医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

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アスピリンとペルサンチンは脳梗塞の再発率を下げる

2006年01月19日 | 循環器
ジピリダモール(商品名ペルサンチン)という薬にも血小板凝集を抑制する作用があり、狭心症や心筋梗塞の予防に使用されています。また、腎臓の組織内での凝集を予防し、蛋白尿を減少させる目的でも使われています。

今回はペルサンチンが脳梗塞の再発の予防にどれだけ有効かという報告です。
European Stroke Prevention Study 2. Dipyridamole and acetylsalicylic acid in the secondary prevention of stroke.
Journal of the Neurological Science. 1996;143:1.
(インパクトファクター★★☆☆☆、研究対象人数★★★★★)

3カ月以内に脳梗塞または一過性脳虚血発作を生じた18歳以上の患者さんが、アスピリン50mg/日内服群(1,649人)とペルサンチン400mg/日内服群(1,650人)、アスピリン50mg/日+ペルサンチン400mg/日内服群(1,650人)、プラセボ群(1,649人)に無作為に割り当てられ、2年間前向きに調査されました。

脳梗塞の再発率はプラセボで15.1%に対して、アスピリン単独で12.5%、ペルサンチン単独で12.7%、併用で9.5%、とアスピリンやペルサンチンの使用が有意に発症を抑制していました。

脳梗塞の再発率と全ての原因による死亡をあわせた場合でも、プラセボで22.9%に対して、アスピリン単独で20.0%、ペルサンチン単独で19.4%、併用で17.3%、とアスピリンやペルサンチンの使用が有意に発症を抑制していました。

頭痛が最も頻度の高い副作用で、ペルサンチン投与群で多く認められました。

さて、コストベネフィットですが、アスピリン50mgという錠剤はないので100mgの錠剤を用いるとして、ペルサンチン100mgは29.5円、アスピリン100mgは6.4円ですから、どちらか単独で投与するならば、脳梗塞の再発1人予防するのにアスピリンでは18万円、ペルサンチンでは359万円で、アスピリンを使用する方がコストは安くなります。併用の場合は162万円です。

総合的に考えると、脳梗塞の再発1人予防するのに162万円が安いと考えられる場合は併用、高いと考えられる場合はアスピリン単独ということになります。

ただし、日本でのペルサンチンの使用量は、狭心症や心筋梗塞で75mg、蛋白尿減少させる目的で最高300mg、心臓の人工弁置換術後の血栓形成予防で400mgですから、この量で同様の効果が期待できるかは不明です。


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コメント (2)
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