関とおるの鶴岡・山形県政通信

安心して住み続けられる山形県をめざして、住民の暮らし、県政の動き、そして私の考えと活動をお知らせします。

介護確保、市民参加の市政を~質疑の要約~

2014年09月20日 | 市政全般

先日掲載した一般質問を若干要約し、小見出しをつけましたのでどうかご覧下さい。

真の地域包括ケア体制構築を
 地域包括ケア体制=住み慣れた地域で、住まいを確保し、必要な医療や介護、予防、生活支援などが適切に提供され、暮らしていける体制をつくることは市民の願い。
国の制度改悪の影響は重大
 国も今年度から「低所得高齢者等住まい・生活支援モデル事業」を始めたが、その背景には制度改悪の重大な影響がある。
 例えば、「一定の所得の有る方の利用者負担が1割から2割」になる問題では、事例で見ると、「要支援2で食費等を含めて月27758円負担している人が、35516円に」「要介護4で84508円の人が126855円に」等々。本市では内492名に影響が及ぶ。
 介護保険三施設入所者の内、低所得の方におこなわれている居住費・食費の補助=いわゆる補足給付が、配偶者の所得等によって削減される問題では、例えばある社会福祉法人の特養では、「これまで月約7万円の利用料が約10万円に上がる」「95000円が137000円に」「66000円が13万2千円に」など、入所者の1割が負担増。
 こうした方々が、必要な介護を受けることが困難になることは明白。低所得高齢者の方々を始めとして、住まいの確保が必要となる。 
1)要介護者を始めとする低所得高齢者向けの住まいについての現状はどうなっているか。ニーズをどう把握しているか。特に特養入所待機者は、基本的に在宅生活が困難な方だがどうなっているか。
2)来年度から始まる介護保険第六期計画では、住まいと生活支援など新しい地域支援事業の担い手を、従来の社会福祉法人に止まらず、NPOや協同組合などの多様な非営利団体を主体として位置づけ、市として支援していくべき。
 次に、本市総合計画では、「市民・地域・行政の協調・協力による総合力の発揮」を謳っているが、市の政策決定が市民の声を正しく反映しておこなわれていること、前提条件として、市政にかかわる情報、取り分け政策の検討段階での情報が市民に十分に提供されていること。
 具体的な事例として介護保険事業の在り方を挙げる。
3)地域包括支援センターを誰に委託するか、どのような過程で、どういう基準に基づいて、誰の判断で決まったかのか。特別養護老人ホームの整備はどうか。
 次に、政策検討の場として重要な審議会・委員会等のあり方について。
 審議会・委員会等は、市政課題への取組に当たって、広く深い知見を集めるためであるとともに、市民が市政に参加し、声を反映させる場として重要。
4)公募委員のいる審議会等の数と委員の人数、会議の開催告知をHPに掲載している会の数は。
 議事録はすべて2週間程度の期限を決めてHPに公開するべきだが現状はどうか。
 委員の兼職はできるだけ避けるという方針を出した訳だがどう進展したか。
 元市幹部職員が委員になることは避けるべき。
5)市幹部職員の「天下り」。退職した人数は、前回質問時22年3月以降どう推移したか。
 「天下り」は無くしていくべき。
増大する特養入所待ち
健康福祉部長 1)今年4月1日現在の特別養護老人ホームの入所待機者は1,409人。老人保健施設療養型医療施設340人、医療機関に入院中142人、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅など377人、自宅550人。
  待機者の所得状況についてのデータは無いが、ほとんどの方がご家族などの支援や、介護保険サービスを利用しながら、現在の住環境のもと生活を保持されている。
  低所得により特養入所前に住まいの確保を維持できない場合には、住宅扶助などにより対応している(注:生活保護の場合のみ。生活保護以外は低所得と考えていないということ)
  今年度は、特養の80床の増床、小規模特養29床の新設の整備を進めており、要介護者の住まいの確保の一端を担うもの。
新たな事業主体も支援する
  2)担い手養成、サービス開発などを実施し、NPO,協同組合、地縁組織などの活動を支援していきたい。
地域包括センター委託も、施設整備事業者も、公募に拠らずに決めている
3)地域包括支援センターの委託先の決定については、業務の特殊性を考慮し、相談業務等の実績を加味して「受託法人の資格」を定め、資格を有する法人を対象に説明会。各法人の意向を確認のうえ、関係者、有識者からなる鶴岡市地域包括支援センター運営協議会に諮る。随意契約に至る手続きについては審査会の審議を経て決定した。
 次に施設整備事業者の決定過程。
