9月9日(土)、LGBTの差別に反対し、偏見の解消、多様性の尊重を街頭でアピールする行動が庄内で初めておこなわれました。
私も万障繰り合わせて参加、中心となった酒田光陵高校の生徒たちの訴え、全国各地からかけつけた当事者の方々のよろこびの声、中町商店街の方々や道行く車からの暖かい声援などなど感動の連続でした。
県知事メッセージ、パートナーシップ制度を県内で始めて創設した酒田市長挨拶も意義深いものだったと思います。
挨拶の中で語られた、「(LGBTへの差別・偏見で)夢も未来も無いと、自殺してしまう若者を生まないように」というお話に、同高校の取り組みの原点、生徒達の行動の原動力が示されていると感じました。
一方、私自身について言えば、あらゆる差別とたたかうことが政治活動の柱の1つ(のハズ)なのですが、40年以上そういう活動をやってきながら、近年までLGBTの方々の苦しみに心を寄せる事ができなかった事は本当に申し訳なく、不明を恥じ入るばかりです。
この日は、そうした反省を噛みしめながら、いっしょに頑張っていこうという決意を新たにしました。
最後に、私が県議会6月定例会でおこなった質問の内容を紹介します。
関 LGBTQ。SOGI(ソジー)という捉え方もあるのですが、今日はよく知られているLGBTと呼ばせて頂きます。性的指向および性自認等についてのマイノリティーであります。この方々が有形無形の差別で苦しみながら、声を挙げる事ができないできたという問題がここ数年で大きくクローズアップされています。
☆当事者等を守る法の整備をめざす、「LGBT法連合会」が2019年に発表した「LGBTの困難の事例リスト第3版」には354もの事例が報告されています。
「パートナーと結婚式を挙げようとしたが式場に拒否された」
「マイナンバーカード発行時の本人確認で外見と性別のことでトラブルになった 」
「パートナーが病院で死亡したが、診療経過や死亡原因等説明してもらえなかった」
などなど、教育、就労、相続、医療、福祉他、生活のあらゆる分野で、理不尽な不利益、胸の痛む差別を受けている事が浮き彫りにされています。
☆日本国内のLGBTの方の割合は、民間団体によるいくつかの有力な調査から、「人口の8%-10%前後」、と見るのが通説のようでありますが、これだけ多くの方々が、人知れず苦しんでいる事を放置することはできません。
今そうした運動が広がり、社会を大きく動かしつつあります。
同性婚を認めない民法などが憲法違反だとして、同性カップルらが国に損害賠償を求めて提訴した5つの訴訟の地裁判決がこの6月までに出揃いました。合憲と判断したのは1裁判所のみで、「違憲」が2、「違憲状態」が2となりました。
☆県内でも昨年10月、性的マイノリティーの人たちが自分らしく生きられる社会の実現を訴える「やまがたカラフルパレード」がおこなわれました。
今年の2月には、性的マイノリティーのカップルを結婚に相当する関係と認めるパートナーシップ制度の導入を求める団体も発足しました。
酒田市は、このパートナーシップ制度を県内で最も早く導入しましたが、同市内の県立酒田光陵高校でもLGBTの方々の権利を守ろうという活動がおこなわれましたし、市立酒田看護専門学校でも、ワークショップがおこなわれました。
☆一方、国政では、LGBT差別禁止法案が、超党派で合意した内容が後退した理解増進法となったことは、残念な、遺憾な事でした。当事者・支援者などから強い怒りの声が上がりました。
☆吉村知事は昨年12月議会での高橋啓介議員の質問に答えて、この問題についての認識を述べられました。その後、県内の当事者・支援者の方々と直接会い、要望も受けたと聞いています。
今後、全国12都府県と多くの市町村に拡がっているパートナーシップ制度の創設などの課題が速やかに取り組まれることが期待されますが、同時に、その制度に止まらない、県の基本方針を確立することが重要と考えます。
そこで知事に伺います。
①日本国憲法に基づいて、LGBTも含むすべての県民の人権保障を県政運営に貫く事を謳う、基本条例等を制定してはどうでしょうか。
②また、その条例の具体化として、パートナーシップ制度創設を急がれてはどうでしょうか お考えを伺います。
吉村知事 多様性を尊重する社会作りについてお答え申し上げます。私は全ての人が性別や年齢また障害のあるなしや国籍、文化的背景、SOGIに関わらず等しく基本的人権を有するかけがえのない個人として尊重され、活躍の場を与えられる、得られるべきであって、これらを理由とする差別は許されないと考えております。
