8月14日、安倍首相の「戦後70年談話」をテレビで観ました。
この内容を「評価する」大手マスコミの報道が目につきます。
NHKの直後のニュースが典型的でした。
「侵略」、「植民地支配」、「痛切な反省」、「お詫び」。
村山談話のキーワードが入っていることをもって、「歴代内閣の立場を継承する姿勢を明確にした」「(積極的平和主義の下)世界の平和と繁栄にこれまで以上に貢献していく考えを表明した」などと報じたのを観て、のけぞりました。
言葉は入っていても、文脈によって意味が変わるのが日本語です。
これらのキーワードは、いずれも「歴代内閣が表明してきた」と、第三者のように「紹介」しているだけです。
「日本が侵略し、植民地支配をおこなった」と認め、「そのことについて反省し、アジア諸国にお詫びする」などとは、一言も言っていない訳です。
それどころか、日本が朝鮮の植民地化を始めた日露戦争を、「アジア・アフリカの人々に勇気を与えた」などと評価し、記者会見では、日本の戦争が侵略だったかどうかは「歴史家が判断すること」として、侵略と認めませんでした。
従軍慰安婦問題について、「戦場の陰には、深く名誉と尊厳を傷つけられた女性たちがいたことも、忘れてはなりません」やはり人ごとのように「触れた」ことは、被害者の心を益々傷つけるものでしょう。
そして最後に、「『積極的平和主義』の旗を高く掲げ、世界の平和と繁栄にこれまで以上に貢献してまいります」と述べましたが、これが「安保法制を成立させる」ことを意味することは、日頃ニュースを読んでいる人には疑いようもないことです。
国民多数の反対を踏みにじる態度を改めて表明したものです。
村山談話と比較して、何を言って何を言わなかったのか、そこから意図を読み取るのは、中学国語の読解程度の問題じゃないかと思われます。
この談話を「歴代内閣の立場を継承する姿勢を明確にした」などと報じるの、国民に「こう思わせたい」というマスコミの政治宣伝です。
共同通信社が14、15両日に実施した全国電話世論調査では、談話を「評価する」が44.2%、「評価しない」が37.0%だったといいいますが、マスコミの報道が影響を与えているということでしょうし、首相が話す様子を観た「印象」が反映しているのでしょう。
しかし、談話の真の内容が赤旗新聞や、良識有る報道・ネット情報で広がるにつれて、文章を自分の目で読む人が増えるに連れて、正しい評価が多数となっていくに違いありません。
欺瞞に満ちた話しを、美辞麗句をちりばめて22分間も語る(普通10分で読むでしょう)姿からは、「すばらしいことを語っている自分」に陶酔しているナルシストか、或いは、嘘を真実と思わせようとするファシストか、いずれにしても民主政治の担い手とは異なる影が伸びているように見えました。