  介護保険事業計画において、施設種毎に計画期間中の必要定員を定め施設整備を進めていく。市内に介護保険事業所を展開している法人等に対し「施設整備意向調査」を実施し、必要に応じてヒアリングなどを行い、施設毎の地域バランス、市全体の供給と負担のバランスなどを考慮しながら必要定員を見込み、関係者、有識者からなる介護保険事業計画等策定懇話会の意見を聞き、介護保険事業計画等策定委員会において計画案を策定し、議会の承認を得て決定。
 特老の施設整備事業者については、建設に係る県への費用に対する補助申請時に、市が介護保険事業計画と合致しているものであるか、申請法人の実績、適正などを審査し決定している。
審議会等の委員公募・公開など進む
総務部長 4)平成24年5月策定した「第二次行財政改革大綱」に基づき、市民の市政運営への提言・参加機会を拡充し、市政参加を推進するため、各種審議会等の委員の運営状況や委員の構成を把握し、公開と委員の公募について検討した。
 検討結果をもとに、平成24年12月に「審議会等の設置及び会議の運営・公表に関する要綱」を制定、平成25年1月から運用を開始した。
 要綱で定める審議会に該当するものは、H25年度末で80機関、委員数1、209名、「委員公募」については、要綱で「緊急又は迅速に設置する場合等を除者積極的に委員を公募するよう努めるものとする」としており、公募委員を選任している審議会等は11、委員数46人。
 要綱では、「審議会等の会議は市政への市民参加の推進と透明性の確保を図るため、積極的に情報提供することを原則と定めている。
 会議開催件数149件のうち、全部公開115件、一部公開2件、非公開32件。公開している会議は日程等を事前にホームページで知らせている。
 会議録は、「作成後、速やかに会議資料とともに公表する」と定めている。
 公開している会議は、全て会議録を公表。非公開については開催日や審議議題名などの概要のみ公表。
 公表までの日数は、約2ヵ月を要している。
 次に、要綱では幅広い専門的な知識、経験等を有する特別な事情を除き、原則4つ以上の兼務はできないと定めている。合計兼務181人 兼務委員数は493人。
 要綱制定前に選出されている審議会では兼務委員が多い状況にあり、兼務の解消が図られており、次の選任では兼務解消が更に進む。各委員などに要綱の運用について周知徹底を図りたい。
 「元市幹部職員の委員の数」は、元課長級以上の市職員の委員7人、兼務委員数は19。
 選任理由は、民間団体等の役職者や学識経験者として選任されたもの。
天下りは望ましい?
5)平成21年度から昨年度までの5年間に退職した市の部長級、課長級の幹部職員は、医師等の医療職を除いて94名。このうち再就職した者は、把握しているところで25名となっている。
  再就職先については、ほとんどが公益的・公共的団体であり、市の出資・出捐団体では、鶴岡市開発公社、庄内地域産業振興センター、出羽庄内国際交流財団、鶴岡地区クリーン公社の4団体に7名、他の団体として、鶴岡市社会福祉協議会を含む社会福祉法人5団体、鶴岡商工会議所、出羽商工会、鶴岡地区医師会などの団体に15名、残り3名が株式会社等の営利企業となっている。
  市職員として培ってきた経験や知識を、退職後も公益・公共のために活かしていくということは否定されるものではなく、能力を大いに発揮してもらうことが望ましいこと。
  また、再就職先の団体と市との間に契約・補助といった関係があっても、定められた手続きやチェックを経て契約締結・補助決定を行っており、その執行については監査も受けており適正。
  再就職については、いずれも各団体からの要請があった上で、本人の知識や経験、能力を踏まえた団体の判断のもとに行われている。
  これまで、市との関係においてトラブルが起きたという話は聞いていないし、又、疑念を招くような職務上の行為は行わないという意識・モラルが定着している。
  再就職について、特別な規制を講ずるというような考えはもっていない。
誰でも入れる住まいの支援を
 最初に、住まいの確保の必要性について、ニーズの認識は示されなかったが、特養入所待機者が1400名超。
 年々増加し、「申し込んでから4,5年待ち」、待っている内に亡くなってしまう人も少なくない。抜本的な増設を求める。同時に、それだけでは追いつかないのでそれ以外の住まいの整備を求める。
 特養待機者が入っている住まいがどんな状況か。本市にはサービス付き高齢者住宅、有料老人ホームなどの住まいが年々増えているが、担当部では具体的な状況は掌握していない。
 殆どのところが月14,5万円以上かかり、国民年金だけで暮らすような方は入れない。生活保護の方も入れるようにはなっていない。お金の有る方だけが入れる住まい。
協同組合が低所得者でも入れる住まいを整備
 介護サービス利用料も含めて10万円程度で入居できる住まい、区分は有料老人ホームになるが、そういう住まいが本市で3カ所はある。協同組合が建設したもの。
 例えばこんな方が入っている。
