この頃、いろいろな食品についている賞味期限を見直そうという話が出ていますね。
確かにまだ傷みもせず十分食べられるのに賞味期限切れという商品も多いですし、
最中や羊羹など昔からかなり保存できる食品でさえ、恐ろしく短い賞味期限がついていたりします。
食べられるのにもったいないですよね。
しかし、加工食品の賞味期限にはうるさいのになぜか生の果実に対しては寛容です。
まあそれにはいろいろな理由があるんでしょうけれど。
でも、ちょっと許せないのは、法事の仏前におそなえされたり、お葬式などにお供えされる果物籠(最初から籠にセットされている果物)です。
なぜかというと、そういうお供え用の果物籠に入っている果物というのは、見た目高級そうなものばかりですが、十中八九傷んでいたり鮮度が落ちて商品価値のないもので占められています。
まともに食べられるようなものが入っていることのほうが少ないです。
お供え用は購入した人が食べることはまずないので、傷んでいても腐っていても分からないだろうという考えなのでしょう。
もしこれらの果物がバラ売りされていたらクレームが殺到すること違いなしです。
絶対に返品されますよ。
そもそもお供えというのは御本尊様、仏様、あるいは亡くなられた方の御霊前にささげるものですから、新鮮で良いものを使うのが鉄則です。
人間だって腐ったものを差し出されたら腹立つでしょう。
これだけ賞味期限にうるさい世の中で、昔から変わらずにこのようなひどい商品が売られ続けていることに驚きます。
果物屋さんにとっては高い商品の売れ残り(商品価値のない)を廃棄する手間を省き、高い価格で売る絶好の機会となっているのでしょう。
そろそろ、この悪習慣を改善した方がよいのではないでしょうか。
購入した方に失礼ですよ。もちろん仏様にも。
たぶん、こういうことは一般には知られていないのだと思いますが、お寺の人間ならよく知っていることです。
時々、御自分のお宅の葬儀が終わった後、お供えされた果物を近所に配ったりされる方がありますが、よく、中身(傷んでないか、食べられるかどうか)を確かめてから差し上げることをお薦めします。
傷んでいるものを差し上げるとかえって先方に失礼になりますからね。
果物籠にセットされたお供物用の果物は信用できないですから気をつけましょう。



