先週、朝日地域にあるホテルで、砂防工事が開始された直後に温泉が止まった問題について、笹山県議会議員と一緒に調査してきました。
問題のホテルは、S53年に温泉利用の許可を取り、これまで30年近く一度のトラブルも無く営業してきましたが、先月、ホテルから数百メートル離れた地点で工事が開始されると程なく、突然温泉が止まったということです。
役所側の姿勢は、「工事と温泉が止まったことの因果関係の証明」を求めるということのようで、ホテルは温泉成分の分析を調査期間に依頼しました。
調査報告書を見ると、工事現場で確認された成分の9割以上が温泉からも検出されており、ホテルの営業の経過と今回工事開始後の時期を見ても、因果関係を伺わせるのに十分ではないかと思われました。
私は、工事を請け負った建設会社の案内で、県議会議員、元朝日村議会議員、専門家(建設業者)、ホテル関係者と一緒に現地を視察しました。
工事現場は、ホテルから砂利の急坂道を数百メートル登り切った(私の四輪駆動の軽自動車も途中で停まりそうになりました)ところにありました。
(最下部から現場全体に臨む)
山肌が崩落し、放置すると地滑りや、下流域での土石流の原因となりかねないために、水路を設置するなどの工事のようでした。
現場そのものも急傾斜地で、調査は「山登り」と同じでした。
崩落は、山地全体が崩壊の時期に入っているということが背景になっていますが、現地の方のお話では、「昭和30年代にブナ林を伐採してから、『山が動く』ようになった」ということで、伐採が崩落を招いたという状況が伺えました。
山肌を切り開き、鉄製の枠で水路をつくっていくという工事の技術には驚きましたが、人が立ち入ることも無い山奥で(但、六十里越街道の一部と交差している区間もありました)このような大規模な工事が繰り広げられるということには、違和感を感じざるを得ませんでした。
(鉄製水路) (施行された水路)
これまで行政訴訟の場合には(今回はまだ訴訟ではありませんが)、被害者・国民が行政の行為によって損害が生じたことを証明する義務を負わされています。
しかしそれは非常に困難なことであることが多いようです。
今回のケースなどは、行政の側が「工事と温泉停止は無関係」の証明をおこなう義務が存在すると見るべき典型的事例と思います。
正当な補償がおこなわれるように、取り組んでいきたいと思います。
(笹山県議と)