医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

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外傷は急性心筋梗塞のリスクを増大させる

2006年01月28日 | 循環器
外傷と急性心筋梗塞という一見関連のない状態が、じつは関連していたというユニークな報告です。

Trauma associated with acute myocardial infarction in a multi-state hospitalized population.
International Journal of Cardiology. 2005;105:141.
(インパクトファクター★★★☆☆、研究対象人数★★★★★)

1997年の米国19州の入院データが後ろ向き(過去を調べる)に調査されました。調査対象は1,780万人の入院のうち外傷で入院した105万人です。

外傷は心臓に対する鈍的外傷、胸部外傷、腹部外傷、骨盤外傷、背部外傷、脊椎外傷に分類されました。心臓に対する鈍的外傷と心筋梗塞は胸痛という共通した症状を呈するために、急性心筋梗塞の診断は心臓の血管造影で直接診断されました。

外傷で入院した患者105万人のうち0.26%が心臓に対する鈍的外傷でした。105万人のうち32,616人(なんと3.1%)が急性心筋梗塞を発症しました。

急性心筋梗塞を発症した患者全体では転落による外傷が49.1%と最も多く、46歳以上では転落による外傷が58%、次に交通事故が22%でした。45歳以下では交通事故が31%と一番の原因でした。

46歳以上では、心臓に対する鈍的外傷を受傷した患者の急性心筋梗塞の発症率はそうでない場合の8.38倍で、45歳以下では31.4倍でした。骨盤外傷と腹部外傷を受傷した場合、発症率は46歳以上で1.65倍、45歳以下では1.93倍でした。

心臓に対する鈍的外傷では、もともと心臓の血管にあったコレステロールの塊の破裂を促進させること、骨盤外症は出血による循環血液量の減少、腹部外傷では腹部圧迫による心臓の血管内のずれる圧力の増加が原因として考えられると結論しています。

糖尿病、高コレステロール血症、高血圧、喫煙歴のある方は、心筋梗塞の予防のために外傷にも気をつけないといけないという示唆に富んだ報告でした。

今は何位かな?

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コメント (2)
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