しばられ地蔵
とまりぎ
葛飾区の水元公園のすぐ近くに、しばられ地蔵で有名な天台宗の寺がある。
業平山南蔵院は、貞和四年、林能法師により開創された創建六百年を誇る。在原業平氏ゆかりの寺院で、境内には大岡裁きでおなじみの「しばられ地蔵尊」を安置している。
門も新しく、きれいになった。寺の信者と思われる人が、この門前のゴミを取ってきれいにしている。信心とはそのようなものかもしれない。
本堂の脇に「しばられ地蔵」とある。大岡裁きで有名になった話が、落語にある。ラジオで落語を聴いていると情景が頭の中に勝手にできあがってきて、それは案外いいものだ。
文京区の茗荷谷駅近くにも「しばられ地蔵」があったな。そうだ、5月に駅からハイキングで行った林泉寺だった。
江戸時代の葛飾は北千住の先だから、のどかな田畑が広がる中に民家が点在する風景だったに違いない。しばられ地蔵の南蔵院がその奥にひっそりとした存在だったのだろう。さらに奥にある水元公園は湿地帯で、「釣仙郷」といわれ、釣の人たちが訪れることについては今と変わりなかったかもしれない。