒息しないように、危険は回避できる」
などとした、別の専門家の鑑定が重視されました。
審理は今でも、最高裁で続いています。
元気だった赤ちゃんの命を奪う、
SIDS(乳幼児突然死症候群)とは,一体、どんな病気でしょうか。
厚生省研究班の定義では、
「それまでの健康状態や、既往歴からは全く予想できず、死亡時の状況や、
解剖によっても原因が分からない場合を指す。
聖書にも、SIDSと思われれる乳児の突然死の記載があり、
古くからあったことがうかがわれる。」
と、まとめています。
欧米の先進諸国では現在のところ、乳幼児の死亡原因のトップを占めています。
最近の研究では、突然死した1歳児以下の子供288人の死因を調べたところ、
その54%が、SIDSだったという報告がのこっています。
日本では、赤ちゃん2000人に1人の割合で起きると言われています。
生後2か月から5か月までがもっとも多く、1歳以降では稀とされています。
男児の方が、女児より7割ほど多いと言う報告もあります。
母親が、妊娠中に喫煙していた場合も増えるとされているようです。
「うつぶせ寝」と関連があるとするデータが多いようです。
オランダでは、1970年代にうつぶせ寝が奨励されたのと並行して
このSIDSが急増をしてしまいました。
このために、うつぶせ寝をやめるキャンペーンで、
SIDSは約40%減少したと、1990年に報告がなされています。
ニュージーランドでは,うつぶせ寝にしない。
妊娠中や、子供のそばでは喫煙しない。
子供を厚着などで暖めすぎない。
母乳で育てる -- という内容のキャンペーンにより、
SIDSがほぼ5分の1に、イギリスでは、ほぼ半減したという結果もあります。
イギリスの厚生省や、アメリカの小児科学会では、
うつぶせ寝をやめるよう勧告をしています。
日本でも、SIDSで亡くなった子供の約8割は、うつぶせ寝です。
あおむけ寝でも起きるため、
日本の厚生省の研究班は、慎重に検討しているようですが、
「うつぶせ寝は突然死の危険を高める、やめるべきだ」
と考える専門家は多いようです。
・本館の「新田さらだ館」は、こちらです http://saradakann.xsrv.jp/