昨日、5月3日は憲法記念日。今年は、日本国憲法が施行されて60年目に当たる年です。そして今、安倍内閣が「自分の任期中に憲法を変える」と明言し、国会も民主党も含めて改憲勢力が議席の3分の2を占め、今国会で憲法改正のための手続き法案が審議を進められるという、緊張した情勢の中で迎える憲法記念日となっています。
私は、大学に行って初めて憲法を学びました。その中で憲法制定に至る歴史を知り、かつて大学生も戦争に動員されて、大学に行くことすらできずに命を奪われた時代があったことをしって衝撃を受けました。その痛苦の反省に基づいて憲法が制定されたということを胸に刻みました。
卒業後鶴岡に戻って医療の職場に就職し、今日の医療や社会保障制度、暮らしの関わるあらゆる制度が、憲法25条「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という条文を拠り所にして、一歩一歩築かれてきたものだということを知りました。
一昨年、市議会議員の仕事を拝命してからの1年半、鶴岡の市民生活の中で、憲法の理念にそぐわない現実が進みつつあることを実感しました。特に、25条からの後退です。私はそれ=鶴岡の現実を、憲法の理想の方向で解決していくために頑張っていこうと考えています。
「憲法は古くて現実に合わなくなった。非現実的だ」などという主張があります。
しかし、長い目で見ると、憲法の理想に基づいて、戦後の60余年の日本の平和な国づくり、民主的国づくりが進められ、そのことは国民が評価しています。
今年の読売新聞の世論調査では、憲法が「日本に平和が続き経済的発展をもたらした」と考える人が87%、九条改正に反対の人・改正不要と考える人が56%で、これは年々増加するという結果になっています。
「空想」と「理想」は違います。
後者は、「今はとても実現できないけれど、できれば実現させたいこと、未来には可能性があること」です。そしてそういう理想に基づく努力が、社会を発展させていく力です。それは、一人一人の人間にとっての「理想」とも同じことなのかなあと思います。
今日は、そういう思いを込めて、鶴岡市内13ヶ所で街頭宣伝をおこないました。
人通り・車通りの多い場所を中心にしましたので、一ヶ所で数百人・数百台の車の市民の皆さんの目に触れたかと思いますが、かなり多くの方々から声援・激励を戴きました。憲法をめざすべき理想として頑張っていきたいという思いを新たにしました。
さて、憲法に関わって感じることがあった絵本を紹介します。
「世界でいちばんつよい国」です。
むかし大きな強い国がありました。大きな国は大統領の命令の下、「せかいじゅうの人びとをしあわせにするために」、他の国をつぎつぎと征服していきます。
そして、最後に残った小さな国に攻めていくと、なんとその国には兵隊がいませんでした。
大きな国の兵隊は、小さな国の人々に歓迎され、ごちそうを食べ、歌や遊びを習い、仕事を手伝うようになりました。
大統領は怒り、「たるんでしまった兵隊」たちを国に帰し、「しゃきっとした兵隊」と入れ替えますが、「しゃきっとした兵隊」もしばらくするとやはり同じようになってしまいました。
大統領は、ちっぽけな国のことなんかどうでもいいやと思い直して国に戻ることにしました。なつかしい大きな国に戻ってみると・・。
この絵本は、英国の絵本作家デビッド・マッキーの作で、2005年に発行されています。
言うまでもなく、アメリカが世界の世論を無視して強行したイラク侵略戦争がすっかり行き詰まった時期です。
既にイラクでは10万人と言われる人々の命が奪われました。イラク戦争を全面的に支持し協力してきた日本の私たちにとって(英国の人たちにとっても)、余りにも重い現実です。
しかし、そういう現実に対し、憲法九条が希望の道を示していることを感じさせてくれる絵本だと私は思いました。
このように書くと、大人向きの本のように思われますが、この絵本はそれだけではなく、「本当の強さとは何か」考えさせてくれますし、「強い者」と「弱い者」の融和の希望をも示してくれるようです。
作家が日本国憲法九条について知っているのかどうかわかりませんが、「『人の道』から平和を考えると九条に行き着く」、ということが自然に伝わってくると思いました。
まず、お父さん、お母さんから手にしてみてもらいたいと思います。
5月3日(木)「しんぶん赤旗」 平和支え憲法60年
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-05-03/2007050301_01_0.html
同 憲法施行60周年にあたって 日本共産党書記局長談話
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-05-03/2007050302_04_0.html
「せかいでいちばんつよい国」絵本ナビ
http://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=7805
デビット・マッキーの他の本
http://www.ehonnavi.net/author.asp?n=1168