しかしながら、性の多様性につきましては、未だ、社会の理解が十分に進んでおりませんで、性的マイノリティの方への差別や偏見の原因となっていること、また、性の区分が男女のみとされていることで、社会生活上の様々な制約が生じ、不安や悩みを抱える方々がおられることを残念に思っているところであります。
☆国会に置きましてはこの度、LGBTなど性的少数者への理解増進を目的とした法律、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解増進に関する法律が成立し、公布、施行されました。
G7で唯一LGBTQへの暴力や差別を解消するための法律がなかった日本において、新たな法が制定されるとともに、性の多様性に関する国民的な関心が高まったことは、まずは一歩前進ではないかというふうに受け止めているところであります。
☆私自身も、先般、性的マイノリティの方を支援する団体の方から、当事者の生きづらさや困難について、直接お話を伺う機会がありました。
性的マイノリティの方を含むあらゆる多様性が尊重され、受け入れられる社会を実現するため、県として当事者はもちろん市町村や関係団体等のお話をしっかりとお聞きし、性の多様性について理解を深めるとともに、県民の皆様にもご理解をいただきながら、現在、性的マイノリティの方が抱えてる不安や困難の解消を図っていくことが重要だという思いを一層強くしたところであります。少子化、人口減少が進む中で、本県が今後も持続的に発展していくためには、多様性を理解し、認め合い、受け入れ支え合う、寛容性のある社会を作っていくことが大切であります。そのような社会を実現することで、異なる考えや能力が、相乗効果を生んで地域に、イノベーションをもたらすことも期待されるところであります。
☆こうした取り組みを推進するため県では令和5年度の組織改変において新たに多様性を冠する組織を設けたところであります。県としましては、多様性が尊重され、誰もが個性や能力を最大限発揮し、県民の皆様お一人お一人が、幸福を実感できる山形県となるよう県としての基本理念を示す、あらゆる多様性を尊重するための条例制定や、法的な効力はないものの行政がパートナーであることを証明することで、当事者の安心感や困難の解消につながるパートナーシップ宣誓制度の導入などを視野に入れながら、しっかりと取り組んでまいりたいと考えているところであります。
関 基本的人権を尊重する、こういう確かな理念のもとに、条例の制定、PS制度、そこに向けて取り組んでいかれるということです。速やかな進捗を期待します。
基本条例等の制定、PS制度の導入の早期実現が期待されますが、当事者を含めた関係機関等で充実した議論をおこなう時間も必要です。
一方、県への申請書類等での性別記入、窓口での氏名の読み上げ、etc.・・(他県PS制度の具体的項目を列挙)県の各種サービスの中での配慮は、各部局の判断で実施できると思われるものも少なくありません。
③そこで、条例等制定の作業と並行して、LGBTの方々の不利益と差別解消に資する具体的な配慮や行政事務等の改善を、できるところから、速やかにおこなっていくべきではないかと考えますが、
幸せ子育て応援部長に伺います。
西澤しあわせ子育て応援部長 性の多様性に関する県の取り組みについてお答えいたします。県では多様性が尊重される社会づくりに向けて、条例の制定やパートナーシップ宣誓制度の導入を視野に3つの観点から取り組みを進めております。
1つ目は、本県における性の多様性にかかる状況や課題等について、把握・検証するための取り組みであり、当事者をはじめ、市町村や関係団体等のお話をしっかりお聞きするとともに、今後、有識者および支援団体との意見交換やアンケート調査の実施などを行うこととしております。
また、多様性にかかる条例やパートナーシップ制度を導入した自治体に赴き、制度導入後の状況や課題、取り組みを進めるための手法や仕組みづくりなどについてお話をお聞きする等、今後の制度導入に向けた調査研究も進めているところです。
2つ目は多様性について理解を深めていただくための取り組みであり、県として初めて自治体職員や企業、県民の方々を対象とした多様性に関する理解促進セミナーを開催いたします。セミナーはテーマを変えて3回実施し、それぞれオンデマンドでも配信することにより開催当日以外でも視聴覚可能とするとともに、開催リポートを作成・発信するなど多くの方々に触れていただけるよう工夫し準備を進めております。
3点目は県として性的マイノリティの方に配慮した対応を行うための課題の整理であります。当事者や支援団体からの聞き取り、先行自治体の例などから公的機関でできる対応を整理し、庁内の関係各課と情報共有を進めながら、現在各分野でどのような取り組みが可能か検討を始めております。