 80代男性、奥さんとお子さんの3人暮らし、ご本人は要介護度は軽いものの認知症、奥さんはそのことを理解できない状態、お子さんからは暴力が振るわれる、支援する親族・知人もいない。しかし、月14,15万円のサービス付き高齢者住宅などに入る経済力はなく、特養入所待ち。
 それがこの施設に入って介護サービスを受けながら生活することができた。特養に入れなければ、この施設でなければ生きていけない。まさに命綱。
市として支援すべき
 しかし、これらの3施設足しても60人分くらいでこちらも入所待ち。また、10万円も払えない方が沢山いて、多くの方々が病院や老健を行き来したり、自宅で大変な状態におかれている。
 特養待機者を始めとする低所得者の方の住まいの確保について支援し、整備すべきと思うが、状況をよく把握されてはどうか。来年度からの第六期計画ではその必要性を検討されてはどうか。
支援の考えは無い
健康福祉部長 1409人すべてがそういう状況ではない。先々の不安解消のための申し込みの方もいる。その上で、住まいをどのように準備していくか。待機者の収入とか詳細の把握ということだが、待機者はそれぞれの施設に申し込み、それを市がもらっている。申込書には、家族の収入や住宅環境などの項目は無く、また市にはそれらを質問する権限もない。しかしながら、申し込みをする過程では、ケアマネに様々相談しているので、そこで状況や背景に応じた支援をしている。
 まさにケアマネや包括センターに相談している訳だから、それを全体として掌握し、是非とも支援をおこなってもらいたい。
 特養整備等事業者の決定は、「公募」ではないということが確認された。
 「意向調査はおこなっている」ということだが、先日、第六期計画の分も案内があった。提出〆切は「一週間後」、指定する基準や審査内容も書いて無く、まさに紙一枚。それを提出しても、結局、「調整」と言う名で、決めた結果だけ知らされることになる。
事業者選定は公募が常識
 他市が特養や小規模多機能特養などを作るとき、公募になっているが、その事務を紹介する。酒田、山形、天童、近隣県の各市などの募集要項には、「趣旨、募集するサービスの種類・整備数、整備対象地域、応募者の資格、仕様、補助制度、手続き、日程、審査方法」など記載されていて、公示してから申請書提出までの期間は天童40日、山形市や酒田市、近隣各県も50日。市民の入った審査会で審査している市もある。
 本市もこうしたルールを決めるべきではないか。今後の特養等の業者選定や、地包括支援センターの指定など、市立保育園で指定管理をとるときと同じようなルールは改めていくべきでは。
健康福祉部長 他市の状況お聞きした。本市の施設整備意向調査の期間が短いとご指摘もありましたが、様々な会合などで予告をしているので各法人が計画している。
狛江市など他市に学べ
 誰が決めているのか問題にしている。健康福祉部だけではない。市民参加の先進事例として東京都狛江市の取組を紹介たい。以前も紹介したが、同市は「行政活動をおこなおうとするときは、あらかじめ市民参加の手続きを行わなければならない」と、市民参加の保障を「市の責務」として明記。
 市民参加の方法としては、審議会等、パブリックコメントはもちろん、シンポジウム・フォーラム・説明会などまで具体的に定め、「市民投票」も。
 同市のHPを拝見すると、昨日現在で67の審議会等の膨大な会議録が、誰でもいつでも見られるようになっている。
榎本市長に問う
 まさに私が今取り上げている「特別養護老人ホーム運営法人選定委員会」の一部始終も載っている。市政の土台ところであり、市長の考えを伺いたい。
 市長が打ち出した「市民との対話」の行政は、この5年間、審議会のあり方等で具体的前進もあった。全国の到達から見れば進んでいると言うことはできないが、審議会等の公募委員が46名となったことなどは、かつて当局が「公募しても応募する人がいないのではないか」と心配していたことを考えると、隔世の感がある。公募委員の方々のご奮闘を祈念したい。
 しかし、他市では見られなくなっているような行政運営が残っていて、結局、元市幹部職員がいる法人に重要な事業が回っていったりしている状況は、「市民・地域・行政の協調・協力による総合力の発揮」の障がいになる。行政活動のあらゆる分野で、市民参加を進める考えはあるか。
「積極的に努力する」
市長 色んな団体も地域で経済活動やらやっている。それを除外するとはならないので、行政の力を合わせて総合力を発揮していく。どうしても公開できないものも出てくる可能性はある。これからも市政運営の中でできるだけ透明性を図らなければならないと思うが、議会の皆さんから色んなご意見を頂きながら、なお一層、改善すべき点については積極的に努力して参りたい。

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