こうした検討を進めるにあたっては、多様性に配慮した視点から現在の業務を改めて見直す意識の転換も必要であることから、今年1月に自治体向けに作成した行政事務の中に潜む性別への固定観念や偏見の事例を示したガイドラインの活用も促しながら意識の醸成を図ってまいります。
今般の性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解増進に関する法律の施行により、今後、政府による基本計画や運用指針の策定などが予定されております。県としましては、政府の動向も中止しつつ、本県における性の多様性を尊重する取り組みについて着実に進めてまいります。
関 今日の質問の前に担当に取り組み状況を聞きましたが、今話しがあったように、他の自治体の事例などもよく研究された・さまざまな教訓も学んだということだった。それを元にして、何よりも当事者の方々と会って話しを重ねていくということです。
他自治体の例では、進める事に対して反対だという声が寄せられることもあるといいます。
県のホームページにもそういう声が寄せられています。さまざまな意見あろうかと思いますが、すべての方々の人権尊重の立場を貫いてしっかりと、できるだけ速やかに取り組みを進めることを期待します。
すべての人の尊厳が守られる社会をつくっていく上で、教育の役割は極めて大きなものと考えますが、LGBT、多様な性のあり方については、学習指導要領に記載されていないことから、授業では扱われていません。
一方、20年余り前から、全国で性教育に異常な政治的圧力がかけられるようになり、各学校で独自に性の多様性を指導するプログラムを準備するのは、非常に困難な状況になっています。大変遺憾な、深刻な状況です。
④しかし、そうした中でも、性の多様性に関わる学習をすべての児童生徒に保障すべきと考えますので、その指導をどう進めていくのか、教育長に伺います。
高橋教育長 ただいま、児童生徒への性の多様性に関する指導についてということで、ご質問をいただきました。性の多様性に係る教育上の取り扱いということになりますが、ただいま委員からお話もありましたように、性の多様性に関する指導につきましては文部科学大臣が教育課程の基準として示しております、学習指導要領には現在、盛り込まれておりません。
その理由として、文部科学省では、平成29年に学習指導要領を改定した際、保護者や国民の理解、教員の適切な指導の確保、個々の児童生徒の発達段階に応じた指導等を考慮し、各教科等の指導内容として盛り込むことは困難との見解を示しているところでございます。
☆一方、性的マイノリティにかかる社会の関心の高まりなどを受けまして、平成27年に文部科学省から性同一性障害がある児童生徒へのきめ細かな対応を求める通知が発出されております。
また、令和4年12月には生徒指導に関する学校教職員向けの基本書であります生徒指導転用が改定され、性的マイノリティに関する差別や偏見等の防止のための対応が示されております。
これらの通知等を踏まえ、各学校では特別活動の時間において、性の多様性や性による差別について考える機会を設けたり、道徳の時間で、お互いの個性や多様性を認め合うことについて、考えるなど個性の尊重に関し、発達段階に応じた指導が行われているところであります。この他にも講演会など様々な活動を通して児童生徒の指導を行ってきており、これに対し、県教育委員会では、専門医を派遣するなど学校の取り組みを支援しているところであります。
☆このような中、LGBT理解増進法が6月23日に交付施行されました。今後同法に基づき関係省庁による連絡会議が設置され、政府により基本計画が作成されることとされておりますので、教育委員会といたしましては、政府の動向を注視してまいりたいという風に考えております。
関 指導要領に細かに縛られてしまうという今の状況自体、この問題に限らずうまくないと考えますが、特別活動としてさまざまな取り組みに現場では努力されているようです。
県弁護士会でも人権に関わる講話をおこなうなど民間の取り組みもあります。そういう協力もお願いしながらすべての児童生徒に、考える機会を設けてもらいたいと思います。
LGBTの問題、困っていることを声に出せないでいる、出したくない、そういう当事者の気持ちを尊重しながら伸張に進めなければならない、同時に、安心して声を出せる社会、学校、声に出さなくても困らない社会をつくることが何よりも重要。
先日、是枝裕和監督の怪物という映画を観ました。同性を好きになるという子どもの気持ちがとてもうまく描かれていました。それ以外の事でも得るものが多い映画だったので、機会があったらご覧下さい。
以上